慶応ボーイの植木屋修行

ランドスケープアーキテクト福川成一のエッセイとオーベルジュ・スミの庭の記録

パンジー

2012-06-13 12:44:49 | エッセイ

 パンジーの名はフランス語のパンセ(考える)に由来するが、それはパンジーのつぼみが下を向き、頭を垂れて物思う姿を思わせるからだそうだ。

 パンジーとは園芸品種として改良されたスミレ科の植物で、現在何千種もあるといわれている。元をたどればイギリスに自生する「三色スミレ(ビオラ・トリコロール)」という野生種から改良されたものと考えられている。

 パンジーという名前はフランス語の「パンセ【pense'e】(思考・物思い)」から名付けられ、花の色と模様があごを突き出して考え込む人間の顔のように見えることにちなむとされる。

エリザベス朝時代から現在にいたるまで、英語の「pansy」は女みたいな男や女々しい男、男らしくない、勇気がないとの意味で男性を侮辱するときの呼称として使われる。

花言葉は物思い。物思いにふける男が女々しいと云われるのは仕方が無いか。

 パンジーの毎日の花柄摘みは大変である。花壇だと低いし、奥に植えられたものは取り難いのでとうとう我が家では鉢植えにすることにした。テラスに置いて毎日母が花柄を摘み、種を作らせないのでずっと咲き続けている。

 六月末のオープンガーデンの頃、球根などの空いた場所に鉢植えのまま置いて、寂しさをカバーするのに使う。梅雨の長雨で病気になる7月の初め頃、その役目を終える。種蒔きは9月にするのでほとんど一年中パンジーと付き合っていることになる。

 今まで御殿場の寒さを心配して冬はパンジーの苗はフレームに置いていたが、今年は温暖化も考慮して外のテラスに置いて冬越しさせた。中々締まった良い株に成長した。どうも過保護な我が家はせっかくの個々に持つ意欲を鍛えるのに失敗しているのだと改めて感じた。

 植物の生命力を信じて、過保護をやめること、そのことを今年パンジーが教えてくれた。

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