信州・佐久で、ものづくり

信州・佐久在住の「ものづくり」の裏方である生産技術一筋二十数年。一芸より多芸を求められる人間から見た「ものづくり」論。

歯科用イオン導入装置 開発苦労話 その28

2016年07月09日 21時41分33秒 | 日記

8月に千葉県内で拠点を移動する都合上、ブログの更新が遅れ気味で申し訳ございません。

齲蝕予防すなわち虫歯予防に使用する歯科用イオン導入装置について語っていますが、ちょっと道を外れて「洗浄」について、お話をします。滅菌や殺菌を重視する余り軽視しがちなのが洗浄。生産設備や器具だけでなく作業者の手や服装にも洗浄の知識は必要ですね。

洗浄に使用されるのが、「洗剤」。洗剤と言っても、その成分を大きく分けると・・・

  1. 界面活性剤
  2. アルカリ成分
  3. 酸性分

1.アブラ汚れを分解する界面活性剤

アブラを分解する成分ですね。御存知の通り、アブラに溶けやすい親油基と水に溶けやすい親水基からなります。混ざりにくいアブラと水を混ぜるような目的では乳化剤とも言われます。

2.タンパク汚れを分解するアルカリ成分

垢(あか)、飲食物の食べこぼし、血液等のタンパク質を分解するにはアルカリ洗剤を使用します。水酸化ナトリウム溶液に手を入れるとヌルヌルしてくるのは・・・あなたの手が溶けているから!って学校で習いましたよね。石鹸もアルカリ性ですね。殺菌剤に使用される次亜塩素酸ナトリウムもアルカリ性です。

3.水垢、乳石、尿石を分解する酸成分

ご家庭ではトイレ用洗剤に使用されています。だんだんと汚れてくる、って感じの汚れを落とす時に使用する洗剤というイメージでしょうか。「酸は怖い」というイメージも強いと思います。特に塩素系洗剤と酸洗剤を混ぜると塩素ガスが発生して危険です。使う時だけでなく、保管場所も分けるようにしましょう。もちろん行政でも酸・アルカリの分離保管は強く指導しています。

食品工場ではCIP(Clean In Place;定置洗浄装置)といって水洗、アルカリ(洗剤)洗浄、水洗、酸洗浄、水洗を自動で行う装置があったりします。手で洗おうと機械で洗おうと、その効果は汚染指標菌検査等で調べる必要があります。もちろん作業者の手指の洗浄も同じです。

ところで洗浄する際に、熱いお湯を使うべき!とお思いの方がおられるのではないでしょうか?

実はタンパク汚れの場合、60℃以上の熱いお湯を使うとタンパク質の熱変性により固まり、かえって汚れが落ちにくくなります。最初は体温位の水洗いが、よろしいようで。

どんな洗剤を使っても、最後は十分な水洗が必要です。洗剤成分(殺菌剤成分)の残留も重大なハザードと認識するのが、プロフェッショナルの務めですね。


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