るるりらタイム

わたしが、ネット詩の中で見つけた宝の置き場です。

映画【夕凪の街 桜の国】を観ました。

2007-08-15 05:09:26 | Weblog
私は広島で育ちました。広島のいろんな町でくらした経験があるのですが、「夕凪」という感覚が、まず懐かしかった。

海陸風は、半日周期で、日中は海から陸へ、夜間は陸から海に向かって吹く風の時間が 合さって、無風状態になり、とても蒸し暑い時間になる それが夕凪。私自身が海沿いでくらしたこともあるので あの蒸し暑い温度が ああ 解るなあと思いました。

この映画は原爆がテーマです。原爆投下後、広島でもそうだけど、爆弾が投下され 甚大な被害を広島は受けましたが、十年くらいは それが原爆であることや その性質など まったく報道されませんでした。焼け野原になった地で 人々があばらやを自分たちの手でつくって住んだこと(バラックって言うんですが…)。銭湯では やけどの人が多くいたこと。わたしとしては、ごく普通に耳にしてきたことが 映像化されていて、バラックの街並みなんかは なんどの頭の中でイメージしてきたことが 映像化されていて ああ こんな風だったんだろうなあと思いました。けれど、背当時を知る人の意見のイメージだと 映画よりも もっと煩雑なスラムの街だったのかもしれないとも思いました。

いまは ただの緑の地である平和公園。原子力爆弾が投下される以前のこの公園には いまは存在しない町名が昔は多数あったとかいう話を映画を観ながら私は思い出していました。いまはただの平和公園という 言葉でしか よばれない さまざまな町に 映画では、バラックが たってました。


映画の舞台は原爆投下から13年後の広島だそうです。原爆から投下した直後、爆弾がおちたことは みなが理解していたけれど、それが原子爆弾というものであることをしらずにすごした時期が十年ほどあったと聞いています。甚大な被害をうけていながら、人々は 爆弾が原子力であることや そのことの意味をしらないですごしたという生活。そこに暮らす平野皆実という女性を 麻生久美子さんが、非常に好演されてました。

夏の暑い日という設定のシーンでも 彼女は長袖です。その理由はケロイド。残酷なさまざまな映像を観すぎていたり、いろんな方は話を聞いて育った私は 嗚呼と思ったのですが、他の地域の方は この映画のケロイドシーンを どうご覧になるのかしら。

現在の広島の平和公園の桜も 現実の桜の美しさそのものが画面にいっぱいあふれていて すばらしかった。映像力のすばらしさ音楽のすばらしさ。俳優人の好演。ほんとうに観てよかったと思える映画でした。

あらすじについては、私からは これ以上は言う必要を感じません。でも、どうしても 映画を観て おもわずにはいられなかったことがあります。
それは、いまも原爆症で苦しんでおられる方は多くいらっしゃいますが、被爆二世の方々は、たとえ とても健康であっても どこか不安をもってらっしゃることがあるという事についてです。

原爆を心や体に継承してらっしゃる 現代の方々に対して 私が思わずにはいられなかったことがあります。

それは、どうぞ恋を愛することを おそれないで ください。
わからないでもないけれど、元気なのに 不安だなんて ナンセンスです。幸せにならんといけんです。

★写真は、現在の平和公園のあたりのむかしの地図です。
わたしも知らない幻の町です。