一本の葦

あんなこと・こんなこと・・・

バリデーションの力

2016-11-18 21:13:00 | 介護・介助


久しぶりに、バリデーション(認知症のお年寄りとのコミュニケーション)

の力を感じました。

木曜日、久しぶりに老健を訪ねると、保健所の立ち入り検査で、いつも私たちの

使用している部屋がふさがっていたので、グループバリデーションも出来ず、

車いすの方々を天気のいい庭へ散歩にお連れしながら、個人バリデーションを

しました。午後は老健から、隣の病院へ入院された方へのお見舞いに、緩和ケア病棟と

内科へ行きました。

居場所がないので、早引けしようと思っていたのですが、

初めてお会いする入所して間もない方が、車いすでひざ掛け毛布と

二つ折りの毛布をかぶり「寒い、寒い・・・」とおっしゃっていて、

熱もなく、職員さんも困っていました。

そこで、職員さんにも見ていただこうと、声をかけその方の前に座りました。

寒い…寒いと繰り返し、盛んに毛布を自分の前に引き寄せています。

背中をさすったり、手のオイルマッサージをしたりしながら、話しかけましたが、

寒い…寒い、でした。手をにぎって、私の手は暖かいですか?と尋ねると、

温かい、と答えられたので、私が温めましょう、しばらく手を握ったまま、

ほほを近づけ、片手で背中を抱いていました。

自己紹介し、お名前を伺うと、忘れたか出てこないので、靴に書いてある

お名前をお呼びしました。

自分の名前も忘れるようじゃ、死んだほうがましだと言い出しました。

死んだほうがましだと考えてるんですね、というと、一緒に死のうか

と私の目を見ておっしゃるのです。

食事はどうするのか、お金はどうしたらいいのか、着るものは…、

と心配ごとが沢山あって不安で仕方なく、心が寒かったのです。

こんな時は寄り添うことが大切なのです。

触れあい、アイコンタクトし、呼吸も合わせる。

そのうち肩が痛くて仕方ない、とおっしゃるので、肩もみしたり、

看護師さんに軟膏を塗ってもらったりしながら、信頼を築き、落ち着かれました。

用事があるので、また寄りますね。といい、他の方のところへ行き、

帰り際にもう一度立ち寄ると、毛布はなくなり、カーディガンを羽織って

落ち着かれていました。お風呂は?夕飯は?トイレは?と何度も聞かれていましたが、

何度も答え、ここら辺にいるあの人やあそこの人だれでも何でも頼んでください

みんな快く聞いてくれますよ。

お風呂は明日ですから、今夜だけ我慢して下さいね。

夕食は?夕食は今別の部屋で作っていますのでアツアツのを持ってきてくれますので

ここにいらっしゃれば、大丈夫です。

何でもしてもらうと甘えん坊になってしまうわ。

とおっしゃるので、今までいっぱい働かれたのですから、今は甘えん坊しても

いいんですよ。というと、ほんといっぱい働いたわ。と、仕事の話をしながら

にっこり笑顔と笑い声も出てきたので、ほっとしました。



私の勉強したバリデーションの力を大いに感じた日となりました。







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