■2006年 日本 119分
■2008.12.10 DVD
■監督 大林宣彦
■出演
筧利夫(川野俊郎)
寺尾由布樹(若き日の川野俊郎)
細山田隆人(相生) 鈴木聖奈(田口花鈴)
中村美玲(北島葉子) 窪塚俊介(浅野浩之)
南田洋子(団地の主婦) 峰岸徹(松島専務)
村田雄浩(花鈴の父) 三浦友和 (杉田部長)
長門裕之(やきとり屋甚平)
清水美砂(藤田有美)
《story》
「切ないけれど、情熱に出逢う」
「17本目からは、ふたりで灯をつけた・・・」
「22才、あなたのあの頃・・・」
福岡市の商社に勤める44才の俊郎は、上司から海外勤務の打診を受ける。まだ独身で、はっきりしない関係の有美がいた。ある日、コンビニで「22才の別れ」を口ずさむ女性花鈴と出会う。俊郎は、コンビニをクビになった花鈴と再び出会い、「援交して」と言われる。何か不思議な縁を感じ、家に招き入れる。そして、俊郎と花鈴は結婚を約束するのだが、花鈴には秘密があった。花鈴は、同郷の青年と安アパートで助け合いながら生活していた。それは、22年前の俊郎と花鈴の母である葉子との姿であった。葉子の22才の誕生日に部屋を飛び出した葉子を追うことなく、郷里にもどった葉子は結婚し花鈴が生まれた。その事実を知った俊郎は、花鈴と青年を助けるのだった。花鈴と郷里に久しぶりにもどり、娘のような花鈴と22年前の葉子の姿をだぶらせる俊郎だった。
意外と迫ってくる切なさ
初めは、まるで抑揚のない棒読みのようなセリフにコメディのような感じさえあったのだけど、それがだんだん切なさを醸し出しているように思えてきた。「22才の別れ」は、青春時代を象徴するような曲だ。それだけでも懐かしい。自分のあの頃の思うようにいかない恋を思い出す。人の気持ちが見えなかった自分を思い出し、どうしてあの時・・・と後悔してしまう。もっと別な展開があったんじゃないかと。俊郎はどうだろう。もし、あの時別れていなかったら、幸せな人生を送れていただろうか。送れていたとしても、花鈴は生まれていなかった。葉子も花鈴も、あるべき姿。幸せな道の線上にあるのだと思う。貧しさのために寄り添う姿は悲しくもあり切なくもあり、でも温かさがあるような気がする。ただの同棲とはちがう。俊郎はいつも冷静だからよかったけど、でも、一歩間違っていたらと思うと、不幸の連鎖になりかねなかった。かつての恋人の娘と結婚、愛し合っていた若い二人引き裂く、同僚の有美も傷つける。その危なさも切なさのひとつなのかも。
公式サイト「22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語」
カメラを通して見ると、いつもの町並みがとても輝いて見える。不思議だ。少し上のアングルから、流れるようにスライドして、別な世界が展開していく。監督やカメラマンは、そんな想像力を兼ね備えているのだろう。高校生のときからカメラを持っているけど、満足できる写真が撮れない。写真は好きで、よく撮るんだけど、撮っているときに何をどう撮ればいいのかわからない。貴重な一枚、シャッターチャンスと言うけど、そのタイミングがつかめない。それに、未だ、絞りだとか露出だとか、ホワイトバランスだとか、うまく使いこなせない。何やっても不器用だね。高校生のときは白黒写真。自分でフィルムの現像もして、現像液に印画紙を入れて写真を焼いた。その道具も買った。浮き上がる映像に感動した。今はデジタルカメラ。いくらでも撮っていいし、補正もできる。どこににでもあるけど、輝かせる方法を今でも追い求めている。今日も、町をあるいて写真を撮ろう。