NOKIBA CAFE

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「黒執事Ⅱ」最終話 感想  

2010-09-18 19:27:42 | ことばー詩・詞ー
猛暑が続いたせいなのか
今年はリコリス~彼岸花~の花をみかけない。
血の色のような不吉な花も 無ければ無いで気になってしょうがない。
そんな初秋、「黒執事Ⅱ」は最終回を迎えた。


最終話の最後に出てくるキャンディーは、
漫画原作の中の「サーカス編」に出てくる 重要なアイテムだ。
それを最終回で出すことで 原作者に謝っているつもりなのかな?と思った。
飴一本分の 謝罪。


複雑な話をわかりやすくしようと
旦那様=アロイス  坊ちゃん=シエル
しあわせ、契約、魂、
それらの言葉に細心の注意を払って作られていたことは わかった。
でも、やっぱりわかりにくかった。

複雑すぎる話と グロすぎる画面と
誰のためなのかわからないギャグ風味と、
好きになれないことはいくつもあった。
でも、人それぞれ好みがあるから私の趣味に合わないだけだと思うことにして、
最後まで観た。グチは言うまい と思いながら…。


しかし、最終話の最後だけは、一言 言いたい。
ともかく、シエル坊ちゃんが かっこ悪い。
それが、残念すぎる。

自分の意志ではないとは言え、
ハンナとアロイスの契約が成立して悪魔になり 
「悪魔で悪魔の執事」=セバスチャンを引き連れることになったシエル。
でも、坊ちゃんの“ドヤ顔”は、…見たくなかった。
シエルの魂を喰らえなくなったセバスが ずっと側にいるしかなくなったとしても、
本来のシエル・ファントムハイヴならば、
セバスチャンに「どこへでも行けばいい」と言うでしょう?
したり顔で「ずっと一緒に居るしかないよな」
みたいなこと言わないでしょ?ちがう??


両親の命を理不尽に奪われ
自分の尊厳も踏みにじられ
悪魔と契約し復讐を誓い、
敬愛していた叔母も 人としての道を踏み外してこの世を去り、
女王の番犬として生きていくしかない人生でも、
ちゃんと一人で立っていたではないですか、坊ちゃん。

一途に自分を慕うエリザベスの好意を受け止め、
悲しい過去を背負う使用人たちをかばい、
仕事をこなし
いつも凛としていたではありませんか、
シエル坊ちゃん。

シエルがセバスチャンの支えを必要としたのは、
いつも いよいよ最後の時だけだったのでは?
傷ついて傷ついて 
立ち上がる事さえできなくなって初めて セバスチャンを呼ぶ。
それがシエルの流儀だったのではないかと。


シエルの魂の虜になっていたのは セバスチャンだけではないのだ。
自分の弱さを自覚しながらも 何からも逃げないシエルの毅然とした魂。
又はそうしようと努める彼の強靭さ鋭さを愛していたから、
頭が痛くなるようなこのアニメ「黒執事Ⅱ」に 喰らいついて来た。

なのに こんな最後とは…。

契約を契約で縛り
不老不死という特長を弱点に変え、
永遠におあずけをくらうセバスという話のオチに満足した制作者サイドが
最後の仕上げをちょっとだけ間違えた としか思えない。

でも、そこが私にとっては大事だった。

悪魔になったのだからしょうがない と言われればそれまでだがー。



赤い花が似合う愛しい叔母の死。
一粒の涙も見せずに別れを告げたシエルの横顔。
あの象徴的な「葬送」のシーンを思い出す。
ああ、あれからずいぶん時がたったのだと思った時、
アニメ「黒執事」が“終わってしまった”事を確認した。

たぶん、今年はこのまま
リコリスの花は咲かない気がする。



~キャスト~
シエル・ファントムハイヴ:坂本真綾 セバスチャン・ミカエリス:小野大輔 
バルドロイ:東地宏樹 フィニアン:梶 裕貴 メイリン:加藤英美里 タナカ:藤村俊二 
エリザベス:田村ゆかり ポーラ:伊月ゆい
アロイス・トランシー:水樹奈々 クロード・フォースタス:櫻井孝宏 ハンナ:平野綾
グレル・サトクリフ:福山潤 葬儀屋:諏訪部順一 劉:遊佐浩二 藍猫:矢作紗友里
ウィリアム・T・スピアーズ:杉山紀彰 ロナルド・ノックス:KENN
ソーマ:立花慎之介 アグニ:安元洋貴 ドルイット子爵:鈴木達央
アバーライン:菅沼久義 ルカ・マッケン:井上麻里奈 他

本当にありがとうございました。