詩を書きたい

どうすれば、人に共感してもらえる詩、が書けるのか――そのヒントと詩作方法を探します。

「詩の作り方」を読む 1

2014-05-12 | 詩について
黒田三郎を語るスレ」というのを見つけたので、リンクを貼ってみました。

 今日の記事から敬称なしで書きますね。
 
 黒田三郎の「詩の作り方」なのですが───本の紹介に目次がありません。どんな内容かわかるように、目次を書いておきます。

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詩との出会い
  煤煙と青い空 / 基本の形 / 現代詩とは / 教科書の詩 / 続教科書の詩 / 続々教科書の詩 / 詩のブーム / 「わからない」と言う人 / 自分は見た / 美辞麗句
現代詩の問題点
  現代詩はなぜ難解か / 戦後詩の出発(戦争の傷痕は消え去ったのか/一貫して生きた光太郎と達治/敗戦直後の二〇歳代詩人/新たな革新の嵐の予感)
私の詩
  はかない原型(私のアンソロジー) / 見ている目(私の作詩法) / 詩「紙風船」について / 作者と読者
創造の過程と詩の要素
  インスピレーション / イメージ / メタフォア / 語感の変化 / ことばと映像
実作にあたって
  行分けや行替え / 詩作と実生活 / いい先輩いい仲間 / 詩的形容と実感 / 一人の私一億の私 / 詩の多様性 / 文字かことばか
詩を読んで考える
  イメージの変化 / 変化する視点 / 体験と表現
日本語を考える
よい詩が備えている条件

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 平明な言葉で書かれてあります。詩の作り方、とありますが、レビューにもあるように、詩を作ろうとする人への「心構え」が書かれている、といったほうがいいのかもしれません。じっさいに詩を作る詩人が思うことが書かれてあるので、詩作するときのヒントになるものが多いと思います。


「詩との出会い」の章のまとめ
 投稿された若い女の子の詩を紹介から、次の言葉。「新鮮なおどろきのなかに、私たちの詩はあります。それは普通よく考えられるような、根も葉もない空想や、まだ見たこともない未知の国の夢ではないのです。私たちがそのなかで暮らしていながら、忘れ去っているもののなかに、それは宿っているのです」

「詩は作者の想像力の産物ですが、同時に、読者の想像力に訴えるものです」

【基本の形】では───
 日本の詩は文語調の新体詩から始まっている。それが口語自由詩になり、基本の形、枠がないのが、詩について話すときの泣きどころのように思う、と。
【現代詩とは】
 明治・大正の詩を近代詩、昭和からの詩を現代詩と呼ぶ。日本の詩はヨーロッパやアメリカの詩の影響を受けて変化してきた。ロマン主義、象徴主義、民衆詩派という流派の変遷も大切ですが、現代につながっているものを見出すことが必要だ。
【教科書の詩」
 どの詩人が何回取り上げられているか。その統計です。
【詩のブーム】
 マスコミが作った商業ペースのものでないか。それとはべつに詩は読まれているように思う。
【「わからない」という人】
 現代では絵画でもデフォルメして抽象的に描くことが増えてきた。そして「何を描いたか、わからないなあ」という人がいる。では、写実的に巧妙に描いたら、「わかった」といえるのか。詩もそうで、わかることを上手に描いたらい、いい詩であるといえるのだろうか。じつは、わかっているつもりでいて、わかっていないことがたくさんあるのでないか。現代の詩の多くは、絵画と同じように、何かの直接的な模写ではないのです。
【自分は見た】
 千家元麿の「自分は見た」という詩を取り上げています。
自分は見た。
とある場末の貧しき往来に平行した下駄屋の店で
夫は仕事場の木屑の中に座り
妻は赤子を抱いて座敷に通るあがりがまちに腰をかけ
老いたる父は板の間に立ち
        ――(略)――

 ここで作者はお互いに顔を見合わせながら思案にくれて微動だにしない人たちを見かけるのですが……
     されど自分は未だかゝる痛苦に迫った顔を見し事なし

「先に僕は、だれにも共通な詩的対象があって、普通のひとはうまくそれをあらわせないのに、うまくそれを表現するのが詩人である、といった偏見の誤っていることにふれました。あらかじめわかっている詩的対象などは何ひとつないのです。ほとんどすべてのひとが見もしないで通りすぎてゆくようなことを、詩人は見るのです。彼以外の人間が仮に見たとしても、それは見ないも同然と言っていいでしょう。
 日常生活のほんのひとこまのなかに、詩人が見るのは、人間の悲しさであり、人間のみじめさです。それは下駄屋の親子四人だけの悲しさにとどまるものではありません。
 詩人の心にあるのは、単なる同情や憐憫だけではありません。人間としてそういう瞬間を共有する、悲しさであり、みじめさ、人間としての共感なのです」
「ひとびとは、この詩をよむことによってはじめて、この一瞬の光景を、そこにある人間の悲しさを、まるで自分のことのように感じることになるのです」
「それは日常生活のほんのひとこまにすぎないかもしれません。何かを見ていながら、ほとんど何も見ていないのと同様に、多くのひとは、その生活をおくっています。しかし、詩人はそこに何かを見るのです。詩人が見るのは、目に見えるひとつの光景だけではありません。人間の心のなかの光景を、彼は見るのです」

【美辞麗句】
 対象を詩的にロマンチックに表現する、上手に美辞麗句を使うという偏見が、まだ、詩を見る場合、残っている。これら、紋切り型の形容をはがして、赤裸々になるところに、詩はある。


 明日は「現代詩の問題点」をまとめます。

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 唐突ですみませんが、はてなブログに引っ越すことにしました。
 記事を書いている途中に、ぼくの操作が悪くって……データが消失してしまうことが重なったので。それとAmazonの本のページにリンクをよく貼るのですが、はてなでは本の画像が出るのでいいと思って。画面も大きくなるので、読みやすいかなと思うのです。
 goo blog からはエクスポートできないので、そのまま残します。
 はてなブログはここです。読んでくださっている方はブックマークの変更をお願いします。m(_ _)m









 

「詩の読みかた詩の作りかた」を読む 3

2014-05-10 | 詩について
 お早うございます。
 じつは、配信予約でこの10日の記事を書いたのですが、他のサイトを見たりしている時に、データが消去されてしまいました。ちょっとがっくりしています。

 それで、思い出して書きます。

「詩の読みかた詩の作りかた」は実作向きの本ではありませんでした。そこで、今回で、まとめるのは最後にします。来週からは「詩の作り方」(黒田三郎 明治書院1969)を読みます。そこから詩を作るときのヒントを探ります。

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【詩の難解性について】の章がおもしろかったので、要約します。

P143
「つまり、読者からあなたの詩は難解だといわれた場合、詩人はどう感じるだろうか、あるいは、どう反論するだろうか、ということです。
 この点はすでに多くの詩人が反論しています。すなわち、詩人は元来、何かを他人に伝達しようと思って書くのではないから、一時的に理解されないことは問題ではなく、また、理解されないからといって、よりやさしい詩を書こうと思うわけではない、ということです」

 そして、C・D・ルイスはこういっています。
「われわれは、理解されるために書くのではない。われわれは理解するために書くのだ。しかし、詩作品が作者の経験の意味を、彼に説明するのに成功していればいるほど、また、想像力によってわがものとすることのできた他人の経験の意味を、うまく説明していればいるほど、その詩はますます確実に、結局は、理解されるのであろう」

 つまり、わかりやすくいうと――詩は他人に理解されるために書くのではないけれど、自分の経験の意味をちゃんと説明できていれば理解されるし、他人の経験の意味も説明できていれば理解される。

 ただ、難しいことがあります。

 作者は、自分の経験の意味を詩を書くなかでわかるから、です。詩を作ることで、自分が発見したものが何かわかってくる、からです。
 それで難しいのですね。




 鮎川信夫さんはこの「難解性」についてこういっています。
1 難解だから大衆と無縁だとは思わない。重要な作品なら必ず理解される。
2 わかりやすさを条件にするなら、詩は、歌謡や唱歌のようになってしまう。
3 戦時中、難解、虚無、退廃の詩がなかったことの意味を考えよう。


 これは、ぼくの考えですが――
 戦争中大政翼賛的詩が書かれたことへの批判と反省が、戦後詩を生み出した。
 そのなかで個人の思想性を過大に評価する傾向が、表現の難解性に繋がった。


P147にはこう解説してあります。
1 西欧の詩歌の歴史───象徴主義 → 表現主義 → 超現実主義
2 時代によって、詩論、スタイルが変化してきた。
3 日本の詩もその影響を受けた。

P148
多分に詩人の単なるポーズ或は詩のスタイルとして引きつがれているというところに、現代詩の無用な難解性が生まれてきている……こうした難解さは決して『どうにもならない詩の真実』から生まれてきたものではなくて、多くの場合、正確に書こうとしても書きえない自分の技術の未熟さをカモフラージュするためか怠惰から生まれてきているのです。大体表現の未熟は認識の未成熟を意味するのですから、彼らが書く朦朧として不正確な作品自体の中では、まだ、詩の主題そのものが明瞭に、かつ究極的に意識されてはいないのです……これこそ現代詩の重大な病患といわなければならないでしょう



 これは1980年に書かれた言葉です。あれから30年経ちました。現代詩は隆盛期を過ぎたようです。それでも、詩を読みたい人はいるでしょう。
 小説に純文学と大衆小説があるように、難しい詩も、わかりやすい詩もあっていいと思うのです。

 難解な詩も、「難しいのは、なぜ?」と考える楽しみを見い出せばいいのかもしれません。
 詩は自由で、どう書いてもいいものであってほしいものです。



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 では、また、12日に。




 

「詩の読みかた詩の作りかた」を読む 2

2014-05-09 | 詩について
【イメージと想像力】

P73 リルケは「詩は感情で作られるものでなく、体験から作られる」といったと、「マルテの手記」の言葉を引用されておられます。
 体験(経験)と追憶、思い出(記憶)との関係。そして詩との関係――(略)――が書かれてあります。
 すこし難しすぎるので、ぼくには観念的に思えて、よくわからなかったのですが……


P76で、詩のイメージを作ったり、伝えたりする能力はなにかというと───イマジネーション、想像力だ、と書かれています。

 そして、想像力についての定義、書かれた文章の引用、解釈、考え方……に多くのページが費やされています。学問的なので、飛ばし読みしました。

 ところで、こう書かれているのが印象に残りました。日本生産性本部刊行の「アルキメデスから原子力まで」という本からの引用です。
「人間が機械にまさっているのは、きざまれた記憶をはっきり思い浮かべる能力を持っている点である。ある一つの記憶を呼び起こしたとき、空間的・時間的に共通の要素を持つ限りない記憶を集める、それが連想である」
 これって、詩を作る時に必要な(素材集め)に役に立ちそうだということで書いた(発想法)にあるブレーン・ストーミングです。こういう想像力について書かれた部分で出て来るとは思いませんでした。

P90 「想像力は単にイメージを形成するのでなく、新鮮なイメージ、新鮮な比喩を作り出す力であり、記憶とはその素材を集め保存する力です

 フランスの哲学者バシュラールはこういっているそうです。
想像力とはむしろ知覚によって提供されたイメージを歪形する能力であり、それはわけても基本的にイメージからわれわれを解放し、イメージを変える能力なのだ。イメージの変化、イメージの思いがけない結合がなければ想像力はなく、想像するという行動はない







「詩の読みかた詩の作りかた」を読む 1

2014-05-08 | 詩について
 詩の作るためのヒントや方法を探すために、「詩の読みかた詩の作りかた」を読んだのですが、やはり「詩とは何か」の定義から書かれているように、「作りかた」よりも、「読みかた」、のほうにページをさいている理論書のような気がします。詩作のための本ではなかった。
 それでも、詩についての考えを深めることができたので、そのへんをまとめてみます。この本はアマゾンの検索では出てきませんでした。絶版なのでしょうか。
 中桐雅夫さんの詩集のリンクを貼っておきます。
    「中桐雅夫詩集」     「会社の人事 中桐雅夫詩集」    詩集を読んだ感想のサイト へのリンクも。


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P60 【比喩とイメージ】
のところで、エズラ・パウンドの「地下鉄の駅で」を紹介されています。
  人ごみから不意に現われた顔のまぼろし
  濡れた、黒い大枝にくっついた花びら

 この詩句を創りだすのにパウンドは1年かかったそうです。そのあいだに試した他の比喩も掲載されています。
 1年間も、一瞬見た景色を定着させるために呻吟した、というのはやはり詩人です。
 詩をつくるために、詩のことを考え続ける――それが詩人なのでしょう。
 パウンドがこの比喩を選んだ理由が書かれてあります。
「しかし、もとの詩では、ある新しい意外な比較こそまさにパウンドがわれわれに与えているものだということに気づく。濡れた黒い大枝にくっついた花びら、薄暗い背景にみえる白い顔――この比較は想像力の飛躍、驚きのショックを具体的に表現している。――(略)――その驚きのショックが、われわれをこの詩の意味へと導くのである。ある新しい、意外な解釈こそまさに、パウンドの新しい、意外な比較が与えてくれるものだ」


P65 【イメージとはなにか】
 C・D・ルイスの言葉
「イメージとは、読者の想像力に訴えるような仕方で、詩人の想像力によって描かれたことばの絵のことである」

 ここで中桐さんは、「イメージは絵のようなもの、つまり視覚に訴えるだけかといえば、そうではありません。五感全部に訴えるのです。視覚に訴えるイメージがもっとも多いですが、聴覚や、嗅覚、触覚にさえ訴えるのです」といい、例として杉山平一さんの「夜学生」をあげます。

   夜陰ふかい校舎にひびく
   師のゐない教室のさんざめき
   あゝ 元気な夜学の少年たちよ

       ――(略)――
   …………
   きみ達の希望こそかなへられるべきだ
   覚えたばかりの英語読本(リイダア)を
   声たからかに暗誦せよ
   スプリング ハズ カム
   ウインタア イズ オオバア


 この最後の声がわれわれの聴覚に「希望」として訴えかけてくるのです。
 感情の深さがなければ、いいイメージは生まれない、と書かれています。(P68)

 そして味覚では――佐藤春夫の「秋刀魚の歌」を。
   さんま さんま
   そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて
   
               ――(部分)――
「青き蜜柑の酸」の視覚と味覚のイメージです。

 また、石川啄木の「ココアのひと匙」も味覚のイメージの例として載せておられます。

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P71 「イメージは現代詩においてきわめて重要な役割を演じておりますが、詩人が『イメージのためのイメージ』を追うようになると、危険です。今日、そのような詩がすくなくありませんが、われわれは『イマージュの乱用と過剰は、心眼にとって、調子と不似合いな混雑を来たす。ちらちらしすぎると、かえって何も見分けにくくなる』とヴァレリイが注意していることを忘れてはならない、と思います」

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 明日もこの続きの、【イメージと想像力】の章です。








  

詩を書いてみる 2

2014-05-07 | 詩について
 考えたのですが……
【テーマは】
 猫を、他者の眼差し、神の目と捉える。
 自分の惨めな暮らしを救ってくれる救済としての……


【構成】
1 起───猫とよく出会う
2 承───様々な出会い
3 転───病気になった時 心細さ
4 結───願い

 に、しました。

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     猫たち

猫の街なのだ

ラジオ体操に出かける朝
マンションの階段に
いつもの灰色の猫がいて
通り過ぎるまで
こちらを
じっと見ている

思い出す……

路地の奥で
ニャーニャーと甘えて呼んでいた
子猫の姿は見えなかった

太ったやつが
悠然と
ブロック塀の上を歩いていたこともある

アパートの前の植え込みで子を産んだ母猫はどうなったのか
いつの間にかいなくなってしまった

ゴミ袋をあさっていた
野良猫
汚れた毛が逆立っていた
虹に包まれて

いま
神社の鳩を狩る
黒猫は
腹を地面に擦りながら
忍び足で
近づく
鳩の群れが
いっせいに飛び立つと
いつまでも
空を見上げている

それは
永遠に続く
遊びなのか

猫たちは
ひとりで生きているのだと思う

雨が降り続き
どこにも出かけられない日々

春の嵐が吹いた
午後に
めまいがして
風景に捲かれ
立っていることができず

布団のなかで
目を閉じていると――

呼ぶ声がする
部屋を出て
廊下を見るが
誰もいない

赤ん坊のように
手足を縮めて
ここで
生きている

明日は

猫たちに
会いに行く




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 稚拙ですが……書いてみました。何年も詩を作ることから離れていたので難しかった。言い訳ですけれど……(汗)
 物語みたいに全体を語るのでなく、もっと焦点をしぼって描写したほうがよかったかも……
 読んでくれた人が、共感してくれる詩を書けたら、最高なのですが……自分の実力では無理かもしれない。

 でも……詩は、作ることに意味があるような気がします。わだかまっていたものが整理され、少しでも(自分にとり)気づくことがあればいい。それが詩を書くご褒美だと思うのです。
 読んでくれる人には感謝しています。何度でも書き直して、いい詩が書けたら、いいのですが……でも、自分なり、なのでしょうね。(笑)

 
 今回、実作を試みたことで───素材を集めて → 再構成して具象化する、というプロセスで書ける、とわかりました。

 詩を書くためのヒントと方法を、これからも探していこうと思っています。
 明日から、以前に「詩の定義」を引用した、「詩の読みかた詩の作り方」(中桐雅夫 晶文社1980)を読んでいきたいと思っています。







詩を書いてみる 1

2014-05-06 | 詩について
 これまで学んだことによれば、詩を書くという行為は、モチーフ(動機)がある →  素材集め  → 中心材料を選ぶ →  テーマによる表現を工夫する、という流れになります。

1 浮かんだ言葉を書き留めておく。(素材集め)

2 テーマは何か、と考える。=中心になる材料は何か?

3 テーマが伝わるように、対象を描く表現を工夫する。

4 3のなかに、構成を練ったり、切り口を選んだり、表現のテクニックが入ってきます。

  杉山平一さんの「現代詩入門」で学び、まとめたことも。
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【詩とはなにか】
  1 詩とは、非日常気分になったり、現実や常識から離れた気持にさせるもの。
  2 常識を覆す言葉の使い方をする。メタファーなど。
  3 新しい発見、新しい見方、意外な意見。

【詩が表現するもの】
  1 見逃される小さきものへの視線
  2 限りなきもの
  3 異端・怪奇

【技巧】
  1 テーマを具体的な動作や物にいい替える
  2 対比する
  3 「詩はモンタージュ」
    言葉(対比・比喩)による流れ。シーンのカット

  4 誇張せよ
  5 リズム
  6 感覚による物への没入体験
  7 詩は謎かけ
  8 ユーモア
  9 スローモーションやハイスピード
    日常(動作・見えるもの)を分解、分析、解体する
  10 夢はそのまま詩

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 すべて完璧にというのは無理なので、自分なりに始めてみます。
【動機】
 なにを書くか考えたのですが、朝、ラジオ体操に行く時に見かける猫たちについて書いてみることにしました。


【素材】

1 歩いている時に、道を横切る猫を見かける。よく出会う。
2 路地の奥で姿は見えないがニャーニャーと鳴いている子猫。
3 ある昼、ブロック塀の上にいた。歩いていたりもする。賢者の風格。ひとり。
4 玄関で――足にじゃれついてきた猫。
5 植え込みの中で赤ちゃんを産んでいた。子猫は何処に行ったか。
6 階下のおばさんは、猫の毛で喘息を起こす。
7 ゴミ置き場のビニール袋を破って、なにかひきづり出していた。
8 汚い毛並みの――野良猫。すごくめだった。灰色で。
9 お寺、神社に住み着いている。黒猫。
  のそりと歩く。
  鳩を狙って、忍び足で。狩り。見ていたら、気づいてやめた。墓場へ入っていった。
  灯籠の陰で、歩いてくる人をやり過ごす。人を警戒している。
10 なぜ、猫を見かけることが多いのか? 見られている? 神の目。   
11 朝に、猫の集会に出くわしたこと。いっせいに、こちらを見た。
12 病気になった時、猫の鳴き声がしたような気がした。


 まだ、素材としては少ないでしょう……もっと多く集められれば……

 一日の記事としては長くなりそうなので、明日に続きます。

詩の作り方のポイントの続きの2

2014-05-05 | 詩について
詩のつくりかたのポイント
     3 なぜ比喩を使って詩を書くのか

     4 リズムとヒビキについて

     5 子どものいのちに迫る言葉で書く


のまとめをお送りします。

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 じつは、これらの項はあまりにも理論的、解説的であるために、「もう、皆さん、わかっているから、いいでしょう」と、思ったのです。要約するのは……もう。「子どもに向けて」のためでない詩を書こうとする人にとっては、あまり役に立つと思えないので。

 でも、印象に残ったところを引用します。

比喩について───
P165
「詩は感動の凝集的表現といわれるように、それは常に衝撃的でなければならない。というとき詩人は、自らの思いをインパクトのある言葉で表現しようとする。そこでの結果が比喩になる。常識的な言葉と言葉の結びつき、さらにいうなら、習慣的に摺り切れた言葉の惰性を廃して、新たなる結びつきとしての言葉の組み合わせを試みるのである。そこでのショッキングな言葉の組み合わせによって、新たなる驚きを引きだし、引き起こし、世界を言葉の渦のなかに巻きこんでしまう。そして、それを可能ならしむる言葉の方法が『比喩』の名で呼ばれる」




リズムとヒビキについて───の項のまとめ

1 わたしたちの詩は、俳句や短歌や漢詩などの定型律から離れた自由律詩。西欧から口語自由詩として移入された。

2 短歌的抒情は、戦後、小野十三郎によって「奴隷の韻律」と、否定された。

3 俳句は桑原武夫によって、「第二芸術」とされた。

4 戦後詩を作った「荒地」グループも、リズムより、思想性を優先した。

5 谷川俊太郎の詩集「ことばあそびうた」はリズムの復活。

6 日本の美。魂の息遣い。自然の――生理的な――感性のリズムがある。




子どものいのちに迫る言葉で───のまとめ

1 幼児心性的な想像世界が描かれていること。

2 P235 「……その言いきれないものを詩の言葉としていう。だから当然のように、それは、超――意識、超――論理、超――倫理で、超――言語的すらある。言葉とかかわるすべてを乗り越えたところに詩が在る、ということになります」


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「子どもに向けての詩を書く」ことを目指したこの本は、心理学、言語学の分野まで視野に入れた、論理的な本でした。

 学んだことは多かったのですが、でも、一般的な詩を書きたいぼくは、実作的なアドバイスを望んでいます。それを考えながら、ブログを続けていきたいと思っています。

 
 明日、いままで学んだやり方で、詩を作ってみようと思っています。










詩の作り方のポイントの続き

2014-05-03 | 詩について
詩のつくりかたのポイント2───モチーフからテーマまでのまとめ。

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モチーフ(詩を書く時の動機となった考え) →  素材  → 題材(中心になる材料) →  テーマ(中心となる考え)と進みます。
 その流れのなかに、前回の、

 
1 浮かんだ言葉を書き留めておく。(素材集め)

2 発酵するまで待つ。テーマは何か、と考える。=中心になる材料は何か?

3 テーマが伝わるように、対象を描く表現を工夫する。(腕の見せどころ)


         が、重なるのですが───

 著者はここで、詩を組み立てるときの目の付け所、テーマへの切り込み方が大事だ、といっておられます。
 つまり、表現を工夫する=着眼点、だと。

 
 これは詩の組み立て=構成にも関わってくることでしょう。
 文章は、起承転結、です。
 どう表現すれば、読んでくれる人に伝わりやすいか。

 動機 → 素材 → 題材 → テーマ と考えていく場合、多くのアイデアが浮かんだり、消えたりします。

 こういう材料を使えば、こう表現できるのではないか?
 この材料があるけれど、これは使えるか?
 こう持ってくれば、こう展開できる。
 こうすれば──こうなる。
 こうしたら――こうなる。
 この可能性があるから……こうできる。


 発想が大事です。
 頭のなかで迷いながら、こうでもない、ああでもないと、ブレーン・ストーミングするのが大事ではないでしょうか。


 発想法についてはここで興味をもったサイトを見てください。

 
 詩は、自由な発想、常識破り、奇想天外だと思っています。



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 今週から日曜日は配信しません。お休みします。これからの方向性を考えたりとか、書く材料を集めたり、アイデアをストックしたいので。(「そんなに大袈裟に考えることか! たいしたことを書いてもいないくせに!」というツッコミはやめてくださいね(汗))











詩の作り方のポイント

2014-05-02 | 詩について
 詩のつくりかたのポイント1───驚きは将に驚こうとしている心の状態だけに訪れる(吉本隆明)

 ヴァレリーは「最初の1行を神が書き、2行目からは詩人が書く」といったそうです。

 詩人とは───見えないものも見る
        聞こえないものも聞く
                     存在らしい。


 詩を書く動機(モチベーション)

 見ているつもり、見ているはず、聞いているつもり、聞いているはず、の枠を外れたところから───インスピレーションが訪れる。
 吉本隆明さんにとっては───詩は、「将に驚こうとしている心の状態だけに訪れる」ものだったようです。




 詩の書き方

ひらめき、ときめき、輝き……なんでもいいのです。アンテナに飛びこんできたものを、まず言葉の順序など無視して書きとめる。それを神様からの言葉として印象深く書き記して、言葉の発酵を待つ

  (P107に図が書かれています)

【詩を書くときの気持ちの動きの順序】
     
    具象                 観念                       再具象
          
(見る……感じる……)  (書き表したい気持ちの中心を定める)  (素材をいちど、バラバラにする) 
                                              (主題にそって、組み立てなおす)
  素材(きっかけ)             主題                       表現の工夫



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【まとめ】                                                                                                      

1 最初から詩を作らなくていい。浮かんだ言葉を書き留めておく。

2 発酵するまで待つ。テーマは何か、と考える。

3 テーマが伝わるように、対象を描く表現を工夫する。(腕の見せどころ)