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マルグーシュの都・ゴヌール(古代マルギアナ5)

2009年07月27日 21時35分20秒 | 砂に埋もれたシルクロードの歴史

マルグーシュの最盛期は紀元前16世紀から前13世紀までです。
ゴヌール(写真)がこの偉大な農耕文明の首都でした。
長方形の城塞都市で、儀礼神殿、レンガ造りの建造物、半円形の砦などがありました。

この首都の中心には、巨大な城壁で囲まれた豪華な宮殿が建設されました。
今、私たちがゴヌール・デペと呼び、観光する遺跡がそうです。
この宮殿の構造は、古代オリエントの建築史の影響を全く持たない
特異な建築様式となっています。
ここからは、玉座や謁見の間、天文台跡、葬送に使われた独特な部屋跡などが
発掘されており、太古の時代には既に高い技術や知識を持った人々が
暮らしていたことをうかがい知ることができます。

宮殿からさほど離れていない場所に、壁と床が白い石膏で覆われた、
豪華に造られた神殿がありました。
神殿のいくつかの部屋には、壁に沿って高い壇の上に高さ1mのクムスと呼ばれる
大きな瓶が並べられていました。
その瓶には、宗教儀式に使われたコーマ(またはサオマ)と呼ばれる
特別な飲み物が入れられていました。
この飲料はケシ粒などを原料に作られました。
考古学的には世界最古のケシと大麻の痕跡がマルグーシュで発見されています。

この飲料はゾロアスター教において広く使用されていたものです。
「ソ連のシュリーマン」と呼ばれる考古学者で探検家のヴィクトル・シリアニディは、
この場所に「善悪二元論」のエッセンスを持つ宗教、即ち後のゾロアスター教の
発芽があると考えています。地球における最初の世界宗教の誕生です。
ゾロアスター教の聖典「アヴェスター」にも、この飲み物のレシピが記載されています。

マルグーシュでは4つの拝火教寺院の跡が発見されています。
考古学者たちは、新興の預言者として北部アフガニスタンで侮辱され傷ついた
ツァラトゥストラは、砂漠の中の道をマルグーシュまで渡ってきたと考えています。
彼はここで最初の伝道を初め、「アヴェスター」の思想が生まれ、
広まっていったと思われます。
「アヴェスター」には、ツァラトゥストラに従った最初の人たちが
暮らした土地として7つの地名があげられていますが、
その1つ「モウル」は、どうやらマルグーシュのことのようです。

その後、ムルガブ川の河床の位置が変わったため、人々は上流のメルブへと移動し、
ゴヌールの町は捨てられたと言われています。[つづく]

(田中 貴子)



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