ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

タイ イサーンの結婚式

2011年12月18日 22時35分10秒 | タイ文化

ずいぶん前のこと。
配属先、第9特別教育センターで、先生から結婚式の招待状をもらった。
自閉症クラスにいるベン先生。
若いが、とても子どものことをよく見ている人で、
私に対してはゆっくりとわかりやすく話してくれ、しかし特別視せずに接してくれる。
その自然さと、きれいな顔でゲラゲラ笑うひょうきんさが素敵な先生。
私のとても好きな先生。

ベン先生の出身はコンケンと同じくイサーン(東北)のコラート。
ナコンラーチャシマーともいう。
イサーンの玄関とも言われる大きな都市だ。


初めてのタイ結婚式、しかもイサーンでの結婚式なので、
事前学習しておかないと。
センターの他の先生達にイサーン結婚式のこと、着ていく服のこと、ご祝儀のことなど
いろいろと教えてもらう。
何万円かご祝儀を入れるという日本の話をすると、先生達が声を上げてびっくりして
「そんなに入れなくていい!」と騒ぐ。
タイの結婚式と一口に言っても、バンコクとイサーンではスタイルが違うらしい。
イサーンの結婚式のことを、サオ先生が絵を描きながら説明してくれたおかげで
なんとなくわかった。    (→過去ブログ 「素晴らしいサオ先生」


〈ご祝儀〉
 もらった招待状の封筒を使い、お金を入れて渡す。
 プレゼントを渡してもよい。
 値段は親しさ度によるが、日本のように友達で3万円も包むことはない。
 今回は500バーツ(1500円程度)入れることにする。


〈時間〉
 タイで縁起のいい数字は9
 そのため、式の開始時間が「8:09」など。
 結婚式をしてそのあとは延々と披露宴。
 1日で夜までかけて行う場合、2日に分ける場合もある。
 結婚式の前後3日、計6日間は夜通し宴会。


〈衣装〉
 参列者は年配の人ならタイの伝統の布の衣装(巻きスカートやスーツ)、
 若い人たちはちょっとこぎれいな格好。おしゃれならジーンズでもいい。
 日本ほど新婦の友人がドレスアップすることはない。
 結婚式での白と黒は敬遠される色。
 式では、新郎新婦はタイの伝統衣装。
 新郎が公務員だとちょっと自慢なので公務員の制服(白)を着る。
 披露宴では、ウエディングドレスを着ることもある。 
     

       
〈会場〉
 もともとは自宅が多いが、今どきの結婚式ではホテル挙式やホテル披露宴もあり。
 イサーンではまだ少ない。
 村人たちが集まり自宅を飾りつけ、会場には仏像や花、新郎新婦のドレスの写真などを飾る。
 テントや食器などは、男性が寺に借りにいき、花嫁の着付けや化粧は友人や親戚の女の子で行う。
 近所同士、村人総出で手伝うのが当たり前。
 料理も前日から女性たちで手作り。
       


〈イサーン結婚式の流れ〉
1、嫁取りの儀式。 
  花婿と親戚、知人たちが手に花や枕、食べものを持ち、笛や太鼓を鳴らして
  さわぎながら花嫁邸へ行進。

2、試練。
  花嫁邸の入り口には、何人もの子どもたち、友人、親戚のが
  ゴールテープのように紐を持って通せんぼ。
  門番のように入り口を塞ぐ。
  それらの人たちがわざと絡んで通さないようにするので、花婿は言葉巧みにお願いしつつ
  お金をあげて、中に入れてもらう。
        
  
3、儀式。
  家に入ると、花嫁とその家族、花嫁の友人、村ならば長老が待っている。
  村の長老が、結婚式を執り行う。
  祝いの言葉をもらい、ものの交換(これがよくわからなかった)。
  新郎の持参金を全員の前で披露。紙幣を床に並べてみせる。男の甲斐性の見せ所。
  新郎新婦の前に、ペンダント、腕輪、お金、耳飾り、花輪、お金などが並べられ、
  その中から相手にあげたいものを選び、参列者たちの前で互いにつけあう。
  選んだものには今後の夫婦生活を指し示す意味があるらしい。(子宝とか?)
  両家の親、親戚などが、米をふったり、重いものを担いだり、決まった儀式をこなす。
                

4、参列者からの祝福。
  新郎新婦はそれぞれ頭に花輪(シリモンコン)を載せ、その花輪は白い紐でつながっている。
  結婚式に参列した人々が、 祝いの言葉をかけながら、花婿・花嫁の手首に白い糸を巻く。 まるで包帯。
  おでこには経文のようなもの描き、手には参列者たちから清めの水をかけてもらう。
         

5、最後の儀式
  花が散らされたベッドに皆の前で、二人で寝そべる。
  (最近ではやらないこともある。)
  これにて終了。

6、大宴会。 
  いつ終わるともしれない宴会が延々と続く。
  カラオケ、酒、ダンス、なんでもあり。
  とにかく長い。 どっと疲れて終わり。
      






コラートに行くのに、コンケンから3時間。
センターのみんなは夕方からの披露宴に参列する。
披露宴ではウェディングドレスを着るという。
私は、タイの伝統の衣装の姿が見たい。それならば、朝の式に参列しないといけない。
8:09から始まる結婚式に参列するには、朝コンケンを出ては間に合わないため、
夜のうちに出発する。
コラートに到着したのが夜中2時。
タクシーやソンテウが動き出す朝まで、バスターミナルで過ごす。
    


ベン先生の家がコラート市内から外れたところで、タクシーでもなかなか見つからず、
やっとの事で到着。
こんなところまで一人でたどりつけた自分にちょっと感激。
私が現れると、びっくりしていたベン先生。
「さちえ!一人で来たの?!すごい!よくやったわねえ!」
と、一人での大冒険を絶賛。
ベン先生、とてもきれい!
     


庭にはテントが設置され、たくさんの人がすでに宴会を楽しんでいる。
     


日本人だというだけで歓待してくれて、見知らぬ人たちでも親しげに料理を勧めてくれる。
    


会場は、家族や友人、村の人たちがみんなで作ったのだろう。
あったかい手作り感がある。
       


新郎新婦二人とも、我が配属先第9特別教育センターの先生同士。
公務員なので、そこをちょっと自慢してか、花婿は公務員が式典などここぞと言うときに着る白い制服を着る。
タイでは男性は一生のうちに一度は出家するべきという考えがあるため、
新郎は結婚式前の1週間、寺に出家した。 だから眉毛がない。
     


さあ、イサーンの結婚式が始まる。
予習していたとおりだろうか。


まずは、花婿と親戚、友人たちが花嫁をもらいにいく。
    


もらいにいっても、一筋縄ではいかない。
子どもたちや、花嫁の友人、親戚たちが通してくれない。
花婿がお金をあげて通してもらう。
子どもたちにとって結婚式はお小遣いがもらえる楽しい式なのだろう。
私が小さいとき、もちまきが楽しかったのと共通しているような気がする。
     


村中の人たちが集まって見守る。
   


子どもたちもめいっぱいおめかし。
    
  

花婿の持参金や、今日のご祝儀が披露される。
その時には参列者たちがわっと歓声を上げる。
なんとも、タイらしい。
       

両家なのかな。
なにやら交換。儀式的なものだろう。
     


花嫁からなにか決意のような言葉を言って花婿の親にプレゼントを渡す。
     


指輪や腕輪、イヤリングなどが並ぶ中、何を相手につけてあげたいか選ぶ。
     


まずは花婿が花嫁にあげたいものを選び、花嫁につけてあげる。
        


花嫁も同じく。
        


結婚式用の、おめでたいごちそうが並ぶ。
     
     


仏像も見守る。
    


ワイ(タイ式のあいさつ・合掌)する新郎新婦。 きれい。
      


おごそかな儀式が続く。
新郎新婦の友人たちも、その場で飛び入りして式を手伝う。
私も何が何だか分からないまま、手伝うことに。
金の皿を持って立ちながら、次に何をするのかちっともわからない。
ドキドキしているととなりの女の人が「マイペンライ(大丈夫よ)」と声をかけてくれる。
優しいんだよなあ。そして懐広くて細かいことを気にせず、何でもOKなんだよなあ。
こんなポッとあらわれた日本人にも式の内側に参加させてくれるタイ人ってホント素敵。
    
     左端に、さりげなく緊張して立っている私。


清めの水が準備されて
       


おでこには経文のようなものを施し、頭の紐はつながったまま、参列者から清めの水をかけてもらう。
     
    
    

タイの衣装がとてもきれい。
金色って、日本ではあまり着ないかな。
こんなに似合ってる。
        


まだまだ続く式だったけれど、用事があったため、昼過ぎに会場を出る。
最後まで見たかったけど、いったい終わるのは何時になったんだろう。
ちっとも急がず、無理せず、楽しいことがモットーで、のんびりやる人たちだから。
      


タイの結婚式は、村人や地域の人たが自分たちで作る結婚式。
人を雇うこともなく、みんなが総出で時間を問わず楽しんで手伝う。
料理も、花嫁の化粧も着付けも、会場作りもすべて。
タイの人たちの、家族というものへの強い思いがあらわれていると思う。
そして、結婚式を村のお祝い事としてみなで楽しみ、祝い、喜ばしさをみんなで共有する人たち。
日本にはもう見られなくなった、人間と人間の基本的なつながりがある。
あたたかさがある。
長い長い結婚式だけど、こんなにも盛大で喜ばしい手作りの結婚式をしてもらえる2人は幸せだと
感激しつつ、こんな結婚式がいつまでもタイで残ってくれたらいいのにと思う。

 
ベン先生へ、結婚式画像をプレゼント。

    



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