研究 菅谷村畜産と自給飼料
家畜の冬期における飼料需要期をひかえて購入飼料の手当買いは増しているようだ。我が第二(馬内)二十七世帯中畜産農家は十六戸、この中十三戸は多少にかかわらず飼料を購入しているのだ。この十三世帯の三十二年度の飼料購入額は大体次の様だ。
麦糠(むぎぬか)に換算すると二百六十俵余りとなる。
三十二年度の金額にすると一九五八五八円となる。家畜の少ない馬内内ですら右の様な統計が生ずるのであるからこれを菅谷村全村に見ると驚くべき巨額に達するであろう。
経済的変動などによって最近の乳価安と一方飼料高の現象がつづき、酪農ブームも漸次下り坂の傾向を示してきた。従って飼料自給を中心とした合理化を図り生産コストの引下げをする以外には方法がない。私は五年間の酪農設計書の実績を取りまとめて過去の体験をも総合的に考えてみると次のような基礎的な対策が必要であることがわかった。
一、購入飼料を与えることを合理的にへらす。
一、自給飼料作物を計画的に作付けて給与の研究とする。
一、協同購入によるような飼料購入方法の研究が必要である。
一、飼料作物の反収を増大するような栽培技術の研究をする。
五年間の年平均飼料価額(昭和28年以降)
大豆粕で10貫、麬8貫、糠麦8貫
年(大豆粕、麬、糠麦)
28年(1405、697、620)
29年(1700、757.50、560.40)
30年(1706、784、639)
31年(1638、745.80、640.40)
32年(1755、830、753.30)
平均価(1640.80、762.86、642.62)
二十八、九年の月別飼料価額の変動は実に烈しきものがあった。
昭和三十二年度月別飼料価額の変動
月(大豆粕、麬、麦糠)
1月(1750、810、690)
2月(1750、830、730)
3月(1760、860、730)
4月(1830、845、725)
6月(1830、845、725)【ママ】
5月(1830、850、755)【ママ】
6月(1730、830、730)【ママ】
7月(1740、820、755)
8月(1740、860、780)
9月(1750、820、785)
10月(1740、820、775)
11月(1740、840、780)
12月(1700、840、780)
麦は地方の価額を大体取りまとめたものですが、村民各位が多少なりとも参考にして購入飼料を少しづつでもへらしたら、菅谷村の発展の一露ともなるであろう。(古里 吉場雅美)
『菅谷村報道』86号 1958年(昭和33)1月25日