70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

夏休みと故郷

2017-08-31 10:39:39 | 愛すべき子どもたち

さんあいの子どもたちの夏休みは終わった。今年の夏休みも大きな事故もなく過ごす事ができ、職員の日々の努力と神様のお守りに感謝している。 今年も子どもたちにとって忘れることのできない思い出が沢山できたに違いない。特に今年は、高齢児を対象に富士登山を行い苦しかったけど達成感を得た子どもも多かったろう。

職員にとって、毎年の夏休みは体力と神経を消耗することが多く、チャレンジイングな期間だ。特にベテランでケアワーク最前線で活躍している職員にとっては2学期の始まりの声を聞くとホット一息つける気持ちになる。 一方、ベテランでなければ味わえない夏休みの楽しみもある。それは、卒園した児童がさんあいに里帰りをする時期でもあるからだ。

今年は、3人の子がさんあいに顔を見せ来てくれた。それぞれ年齢に合った自立生活を送っているのを見て安心した。そして、卒園してもさんあいの子どもたちや職員の事を懐かしく思って来てくれることが、関わった職員にとって何よりも嬉しい。一緒に生活していた子どもたちに、「明日、〇〇ちゃんが遊びに来るんだって」と伝えると興奮してソワソワする。 さんあいで生活してた時は、特に仲がよかった訳でもないのに、やっぱり離れてみると懐かしく会いたいのだ。そんな子どもたちの様子をうかがい知るのも、児童養護施設の職員として嬉しいことであり、他の児童福祉分野にはないこの仕事独特の醍醐味でもある。

遠くの他県から来てくれたYちゃんは、アルバイトでためたお金の中から、子どもたちと職員全員にアイスやお菓子をお土産に持って来てくれた。「ありがとう、でもそんなに気を遣わなくていいんだよ。」と思わず言ってしまう職員。 そのYちゃんと1年間半一緒に生活した年中男児のJくんは、Yちゃんを見つけるなり、ウルウルの目で、「何時までいるの?」と聞こえないぐらい声で訴えている。

子どもたちの出身地はみな違う、でも縁あってさんあいで共に生活し、同じ食事をとり、春夏秋冬を過ごし、喜怒哀楽を共にし、そして子どもなりの人間関係が構築されている。 最終的には、ひとり一人が自立して社会を歩んで行き、それそれの新しい居場所(故郷)をもってもらうことが福祉のゴールだ。でも夏休みの時期になったらさんあいのことを故郷のように想ってくれたら嬉しい。

Yちゃんは、今でもみんなの人気者だ。 みんなYちゃんから離れない。

 

 

 


消火訓練

2017-08-28 16:05:22 | 愛すべき子どもたち

さんあいは、法令上の義務として毎月児童への緊急避難訓練を担当職員を中心に実施している。 そして毎年夏休み中には、深谷市消防署職員をお招きして消火訓練も実施している。今年も炎天下の中で丁寧に子どもたちに説明してくれた深谷消防署の職員の皆様に感謝いたします。

まず、みんな集まって消防隊員の説明を聞きます。みんな暑いので帽子をかぶっています。

 

そして、消火器による初期消火訓練をしました。緊張したけど手順通りすれば消せるよ!

 

次は、初期消火では消えなかった際の放水消火訓練です。水の勢いで腰を入れていないと危ないよ。

 

最後は、真面目に参加してくれた子どもたちのご褒美に、消防車を見せてもらいました。 車好きの男の子は興奮していました。

 

 


もう一つの甲子園2017

2017-08-25 10:54:57 | 愛すべき子どもたち

8月23日は、甲子園の高校野球決勝戦で埼玉県代表の花咲徳栄高校が優勝し、県に始めて深紅の優勝旗をもたらした記念すべき日となった。 そしてその日は、埼玉県下の児童養護施設対抗の球技大会(ソフトボール大会)が開催された日でもあった。

さんあいは昨年、元野球部やソフトボール部の児童が活躍し準優勝した。 今年は主力が退所し戦力に不安があったが、新チームの子どもたちの士気は高く、4月からコツコツと練習に励んでいた。

さんあいのエントリーしたBブロックは、守備要員として職員2名まで入ってよいというルールで5回終了で勝負を決める。さんあいチームは、共に励まし合い1回戦、2回戦と逆転勝ちし準決勝まで駒を進めた。そして戦う相手は、現役の野球・ソフトボール部員が数多くいて練習試合では歯が立たなかったチームだった。試合は善戦空しく4対1のスコアで敗れたものの最後まで諦めずに粘りを発揮した。 因みにさんあいに勝利したチームは前評判通りに優勝した。 

今年の大会も勝敗よりも、子どもたちが団結しチームワークを経験したことが最大の成果だった。また優勝は逃したが、なんとさんあいチームからSくんがMVPに選ばれたのだった。2017年の夏の甲子園も良かったが、さんあいの子どもたちの甲子園も良かった。

炎天下の中検討した子どもたちと職員

 

2回戦で逆転2ランホームンを打ったHくん

 

 


「大好き!」

2017-08-22 07:00:00 | 愛すべき子どもたち

小1男児のTくんは、夏の特別外出でテンションが高くなり、職員に対して「大好き」を連発していた。「好き」は、英語では「Like」である。でも「大好き」は英語では「Love」と表現できる。「いやいや、『Love』は『愛する』でしょう。」と学校の先生は言われるかもしれないが、一般的に日本人は、「あなたを愛している」とはそう簡単に使わない。 日本の子どもたちは、お母さん大好き、お父さん大好きというが、米国では、I Love you Mom か、I Love You Dadとい。 だから、Tくんの「大好き」は英語で表現するなら、「I Love You」となる。

Tくんは、特別外出で楽しい海に連れてきてくれた職員、そして美味しい食べ物を用意してくれた職員に対して感謝と親愛をこめて「大好き」を連発したに違いない。 

海は楽しいよね! I Love you baby!

 

お宿の朝食も最高でした!

 


一緒に喜ぶ

2017-08-20 08:00:00 | 愛すべき子どもたち

「人間幾つになっても褒められると嬉しいものだ。」とはよく言われることだ。これは人間に備わっている欲求の1つで、承認欲求が満たされるからだと言われている。一方、「褒めるという行為は上から目線の態度になり、適切な養育にはよろしくない。」と解く学者もおられる。 

さんあいでは、行動療法として褒めることに中心に、良い行動を承認しながら悪い行動・危険な行動の是正することを目指している。 ただ、この褒めるという行為も、相手により変えた方がよい時もある。

さんあいでは今年度より多くの新任職員が働いているが、彼らと高校生児童の年齢の開きは3歳から5歳程度だ。しかも高校生児童の方が、よほどさんあいでの生活は長く苦労もしている。新任職員から上から目線で、褒められてもしっくりこないのも当然だ。 でも、職員は職員として振舞わなければならず、子どもとしては納得いかないところだろう。 新任職員は、所謂ためし行動の洗礼を受け、悩み苦しむ。

そんな時は、褒めるより、一緒に喜ぶことの方が子どもたちには伝わる。 一緒に喜ぶとは、形ばかりの喜びではない。 部活の試合であれば、共に緊張し苦しむというプロセスも共有しなければ、本当に勝った喜びを共有できない。勿論、負ければ共に落胆するのだ。

子どもと同じ目線で喜怒哀楽を共有し生活することによって徐々に子どもとに信頼関係が構築されてゆく。

 

昨年夏のソフトボール大会。職員も中高生たちも同じ気持ちで練習し戦った。 そして最優秀チームワーク賞を頂いて一緒に喜ん!


スイカ

2017-08-16 09:00:00 | 愛すべき子どもたち

近くの農家さんから沢山のスイカを頂きました。 さんあい周辺の畑ではスイカやキュウリなどの収穫が終わり、土を少し休めてからキャベツやブロッコリーの苗を植えます。まだまだ暑さは続きますが、季節は一歩一歩秋に向かっているようです。 頂いたすいかはとてもさんあいの子どもたちだけでは食べきれないので、他の児童養護施設にお裾分けしました。 

 

今年は7月が暑かったので、とても甘いスイカでした。 地域からの支援を感謝! 


雨の日

2017-08-14 08:00:00 | 愛すべき子どもたち

雨の日は、子どもたちが勉強に集中してくれればいいのですが、やっぱりそうはいきません。 何となくホールに出てきてピアノを弾いたり、玩具で遊んだりしています。さんあいの子どもたちは個室が与えられても部屋でじっとしている子は少なく、誰かと一緒にいることが好きな様です。

ピアノを弾ける子は、小さい子が知っているアニメソングを弾いてくれます。

 

竹で作ったカブト虫で遊ぶ子たち。 「本物怖いけど、これは触れるよ!」

 

今日は、ビニールのプールもホールでお休みです。

 

 


僕、溺れたよ!

2017-08-11 11:30:01 | 愛すべき子どもたち

相変わらず多動で、様々なハプニングを起こしてくれる年長男児のRくん。先日、特別外出で海に行った時の事である。海の中で転び、一瞬体が水の中に潜ってしまった。すぐに隣に居たM職員が起こしてあげたが、本人の中ではそれを「溺れた」と認識したらしく、さんあいに帰ってきたら他の職員に会うごとに「僕、溺れたよ!」と報告してくる。 聞いた職員は、「え、大変、大丈夫だったん?」とリアクション。 Rくん、「そうだよ、僕が溺れてたらさ、Mさんがサメみたいに潜って助けてくれたんだ。」 

Rくん、なかなかの「語りべ」である。でも、さんあい以外の人に同じように話したら心配するので、「Rくん、それは溺れたと言うんじゃなくて、倒れたと言いな!」と職員は正す。 

水の事故が多い時期だ。一瞬転んだだけでもどうなるかわからないのが事故だ。それを見て直ぐに、しかも真剣に反応したM職員をサメと表現したRくんの感受性は素晴らしい。

 

楽しい夏の外出、でも安心・安全が最優先。


泣きたい時は

2017-08-08 13:33:09 | 愛すべき子どもたち

夏休みは、お祭りがあったり旅行に行ったり楽しいことが多い。中には数日であるが帰省できる子もいる。 家に帰った子の様子を見るからだろうか、時々悲しそうな表情をする子もいる。そんな時は泣いてもいいよと言う。

家庭的養護を目指すさんあいは、小学生高学年から個室で生活できる。個室になれば、周りを気にせずに泣くことができる。でも、まだ1人で寝られない小さな子は、何処で泣いてもいいよ。 

 

さんあいの夏は楽しい、でも家とは違うよね。

 


言葉が出ない子どもたち

2017-08-06 15:14:09 | 愛すべき子どもたち

本当は、「ありがとう」と言いたい、「ごめんなさい」と謝りたい。でもその言葉が出てこない子が多い。 本当は優しいのだが、悪態をついてしまう子が多い。でも、言おうと思った言葉は心の隅にそっとしまっておく。そして時が経ってお別れの時に、そっと言えなかった言葉をメモにして渡す。 

だから大人は、子どもが感謝せずとも謝らなくても追い詰めることをしないで、心で感謝している謝っていると信じてあげることが必要だ。さんあいの子は純粋で良いばかりだ。遺伝や環境など様々な要因が彼らの言葉を奪っているのかもしれない。兎に角、信じて忍耐強く彼らの言葉を待ってあげよう。

自転車を直してくれたことも感謝している。