■2008年 日本 105分
■2008.9.27 TOHOシネマズ緑井
■監督 中島哲也
■出演
役所広司(大貫=ガマ王子)
アヤカ・ウィルソン(パコ)
妻夫木聡(室町=ザリガニ魔人)
土屋アンナ(タマ子=メダカちゃん)
阿部サダヲ(堀米=ヤゴ)
加瀬亮(浩一=アメンボ家来)
小池栄子(雅美=沼エビの魔女)
劇団ひとり(滝田=サカナ)
山内圭哉(龍門寺=ミズスマシ君)
國村隼(木之元=ガマ姫)
上川隆也(浅野=タニシ)
《story》
「子どもが大人に、読んであげたい物語」
あるところに病院があり、そこには変わった患者が入院していた。元名子役、消防車に轢かれた消防士、オカマ、銃で撃たれたヤクザなど、看護士さんも先生も変わっていた。特に会社を一代で築いた大貫は超わがまま。ある日、パコと言う少女が大貫の前に現れる。大貫は一緒に絵本を読もうとしていたパコを突き飛ばし、自分が落としたライターを持っていたことに腹を立て、パコのほほをぶってしまう。パコは交通事故の後遺症で、前の日のことをすべて忘れてしまうのだった。次の日の朝、枕元に置いてある絵本を自分の誕生日プレゼントだと思って、毎日読んでいたのだった。そのことを知った大貫は反省し、謝ろうとパコのほほに触ったところ、「昨日も触ったよね」とパコはその感触を覚えているのだった。大貫は、パコのために何かをしてあげたいと思い、重い病で死ぬ前に、パコの絵本をみんなで演じようと計画を立てるのだった。楽しい劇が終盤を迎え、余命を使い果たしたと思った大貫だったが・・・。
はちゃめちゃだけど深い
「嫌われ松子の一生」で、この監督の作品はけっこうおもいろぞと思うようになった。「下妻」ではそうは思わなかった。「嫌われ」のおもしろい中の悲哀さにひかれた。きっとはちゃめちゃの中にある悲哀さだけに印象が深まるのかもしれない。わがままな大貫という人間が、人のために必死になるということ。人が何かをきっかけに変わるということ。人は、見かけだけでなく、さまざまな見えない背景を抱えていると言うこと。けっこう深味がある。あそこまではちゃめちゃにする必要があるのかどうかはわからない。しかしながら、徐々に引き込まれていくのは確かだ。相手が少女だからこそ、大貫は立ち止まることができた。自分の姿を自分で見つめ直すことができた。可憐な少女には大きな力がある。
心配性というのか、鬱というのか、気になって仕方ない日々。家を出る前に何度もガスの元栓を確かめるような感じだ。あらゆることが自信をもって迎えられない。実際にミスもあるから、余計に自分がやっていることに不安を感じる。これってやっぱり病気なのかな。心療内科にいくべきか。疲れとストレスだと片づけ、薬局で買った薬を飲み、ドリンクを飲み、石橋をたたいて渡るように一日を過ごす。そういう時期なのかな。そういう年齢なのかな。
公式サイト「パコと魔法の絵本」