地球浪漫紀行☆世界紀行スタッフの旅のお話し

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バールベック遺跡

2007年08月09日 19時46分03秒 | シリア・ヨルダン・レバノン
レバノンの国土を南北に縦断するレバノン山脈とアンチ・レバノン山脈に挟まれたベカー高原は、雨が多く、農業に適した肥沃な大地が広がっています。
その緑豊かな地に、世界最大級の大きさと美しさを誇る遺跡バールベックがあります。

シリアの首都ダマスカスからは、バスで約45分走るとレバノンとの国境に到着です。
国境ではパスポート検査のみで、決して面倒な手続きではありません。
レバノンに入国したら、1時間半程でレバノンが誇る大遺跡に到着します。

バールベックは、パルミラのベル神殿同様、フェニキアの神バアルに捧げられたものです。バアル(=バール=ベル)は豊穣の神で、フェニキア時代からこの辺りは恵まれた土地でありました。
フェニキア人の神への崇拝は、農耕と深く結びついていたのです。
やがて、ローマ帝国の時代になり、海にも近いこの場所は重要な土地とみなされ、歴代の皇帝は神殿の拡張に努めました。
ローマ帝国は、もともとこの土地に根付いていたフェニキアの神を完全に排除することなく、ローマの神々とうまく融合することで地元の人々の信仰を得たのです。
こうしてジュピター神殿、そしてヴィーナス神殿とバッカス神殿が建てられ、3つの神への崇拝を集めるバールベックの大神殿が完成しました。

信仰の中心地として、そしてローマの国力を世界に誇示するために建てられた神殿は、世界最大級の大きさと美しさを誇ります。
ジュピター神殿には、現在6本の列柱が残っていますが、その高さには圧倒されます。足元から見上げたまっすぐな柱は、堂々とした威圧感に溢れていました。
かつてはこのような柱が52本も並んでいた姿を想像すると、ため息が出る程のスケールです。
また、神殿の床に使われている石は、巨大な一枚岩で、遺跡近くの石切り場では、有名なエジプトの切りかけのオベリスクを凌ぐ世界最大の切り出された石を見ることが出来ます。

ジュピター神殿の隣に建つバッカス神殿は、現存するローマ神殿の中で最もよく保存され、ほぼ完全な姿で残っています。
ワインの神・バッカスを祀った神殿には、ブドウや踊り子の姿が彫られています。世界各地にローマ神殿が残っていますが、このバッカス神殿は神託のみならず、宴会が開かれる神殿でもありました。
このことからも、バールベックがいかに豊かな街であったかを伺い知ることができます。

私は今年の春に再訪しましたが、現地ガイドは観光客が減ったことを嘆き、報道ではわからない現状を知ってもらい、早く観光客が戻ってきてくれることを望んでいました。
いままで世界のいろいろな場所で同じような言葉を何度か聞きましたが、そのたびにいつも胸が痛くなります。
レバノンの中でもシリアとの国境に近いこの一帯は、雪を抱いたアンチ・レバノン山脈を望める美しい場所で、以前と変わらずにきれいで穏やかな空気が流れていました。

文明の十字路であり、多くの聖書の舞台を抱えるシリア・ヨルダンは、本当に見所が溢れています。
訪れる際には是非、ペトラ、パルミラと並ぶ素晴らしいバールベック遺跡まで是非足を伸ばしていただきたく思います。
(田中 貴子)

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2 コメント

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Unknown (keiko)
2007-08-13 05:48:43
トラックバックをありがとうございました。

このバールベックは素晴らしい所でした。
もう一度訪れてみたいです。

皆さまの素晴らしい記録をゆっくり拝見いたします。
keiko
Unknown (田中 貴子)
2007-08-15 18:57:05
keiko様、コメントありがとうございます。
バールベック、本当に素晴らしい遺跡ですよね。
青空に映える立派な神殿が忘れられません。

是非、これからも世界紀行のブログをよろしくお願いします

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