できることなら、看取られる孤独な男が、
苦痛がない方がいい。
高齢であるほどいい。
その時、誰かそばにいてくれるほうがいい。
できることなら、かけつける家族がいればいい。
…でなくても、女性がいればなおさらいい。
自分の昔ばなしを、自慢そうに饒舌に語れるほうがいい。
言い残したこと、伝え残したことを語れる女がいい。
「かわいそうだから」という理由だけで、寄り添われないほうが いい。
「気になるから、かかわってしまったから」という理由で看取ら れるならいい。
「私の仕事だから」、で来てくれてもいい。
できることなら 逝く前に、タイ焼がたべたい…みたらし団子も いい。
小さい頃、母と食べたパイナップル缶もいい。
母の作った野菜の煮物もいい。
なつかしい食べもの、最期に口にしてみたい。
…できることなら…。
寿の「おくりびと」のような仕事をしていると感じることですが、これってべつに寿だけの特別な問題ではありません。高齢者とか、男だけに限られた問題でもありません。 大原麗子も飯島愛も同じ思いで孤独死を余儀なくされたに違いありません。
人間が生きていくのに2つの大切な大切な両輪があります。 それは「居場所と生きがい」です。
「さなぎ達」の理念。
理念------は それに基づいて創られています。
この理念に基づいて、若い社員2名が活躍しています。 おのおのがライフワークのような新しいプロジェクトをはじめました。田中陽介が「さなぎ食堂」等との連携による段階的就労支援制度であるJUMPを、川崎泉子がKMVP(寿みまもりボランティア)をリードしています。
二人はこれらのフィールド・ワークの他に、この通信の編集や、事務局の総務、会計、理事会の準備、ホームページの管理、などなど。路上生活者の話し相手や看取りだけではなく、一般企業社会では経験できない奇妙で貴重な総合的な人間力を必要とされる仕事を自分の力で すすめています。
ここで、みなさまにお願いがあります。
KMVPでは、片麻痺のおじさんと一緒に街を歩いたり、寿の親父さんのバースデー・パーティーを企画したり、絵描きの好きなおばあさんと一緒に街のスケッチして下さる方やこれらを定期的にコーディネートしていただけるボランティアを募集しています。
どなたか、いらっしゃって下さいませんか?
ぜひ、さなぎの若い社員達を応援してやって下さい。 よろしくお願いします。
NPO法人さなぎ達理事長 山中修
『さなぎ達通信』2009年9月号より