泉心堂治療院

せんしんどうちりょういん

別れと教え

2012年04月02日 | Weblog
去る3月25日、私の師匠、郭嘯天先生が急逝されました。


台湾の中医師会では追悼の文集を出すそうで、

郭先生との思い出などを寄せてくれと言われ、

ここ数日は中国語に悪戦苦闘しながらパソコンに向かっております。

そしてそれは郭先生と出会った時のことや、

修行中のことなどを思い出しながら感傷に浸っている数日でもあります。

それにしてもよく見ず知らずの言葉すら通じなかった押しかけ外国人の私を弟子にとってくれたな〜(涙)

その心の広さに今更ながら感動を深めています(涙涙)


私が先生の元での修行を終え、帰国して早10年。

台湾留学中は郭先生だけでなく、色々な方々が私を助けてくれたり、励ましたりしてくれしました。

そして昨年の東日本大震災では台湾が最も多くの義援金を送ってくれ、

私自身も色々な方から声をかけられました。

そんな人々の心の温かさ、他人を思いやる心。

それが私が台湾で学んだ最も尊いものであり、

中国医学における秘伝中の秘伝だったのかもしれません。


恩師に感謝を込めて。合掌。

トラックバック (0) | 

台湾の進む道

2012年02月24日 | Weblog
もう1ヶ月以上も前の話になってしまいましたが、

台湾では今年1月、4年に1度の総統選挙がありました。

結果は現職の国民党・馬英九氏が民進党・蔡英文氏に大差で勝利。


ところで、台湾の政治事情についてよく耳にするのは

「中国との統一派である国民党」対「台湾独立派の民進党」という構図ですが、

国民党の支持者であるからといって皆が短絡的に中国との統一を望んでいるわけではなく、

民進党の支持者であるからといって皆がリスクのある早急な独立を望んでいるわけでもありません。


特に今回の選挙において、両陣営ともこの統一or独立の選択についてはかなり濁した対応をとらざるを得なかったようです。


それほど台湾の人々にとってこの問題は難しく、拮抗する天秤のように敏感な反応をしてしまうのかもしれません。


ちなみに今回の総統選挙のように、自分たちの国のトップを自分たちで選ぶことに対して、
中国「本土」の人々からはネット上なとで羨望の声があがっていたとか。

台湾でも私の妻の子供の頃まではおおっぴらな政府批判などはできなかったとのこと。

台湾では90年頃から民主化が進み、
2000年には選挙による政権交代(国民党→民進党)も実現しています。

わたくしの印象では、台湾の人々のほとんどは統一か独立についてその答えを出すことに躊躇しているようです。

しかし、少なくとも成熟した民主主義の実践こそ、今後台湾が独立的な立場を守るための重要なキーワードになるのだろうと思います。
トラックバック (0) | 

2012年、よろしくお願いします。

2012年01月09日 | Weblog
少し遅い新年のご挨拶になります。

本年もよろしくお願いいたします。


本日無事に台湾より帰国して参りました。

台湾では年末年始は特に雨の降りやすい天気が続いているようで、

私の滞在中も毎日曇りか雨でした。

気温は10〜18℃くらいで湿気が加わり、ぬる寒いといった感じでした。

そんなわけで、まず日本に帰ってきて太陽の日差しのまぶしさに驚いた次第です。


今日はゆっくり休んで明日より新年の仕事始めです。

トラックバック (0) | 

時期の話

2011年11月30日 | Weblog
「今は体調を壊しやすい時期」

今年になって、いや、この仕事を始めて何回この言葉を口にしてきたのだろう。

みなさんが体調を悪くしてワーっと忙しくなる時期があって、

少し一息と思ったらまた次の波がやってくる。

それを繰り返し、気がづけばもう12月。

わたしにとってはこの繰り返しが1年というサイクルなのかもしれない。


でも、「今は体調を壊しやすい時期」って

天気予報で毎年「異常気象」と繰り返しているようなものですかね。

便利な言葉に成り下がってしまいました。

「平年と比べて」ってその平年がどうなのかあやしいのですからね。

ただ、もちろんその「時期」によってどのような症状が増えるかなどの特徴はありますよ。

それをいかに素早く察知できるかが皆様の訴えに適切に対応できるかどうかのポイントかもしれません。

トラックバック (0) | 

日本針灸とは?

2011年10月15日 | Weblog
ここ数年、少なくとも21世紀になってから、

我が業界では「日本針灸」というキーワードが頻繁に用いられるようになっています。


中国で発生し、主に中国、朝鮮、日本などで伝承されてきた針灸療法ですが、

針灸療法が欧米を代表とした世界各国に注目され、広まった結果、

標準的な針灸治療のスタイルというものが模索されるようになりました。


まず、科学的な研究が進むようになり、

研究の土台としてふさわしい標準的なパターンが必要だというニーズから

そのような流れになったのかもしれません。


その一例として経穴(ツボ)の国際標準化という大きな動きがありました。

ほんの数年前のことです。

伝統的な針灸治療を続けていた日本・韓国・中国では、

全身に分布する約360個の主なツボの約1/4で、

その位置が微妙に異なっていたのです。

これでは、例えば国際的な学術会議の場で発表する際に、

たとえばですが「足三里」というツボを使ったと述べても、

中国、韓国、日本、それぞれの聞き手の解釈に違いが生じてしまう可能性があったのです。

まずは各国の意見をすり合わせて、その辺を統一していこうということになったのです。



また、針灸治療の科学的解明に終わりが見えないことも、

針灸治療の国際標準化が模索されている要因の1つかもしれません。

これは研究者の怠慢と言うより、

針灸医学、そして人間そのものの複雑さが深く関係しているのでしょう。


つまり、まずは科学的な根拠は置いといて、

標準的な針灸治療のパターンを優先的に構築してしまおうと言うことなのか、

古来より「実践医学」として発展してきた針灸療法にとっては当然と言える流れなのかもしれません。


ちなみに、私がこの業界の門を叩いた90年代初頭は

針灸の科学的解明という言葉はよく聞かれましたが、

国際的な標準化というのは世紀が変わってから聞かれはじめたように思います。


ところが、ここ数年、「日本針灸」という言葉が

日本の針灸関係者から頻繁に発せられるようになったように思います。

その理由として、1つは、前述した国際的な流れの中で、

日本人が以前より大事にしてきた(と思われる)

「いやし」というキーワードが置き去りにされてきたためではないかと思います。

つまり、針灸治療の受益者である「患者」不在の流れになりつつあるのではないかという

警戒感が表面化してきたのかもしれません。

また、国際標準化とはいえ、その主流が「中国式」になりつつあるという現実もあると思います。

元々針灸や、それを運用するための経絡・ツボなどの理論は中国で発明されたものですし、

現代でも中国では針灸は医療の一部として盛んに行われ、

教育機関も充実し、海外からの研修生もたくさん受け入れていますので、

中国が主導権を握りたいと考えるのは当然のことだろうと思います。


しかし、その中で、日本でも脈々と受け継がれ、独自の発展を遂げた針灸療法が、

国際標準化からはじき出され、国際的に非主流派のレッテルを貼られてしまうのは

とても残念なことであるという思いもあるのでしょう。


実際的に「中国式」が主流を占めつつある世界の針灸市場のなかでも、

「日本針灸」は、その繊細さ、ソフトさ、いやし効果の高さなどから、

各国で高い評価を受けているようです。

しかしながら、教育システムの未構築、国家的戦略の欠如などによって

世界的スタンダードとなるにはほど遠い現実もあるようです。


ただ、、日本国内においても様々な流派、治療者個々によるバリエーションが存在し、

現実的には「日本鍼灸」と統一させることなどはほぼ不可能でしょう。


つまり、技術面を超えた「鍼灸治療」という大枠において

『日本鍼灸』というカテゴリーが構成されていくべきなのかもしれません。

やはり個々が腕を磨き、実績を一つ一つ積み重ねていく以外に近道はないと思っています。








トラックバック (0) |