家日和
2007.4
音楽の紹介本ではなく、文中にロックが出てくるのである。それがまたにたっと笑ってしまう。奥田英朗の最新短編集。新聞のコピーだと確か「家」が舞台でもいいじゃないか、「在宅」小説。というようなもの。
”いいお日和で”という挨拶のごとく”いい在宅日和で”といいたくなるような家での出来事。6つの短編だが音楽が出てくるのは「サニーデイ」と「家においでよ」
「サニーデイ」はインターネット・オークションにはまる主婦の話。最初はピクニック用の折りたたみイスなどを出品しているのだが出すものがなくなって夫の持ち物に目をつける。「YAMAHA FG-180」と「Technics SL10」 これだけでぴんとくる人は相当? 物置でホコリまみれになってるギターとレコードプレーヤなのだ。一応夫に聴くと「老後の楽しみだからダメ」と言われるのだが出してしまう。
自分に置き換えて、ああ自分のステレオや楽器・CDと夫のカメラ、それぞれオークションものだなあ、などと存在を確認してしまう。うん、へたすると私も夫のカメラをオークションに出してしまいそうだし、CDは夫に処分されてしまいそうだ。
「家においでよ」はふとしたことから別居することになった夫婦。家具を持ち去り妻の去ったがらんとした家で夫は徐々に家具をそろえていくが、封印していた独身時代のロックの趣味も復活するというもの。手放したレコード・プレーヤーを買い実家からレコードを持ってき、しまっておいた「レコード・コレクターズ」のバックナンバーを並べる。ジミ・ヘンのポスターをはり・・
寄り道しなくなったのを不審がられて同僚をつれてくると「おい、トーキング・ヘッズがあるじゃないか。ドナルド・フェイゲンも。ラヴァー・ボーイの”ゲット・ラッキー”だって おれたちの中一の時の一発やじゃない」「今度オレのユーリズミックスとかニュー・オーダーとかもってくるから聴かせろ」と同僚の意外な一面が現れる。 あー楽しいなあこういう会話。 という風な展開なのだが、そこは奥田氏、小気味いいが和みのオチがつく。奥田氏自身けっこうロック好きだと何かで読んだことがある。この部屋は奥田氏の願望かも。
ほかにロハスにはまる妻にお手上げの夫を描く「妻と玄米御飯」など、「空中ブランコ」の上を行くのでは?と思わせるユーモアと茶化しぶりである。どれも40歳前後の夫婦が登場して、日常のそれこそ「家日和」を描いている。
2007.4
音楽の紹介本ではなく、文中にロックが出てくるのである。それがまたにたっと笑ってしまう。奥田英朗の最新短編集。新聞のコピーだと確か「家」が舞台でもいいじゃないか、「在宅」小説。というようなもの。
”いいお日和で”という挨拶のごとく”いい在宅日和で”といいたくなるような家での出来事。6つの短編だが音楽が出てくるのは「サニーデイ」と「家においでよ」
「サニーデイ」はインターネット・オークションにはまる主婦の話。最初はピクニック用の折りたたみイスなどを出品しているのだが出すものがなくなって夫の持ち物に目をつける。「YAMAHA FG-180」と「Technics SL10」 これだけでぴんとくる人は相当? 物置でホコリまみれになってるギターとレコードプレーヤなのだ。一応夫に聴くと「老後の楽しみだからダメ」と言われるのだが出してしまう。
自分に置き換えて、ああ自分のステレオや楽器・CDと夫のカメラ、それぞれオークションものだなあ、などと存在を確認してしまう。うん、へたすると私も夫のカメラをオークションに出してしまいそうだし、CDは夫に処分されてしまいそうだ。
「家においでよ」はふとしたことから別居することになった夫婦。家具を持ち去り妻の去ったがらんとした家で夫は徐々に家具をそろえていくが、封印していた独身時代のロックの趣味も復活するというもの。手放したレコード・プレーヤーを買い実家からレコードを持ってき、しまっておいた「レコード・コレクターズ」のバックナンバーを並べる。ジミ・ヘンのポスターをはり・・
寄り道しなくなったのを不審がられて同僚をつれてくると「おい、トーキング・ヘッズがあるじゃないか。ドナルド・フェイゲンも。ラヴァー・ボーイの”ゲット・ラッキー”だって おれたちの中一の時の一発やじゃない」「今度オレのユーリズミックスとかニュー・オーダーとかもってくるから聴かせろ」と同僚の意外な一面が現れる。 あー楽しいなあこういう会話。 という風な展開なのだが、そこは奥田氏、小気味いいが和みのオチがつく。奥田氏自身けっこうロック好きだと何かで読んだことがある。この部屋は奥田氏の願望かも。
ほかにロハスにはまる妻にお手上げの夫を描く「妻と玄米御飯」など、「空中ブランコ」の上を行くのでは?と思わせるユーモアと茶化しぶりである。どれも40歳前後の夫婦が登場して、日常のそれこそ「家日和」を描いている。