70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

子どもの自立

2017-01-20 11:02:07 | 愛すべき子どもたち

子育ては、子どもの自立を助けることだが、自立といっても身体的、経済的、精神的など様々な要素があり子どもが何歳になったら親の役目は終わりということにはならない。 一般家庭であれば、親子は濃淡の違いはあれ継続的な関係を維持できるが、施設ではそうはいかない。基本的には、高校を卒業すれば児童は退所し施設としての親の役割は一つの区切りをつけざるを得ない。そんな現実を踏まえて、子どもの自立計画を立て長・短両面の支援からケアしてゆくのだ。

福祉的な観点で、人が社会で自立して生活するということを考えたとき、人はいつ何時自立を失うかもしれないという不安定な中を生きているといえる。健康を失ったり、職を失ったり、愛する人や友を失うことで自立が危うくなってしまう。そんな不安定の中で生きるのが人の人生とも言える。言い換えれば、完璧な自立した人生などありえない。人は人に頼りながら生きて行かなければならないのだ。その事実を受け入れ、いつも誰かに繋がれ、SOSを発信できることが広義の自立といえる。

児童養護施設では、この広義の自立を目指して日々の生活の中で子どもと向き合っている。 さんあいでは、今年3人の子どもが巣立ってゆく。それぞれの場所で生活してゆくが、さんあいは24時間、365日変わらず彼らのSOSの発信場所だ。そして彼らがさらに多くのSOS発信場所を持ってもらいたいと願っている。

 

鳥さえも一羽では生きてゆけない。

寝食を共にしたこ子たちも、退所後はまったく別々の生活を築いてゆく。