ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

物乞い象

2011年09月03日 18時02分21秒 | タイ文化

タイといえば象。
私の任地コンケンでは、バスターミナルによく象が現れる。
象使いと共に歩き周り、観光客にサトウキビを売る。
観光客は20バーツでサトウキビを買い、エサやりを楽しむ。
しつけられた象はサトウキビが売れると後ろ足で立って見せたり
鼻をあげながらあいさつをして見せたりと、象使いの命令に従って客にサービス。
       

   
一見ほほえましい光景なのだが、タイの人たちは
「あれはよくないことなの。かわいそうなの。」
と言う。
どうやらこの象は出稼ぎに来ている象らしい。

もともと森林で木材を運ぶなど、自然の中でタイ人と生活し、共に働いてきた象。
だが、20年ほど前に森林伐採が禁止となり、象と象使いの暮らしは激変。
働く場所がなくなった象は観光業やイベントが主な仕事となる。

村で生活できない象が街に連れ出され、建物の間を、コンクリートの上を
歩き周り芸をしながら生きることとなる。

タイ人曰く、
「夜の街を歩かされ、食べものもろくに与えられず、交通事故で命を落とす象もいる。」
体の大きな象が夜間、通りを放浪するのは交通事故を引き起こす恐れがあり、
チェンマイやバンコクでは市内への物乞い象の進入を条例で禁止していている。

確かに、エレファントキャンプにいる象たちは午後はのんびりと水浴びして眠る生活を
しているのに、街を歩く象の生活はそうではなさそうだ。
    


「物乞い象」「出稼ぎ象」と呼ばれるこれらの象たち。
元来、繊細で賢い象たちにとってこの仕事は、精神的にも体力的にもかなりの負担で
大人にならずに死ぬ象も多いのだとか。
かつては人間と象が友人関係を築いていたタイ。
今では象を機械のように働かせるようになってしまったと嘆く人もいる。
   

人間の手で象をへらし、そして一方で象を必死に守ろうとしている矛盾。


この話をタイ人から聞いてからは、バスターミナルに現れる象を見ると
ひどく心苦しく感じるようになった。
    



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