破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

選手交代ッ、キーパー…かにッ!!!!!!かにゴールキーパー・撮影日誌

2006年05月26日 00時21分05秒 | Weblog
     ワタクシ今回かにの中身です。いよいよ週末5月27日(土)21:00~から私が演じた「かにゴールキーパー」公開されます!
   以前3月6日のブログ「ロケ終了、只今帰還!大和心復権!」でお知らせ・紹介した、藤岡弘、さんと共演した作品というのが「かにゴールキーパー」だったのです!「いかレスラー」「コアラ課長」に続く河崎実監督がおくる「どうぶつ、海産物映画作品」なのだっ!
 現場も楽しかったし、なにより藤岡弘、さんと四つに組んで芝居が出来たのが良かった。
 一部では「人の良い藤岡さんを騙して出演させた」(笑)などと揶揄する意見も出ているがそんな事は決してなく、藤岡さん御本人「いや~ぁ、こういう映画はドンドン作られなきゃダメだよ!」とおっしゃってノリノリで気合入ッていた。
 作品もお笑いのおちゃらけギャグみたいに思われるが、実は「ALWAYS三丁目の夕日」みたいな昭和三十年代テイストを出し、あぶれた漁師の夫婦とその息子、駄菓子屋の娘、ソープ嬢、ヤクザ達とかにの交流を描いた作品なのだッ。いわば実際は「もしも〇〇が~」という異形のモノが人間界に係わって来たら?という「ifーSF」作品なので、ドラマは極めてシリアスです(笑)
  そういった製作意図はとーぜん藤岡さんはお見通しの出演なので、騙されたなんて事はありませんよ~(゜∀゜)

 超豪華キャストが勢揃い!!
春山幹介 / 紗綾 / 田代さやか / 小泉 彩 / 清水昭博 / 清水ミチコ / 須藤為五郎 / なベやかん(友情出演) / 黒田アーサー(特別出演) / 元日本代表・森島寛晃 セレッソ大阪(特別出演) / 小沢仁志 / 竹中直人 / 藤岡 弘、

 現場では武士道の話とか、色々藤岡さんとお話ができたのが良かった。藤岡さんの気合の一言にも乞う期待!。
    「選手交代ッ、キーパー…かにッ!!!!!!」
と、いう事で「かにゴールキーパー・撮影日誌」を掲載。

06年1月~2月上旬
 「いかレスラー」の頃から通っている要町にある造型会社「アレグロ」で、「かに」も造型されるので、いつもの体型合わせ。それから仮組みの動き、ギミックの具合等のテストのため、何度か通う。
 着グルミが完成すると、その怪獣然とした口元を見て造型者の坪井氏は「コイツ、宇宙ステーションとか食っていそうな口してるな!」だって。自分で創ったのに(笑)更に河崎監督もいつものようにチェックして要求を出していく。台本が渡されたので読むと、右田昌万氏の筆による、社会の底辺で生きる人々の人情ドラマに仕上がった感がある話だ。
 河崎監督が自前のサッカー・シューズを私に渡し、「これに履き慣れておくように。」との指示があったので、家に帰るとこのサッカー・シューズを履いてサッカーの自主練を行った。サッカーをやるなんて、学生時代以来だ。

2月24日
 本日より「かにゴールキーパー」クランク・イン。2月末~3月初旬にかけて行うという撮影スケジュールは、04年「いかレスラー」、05年「兜王ビートル」そして今年の「かにゴールキーパー」と、これで3年連続だな。
 私は昼からの入り時間なので、西池袋のカクテル・バーへ向かい、予定より早く到着したのでセッティングの前ノリ部隊と共に先に昼食のロケ弁当を頂く。
 午前中の撮影で、藤岡弘、さんと竹中直人さんの激論シーンを撮ったそうで、台本を読むと、かにを一流のゴールキーパーにしようとするありえない出来事の会話を、藤岡さんと竹中さんが真剣に激論するところが得に好きだな。チーム監督役の藤岡さんが「私は本気でかにを立派なゴールキーパーにしたいんです!」の言葉を受け、チェアマン役の竹中さんが言う「くるったか、藤村!」のセリフが的を得て最高!この映像も早く観たいものである。
 今回の竹中さんの役名は「飛山(とびやま)」というのだが、その昔二十年前、同じ河崎監督作品「イコちゃん3」でやはり竹中さんは「トビヤマ隊長」という役を演じていたので、二十年後の今回、再び「飛山」役を演じた事になる。これも河崎監督の遊び心だね(笑)
 で、私にとってのファースト・シーンはいきなり藤岡さんとのカラミとなる。昼食後スタッフ皆くつろいでいたが、開始時間の時、助監督の「藤岡さんはいります。」の声で現場のムードは引き締まる!そして藤岡弘、さん現場入り登場。助監督に紹介され私は藤岡さんに、以前東宝映画「ヤマトタケル」で共演した件を挨拶したら、「おお、その節は・・・。」と、深く頭を下げられた。業界人でここまで礼儀正しい人間は初めてで、こっちが恐縮してしまい、私も慌てて礼を返す。
 芝居が始まると以前申し上げたとおり、藤岡さんは台本を持ち歩かない。しかもカメラが廻っていなくても、そのワン・シーンを撮り終えるまではキャラクターに入ったまま。この時はディフェンスの強化に悩む監督として、ずっと難しい顔をつくったままだった。コーチ役の霊波サトー氏と議論するが、藤岡さんとカラむサトー氏は撮影前から凄い緊張しており、この日が彼の人生の頂点じゃないかな?とか河崎監督と話す(笑)。藤岡さんだけの単体の画だけをモニターで観ると、まるで「日本沈没」か「エスパイ」の一場面のような画面の引き締まりを感じる。
 そして私のかにの出番。着グルミの着付けを手伝うのは演出部の助監督達の役目だが、最近は女の子スタッフが増え、助監督もチーフの水内宏征氏の下は女性ばっかりになっている。かにの着付けは重い着グルミを持ち上げたりするから、この先大丈夫かな?とも感じた。演技はバー・カウンターの中をかにが高速で走り廻るというシーンだが、その様子を藤岡さんはにこりともしないで真剣に見ている。やがておもむろに立ち上がるとこちらへゆっくり近づいて来るだけでも迫力がある。そしてかにへ向かって「君ィ、ゴールキーパーにならんかね!?」と声をかけスカウトする。見事本番一発OK!
 本日の藤岡さんとの共演はこれで終了し、別の現場へ移動。しかし野外ロケを行うというのに雨が降り出してきた。チーフ助監督の水口氏「誰か雨女か雨男がいるぞ!」と呟く。

 ロケ先の団地の公園で、本作のヒロイン役の田代さやか君と合流。ブランコに乗りながら語り合うシーンだが、団地の人々が見学で集まる。しかし本番の頃は雨が本降りになってしまったので、団地見学者もいなくなり、雨の中で撮影を強行。続いて路上のゴミを田代君があさるシーン。彼女が演じる悦子という女性は純朴な田舎娘で、他人に騙されてホームレスにまで落ちぶれてしまうというシチュエーションなので、雨の中の撮影は惨め感が強調されて良いシーンになった。
                         

 初日の撮影はこれで終了。私は新宿のホテルに泊まる事とした。

2月25日
 朝いつものスバルビル前で集合。今日は江古田のスタジオで一日中室内撮影。しかしスタジオと言っても一軒家そのものとなっている所で、まさに昭和30年代の建物だ。室内にはお約束のちゃぶ台とチャンネル式テレビが鎮座していた。
イギリスBBC放送から取材が来て、河崎監督へのインタビューだったら、私が平成ゴジラシリーズでキングギドラやゴジラジュニアのスーツアクターだと知り、昼休み中に私もインタビューを急遽受ける事となった。
 主人公・真一役の春山幹介君は、中学生なのにテンション低い。俺が中学生だった時は、もっと元気だったぞ!とハッパを掛ける。彼の父親役は清水昭博さんで母親役は清水ミチコさんだから、ダブル清水というか、本当の夫婦みたいだ。そして描かれる姿も本当に昭和30年代の貧乏夫婦そのものになっている。
かにの口を動かすギミックは、内部から私が手動で動かすのだが、カメラがアップになると、口の隙間から私の手が透けて見えてしまうと撮影監督の永野泰隆さんが言うので、助監督の女子達に、黒い手袋を買ってきてもらう。
 唯一の「控え室」のみ21世紀していてエアコン完備、快適だ。春山君、休憩中お母さんと一緒にずっと世界フィギュアを観ていたが、荒川静香選手のイナバウアーを観てるうちに鼻血を出してしまった。慌てたお母さん、「荒川選手の色っぽい姿に興奮したのかしら?」と言うので、私は「男の子として正常な反応だから大丈夫ですよ。」と答え安心させたのだった(笑)
 
2月26日
 本日は朝から雨。ヒロイン・田代さやか君の出番なのだがチーフ助監の水口氏「・・・そうか、田代さやかが雨女か!」と決定。まあ、最初はロケじゃなくてスタジオ内での撮影なので、雨が止む事を期待。電車内のセット。キャバクラ控え室のセット。昼、本物のキャバクラへ移動して撮影。及川奈央さんに会う。
 及川さんは元AV嬢だが今は本格女優として活躍されている。芝居も上手く演技が実にナチュラルだ、いずれ大物女優として大成するだろう。更に社交的で明るく、AV時代の仕事をもオープンにしている。私が以前、及川さんが主演でヒットアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のパロディ「新精子エヴァナオン」というDVDを観て面白かったですよ!と言うと、「あれは監督が凄くエヴァンゲリオンにコダワリを持ったマニアで、『この場面はこうじゃなければ違うんだ!』って、熱っぽく演出してたんですよ~。」と楽しそうに話してくれた。
 キャバクラでかにがケンカに巻き込まれ、ビール瓶で殴られるシーンでは、お約束の飴製のビール瓶が用意された。で、殴られたら派手に破片が飛んだほうが画ズラも良いだろうと考え、ビール瓶で殴られた瞬間、ブルっとかにの身をゆすり破片を飛び散らせるアドリブを行った。こういう一瞬の演技は東宝特撮の現場で、カメラスピード3倍速、4倍速度の演技を行ってきたので体で反応出来る。
 夕方水道橋での野外ロケだが雨は止むどころか更に激しく本降りになった、田代さやか君の恐るべき雨女パワーだ!・・・でも豪雨の中、河崎組は強引に撮影を強行したのだった!
                  

2月27日
 渋谷パンテオン跡地集合して移動だが、かにの声の渡辺君が遅刻してるので、後続のバスへ乗るように指示して出発。横須賀観音崎付近の海岸で漁村のシーンのロケ。本日はずっと真一とかにのカラミの撮りなのだが、前にのべた通り真一役の春山幹介君の芝居のテンション低いので、移動中バスの中で少し説教というかハッパを掛ける。
 本日最初の撮影は、魚の匂いが立ち込め朝から熱気に包まれた場所・漁港の魚市場を借りて、かにが自分のカニミソを売るシーン。・・・って、自分の脳ミソがカニミソになってるなんて・・・かくて自分の脳を売ってしまったかには脳無しの白痴化してしまうのであった!
 海岸は波高し強風が吹き、着グルミを被っていても寒い。河崎監督自ら温熱シップを子供達に手渡すが、するとバス内のワルガキ三人組役の子供達、ゲームに夢中で河崎監督を無視し、挨拶もしない!な、ナンちゅうガキどもだっ!さっそく私が厳しく業界の礼儀作法を教授してやった。
 しかし河崎監督が本格的に子供達に演技を付けたのはこれが初めてじゃないかな?飯島敏宏監督や中川春之介監督みたいな感じだ。
真一のガールフレンド役は、今ロリっ娘アイドルとして人気急上昇中の紗綾ちゃん。おとなしい女の子だけどしっかりしていて、「紗綾って名前も自分で決めたの。」と語り、自己主張するところはしっかりしている。強い海風の中で一生懸命演技をしていた。・・・しかし私から見たらただの子供なのだが、こんな子でもビキニ水着の写真集が出てしまうのだから、これが芸能界たる所以だな。
  
 砂浜で浦島太郎よろしく、いじめられていた亀ならぬかにがガキ大将達にボコられ、それを真一が助けるシーンでは、かにの初登場シーンとなるのでこれは怪獣演技を行い、砂煙をハネ上げ出現した。それからかにと真一の再会シーンで互いに全力で走って抱き合うのだが、冷たい海風が強く、着グルミの隙間から風が入り込み寒い。着グルミを被ったまま寒い思いをしたのは今回が初めてなので、早く体を動かしたかったので、スタートの声が掛かると横っ走りで全力疾走!かになので横に走るので少々難しいが、真一と抱き合うと、力余って抱き上げた真一の体を振り回してしまった(笑)

 昼食の休み、港の沖合いを眺めると、海上自衛隊の護衛艦が数隻航行している。今回のメイキング担当者は私と同じく艦艇好きなので、メイキングを撮らずに海上をウロウロしている護衛艦ばかり撮って・・・てな事はなかったが(笑)二人揃って護衛艦を眺めながら軍艦談議に花を咲かせた。

 午後からの撮影。紗綾ちゃん演じる真一のガールフレンド・友葉の家のシーン。本物の駄菓子屋を借りてロケするが、これまた昭和30年代のまま保存されてるかのような店で、いまだに大村昆の「オロナミンC」や「光速エスパー」の看板が貼られている。
真一の家の外観も、レトロな古い作りの家の前で撮らせてもらうが、その前を横切るオバサンをエキストラとしてお願いしたら、地元のオバちゃん、実にナチュラルな良い味だしてくれた。興味を持って集まってきた子供達に河崎監督サイン責めにあうと、私は「円谷英二監督のように、『スキーぼうや』のイラストも添えたらどうですか?」とアドバイス。(笑)
                     
 夕方海岸の納屋のシーンだが、ぬわんと、海岸が満ち潮になってしまい、スタッフみんな足元を波に濡らしながら 納屋へ移動したのだった。・・・ところが明日の午前中、私は地元で野暮用があるのでこれから帰らなければならない。そこでピンチヒッターとしてかにの代役に「コアラ課長」でうさぎ社長とかえる店長を演じた安藤英行君に演じてもらうため彼に来てもらった。そして着グルミの試着したり、明日のサッカー・シーンのためスパイク靴の試履きもしてもらうが、オイオイ、泥の残る地面の上で直にシューズを履こうとしているぞ!慌ててコンクリートの上で履き替えるように指示を出す。

 そして私はお先に失礼、一人電車に乗ると、横須賀の海岸を車内から眺めながら帰路についたのだった。
            後編へ続く・・・

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