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☆アニメ「地球へ…」の二次小説です
<用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
☆あらすじ☆
一章「黄昏の海」
地球へ辿り着いたミュウ。人類との会見後グランドマザーの許に降りたジョミーとキースは、マザーの策略で殺されそうになる。ジョミーの最後の力でイグドラシルから地上に戻った二人。
そして、大戦から二年。ミュウは新たな移住惑星に移り住む事となった。その旅立ちを見送ったジョミーはキースと共に「月」へと向かった。そこにはソルジャー・ブルーの身体が保管されていた。
その事実をジョミーは何故かミュウ達に明かせずにいた。
二章「湖底の城」
木星でキースの警護をして暮らすジョミーに「カナリア」の少年が会いに来た。彼らには渡航出来るIDは無い。事の不審さにジョミーとキースはある計画を練った。だがそれは思いも寄らない展開へと進んだ。事件解決後、ジョミーはメティスを出てスメールへ渡った。
『君がいる幸せ』
三章「星の祈り」
一話(Chiron)惑星キロン過去編 ※この章は流血もBLもあります。ご注意を!
何をしても人は許されるのだろうか?
この世に神がいるのならば…。
僕は…許しを請う事すら許されないのだろうか…。
ゆっくりとシャトルが進む先にミュウが移住した惑星メサイアがある。
メサイアはパラテラフォーミング中の惑星で、白っぽい土の下に建設中の建物が見える。
太陽系から見ると、その位置は人類が居る宇宙の中央部。
人類の中枢惑星・首都栄星ノアに近かった。
この星域には昔、来た事があった。
その白っぽいメサイアを見ると思い出す。メサイアよりもずっと遠くの星キロンを。
…それは、今より20年前
まだ僕がソルジャーになって間もない頃。
もう思い出す事も無くなった過去の話。
けれど、忘れてはいけない過去の出来事。
辺境にある小さな惑星キロン。
その星は鉱石が豊富でシャングリラの補修にそこの金属が必要になった為、ステルスで人類の目を盗んで採取していた。
小さな星には人類の採石場もあった。
そこでは過酷な条件で働かされている人達がいた。
調べるとその収容所にいる人々は潜在的なミュウ因子の持ち主たちだった。
年々、成人検査の技術が向上する中、ミュウにならない因子(ミュウ化する危険の少ない物)まで発見されるようになってきていた。
政府からは%の低いものは排除や拘束をしてはいけない決まりで、そういう施設は作らないように言われていたが、中枢から遠い辺境地域では因子を持つというだけで人の道から外され、こうした労働を強いられる人たちが、まだ存在していた。
しかし、ミュウ側がそれを知ってもミュウ化をしない人間まで助ける事は出来ないという考えだった。
「彼等は人間なんだ」
「助けなくてもいい。その内、助かるだろう」と言う意見は、僕には、
「彼等は運が悪かっただけだ」
「人間なんだから助ける必要はない」と聞こえていた。
それは、僕がまだソルジャーになって間もない頃。
自分の意識を飛ばすだけでなく、ちゃんと触れる事が出来るものが作れないだろうかといろいろと作ってみた中で、一体だけ人間(クローン)が出来た。
この事を知っているのは僕とリオだけだった…。
それがはじまり。
自分の遺伝子データから作ったので、僕そっくりのソレを僕は「ドール」と呼んで色々と人としての動作を教えていた。
人に見えるようになってくるとコレはちゃんと動くのだろうかと、僕やリオ以外とでもコミュニケーションが取れるのかと外に出してみたくなった。
そして、外に出す時は「ジョミー」と名乗らせようと考えていた。
ドールには期限があった。
養水から出すと三週間ほどしかその身体がもたないというデータが出ていたが、僕はそれくらいの期間なら丁度良いと鉱石を採取する人類の収容所に「ドール」を入れてみたくなったのだ。
反対するリオを「収容所は成人検査が済んだばかりの子もいるので気が付かれない」「短い間だから」と、説得し許してもらった。そして、人類の記録を書き換えて潜入させた。
その時、僕は長老達には言わないでいたが、収容所の人間も救いたいと思っていた。
彼等をそっとどこかの惑星に逃がしてやればいいのではないかと、そんなことを思いながら、彼等が望まずにそんな境遇になってしまった人間ならば、僕らと分かり合えるかもしれない。
そしてこれが「人類との第一歩」になるかもしれないと考えていた。
ドールが経験した事はジョミーに見れるようにしてあった。
就寝時に精神感応で同期させるのだ。
収容所での労働は過酷なもので、まるで監獄に入れられているような暮らしだったが、同じ年頃の人間と同じ生活をするのは学校生活が戻ってきたようで、僕には楽しく感じられた。
潜入して一週間が過ぎた頃に、一度だけジョミー本人が潜入してみた事があった。
創造した通り労働はきつく大変だったが思考を遮蔽する事もなく自分が周りからどう見られ、どう思われているかを考える事のない普通の人間の世界がそこにはあった。
いつ戦うのかわからないのに訓練する事もない。
僕は、少しずつ魅せられていく自分を感じていた。
やがて、二週間が過ぎ「ドール」を回収する時期になった時、人類が収容所を閉鎖するという情報が入ってきた。
僕とリオはバードフレッチアで飛び出した。
続く
<用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
☆あらすじ☆
一章「黄昏の海」
地球へ辿り着いたミュウ。人類との会見後グランドマザーの許に降りたジョミーとキースは、マザーの策略で殺されそうになる。ジョミーの最後の力でイグドラシルから地上に戻った二人。
そして、大戦から二年。ミュウは新たな移住惑星に移り住む事となった。その旅立ちを見送ったジョミーはキースと共に「月」へと向かった。そこにはソルジャー・ブルーの身体が保管されていた。
その事実をジョミーは何故かミュウ達に明かせずにいた。
二章「湖底の城」
木星でキースの警護をして暮らすジョミーに「カナリア」の少年が会いに来た。彼らには渡航出来るIDは無い。事の不審さにジョミーとキースはある計画を練った。だがそれは思いも寄らない展開へと進んだ。事件解決後、ジョミーはメティスを出てスメールへ渡った。
『君がいる幸せ』
三章「星の祈り」
一話(Chiron)惑星キロン過去編 ※この章は流血もBLもあります。ご注意を!
何をしても人は許されるのだろうか?
この世に神がいるのならば…。
僕は…許しを請う事すら許されないのだろうか…。
ゆっくりとシャトルが進む先にミュウが移住した惑星メサイアがある。
メサイアはパラテラフォーミング中の惑星で、白っぽい土の下に建設中の建物が見える。
太陽系から見ると、その位置は人類が居る宇宙の中央部。
人類の中枢惑星・首都栄星ノアに近かった。
この星域には昔、来た事があった。
その白っぽいメサイアを見ると思い出す。メサイアよりもずっと遠くの星キロンを。
…それは、今より20年前
まだ僕がソルジャーになって間もない頃。
もう思い出す事も無くなった過去の話。
けれど、忘れてはいけない過去の出来事。
辺境にある小さな惑星キロン。
その星は鉱石が豊富でシャングリラの補修にそこの金属が必要になった為、ステルスで人類の目を盗んで採取していた。
小さな星には人類の採石場もあった。
そこでは過酷な条件で働かされている人達がいた。
調べるとその収容所にいる人々は潜在的なミュウ因子の持ち主たちだった。
年々、成人検査の技術が向上する中、ミュウにならない因子(ミュウ化する危険の少ない物)まで発見されるようになってきていた。
政府からは%の低いものは排除や拘束をしてはいけない決まりで、そういう施設は作らないように言われていたが、中枢から遠い辺境地域では因子を持つというだけで人の道から外され、こうした労働を強いられる人たちが、まだ存在していた。
しかし、ミュウ側がそれを知ってもミュウ化をしない人間まで助ける事は出来ないという考えだった。
「彼等は人間なんだ」
「助けなくてもいい。その内、助かるだろう」と言う意見は、僕には、
「彼等は運が悪かっただけだ」
「人間なんだから助ける必要はない」と聞こえていた。
それは、僕がまだソルジャーになって間もない頃。
自分の意識を飛ばすだけでなく、ちゃんと触れる事が出来るものが作れないだろうかといろいろと作ってみた中で、一体だけ人間(クローン)が出来た。
この事を知っているのは僕とリオだけだった…。
それがはじまり。
自分の遺伝子データから作ったので、僕そっくりのソレを僕は「ドール」と呼んで色々と人としての動作を教えていた。
人に見えるようになってくるとコレはちゃんと動くのだろうかと、僕やリオ以外とでもコミュニケーションが取れるのかと外に出してみたくなった。
そして、外に出す時は「ジョミー」と名乗らせようと考えていた。
ドールには期限があった。
養水から出すと三週間ほどしかその身体がもたないというデータが出ていたが、僕はそれくらいの期間なら丁度良いと鉱石を採取する人類の収容所に「ドール」を入れてみたくなったのだ。
反対するリオを「収容所は成人検査が済んだばかりの子もいるので気が付かれない」「短い間だから」と、説得し許してもらった。そして、人類の記録を書き換えて潜入させた。
その時、僕は長老達には言わないでいたが、収容所の人間も救いたいと思っていた。
彼等をそっとどこかの惑星に逃がしてやればいいのではないかと、そんなことを思いながら、彼等が望まずにそんな境遇になってしまった人間ならば、僕らと分かり合えるかもしれない。
そしてこれが「人類との第一歩」になるかもしれないと考えていた。
ドールが経験した事はジョミーに見れるようにしてあった。
就寝時に精神感応で同期させるのだ。
収容所での労働は過酷なもので、まるで監獄に入れられているような暮らしだったが、同じ年頃の人間と同じ生活をするのは学校生活が戻ってきたようで、僕には楽しく感じられた。
潜入して一週間が過ぎた頃に、一度だけジョミー本人が潜入してみた事があった。
創造した通り労働はきつく大変だったが思考を遮蔽する事もなく自分が周りからどう見られ、どう思われているかを考える事のない普通の人間の世界がそこにはあった。
いつ戦うのかわからないのに訓練する事もない。
僕は、少しずつ魅せられていく自分を感じていた。
やがて、二週間が過ぎ「ドール」を回収する時期になった時、人類が収容所を閉鎖するという情報が入ってきた。
僕とリオはバードフレッチアで飛び出した。
続く