台湾に旅行に来たことのある方なら、どこか1か所ぐらいは「廟(ミャオ)」と呼ばれる民間信仰のお寺に行かれたことがあると思います。
台北でしたら龍山寺などが有名ですが、なんだかわからない神様がたくさん祀られているし、どうもお参りの方法が日本とはかなり違う、ということで、戸惑われたかもしれません。
日本と最も違っている点は、「お線香を持ってお参りする」ということです。
日本でお線香は、仏壇やお墓参りの時に使うものですが、台湾では神様を拝むときにも使います。
ひとつの廟には通常たくさんの神様が祀られていますので、その神様の数(正確には香炉のある数)だけお線香が必要になります。
ひとつの例として、台北市にある「保安宮」(台北新交通システムMRT圓山駅そば)という廟でお参りしてみましょう。
特に大きな廟では、香炉が何個あって、お参りするにはお線香が何本必要かが書いてあることが多いです。
ここ「保安宮」には香炉は10個あり、お線香は10本必要ということ。
そして、この見取り図に書いてある番号の順番にお参りします。
1番は「天公」で、門の外に向かって拝み、2番は主神である「保生大帝」です。
お線香は自分で買ってもいいですが、廟には大抵備え付けのお線香が置いてあるので、それを使って構いません。
台湾のお線香は長くて茶色っぽい色をしており、このように赤色の竹ひごを芯にして作られています。
指示通り、10本取りました。
そのお線香に、備え付けのろうそく、またはバーナーで火をつけます。
全部にきちんと火がついているか、確認します。
より丁寧にお参りするには、果物やお菓子、神様用の紙のお金(「金紙」といいます)などをお供えします。
でも、これは省略してもOK。
そして、番号の順番にお参りしていきます。
一番上の写真は、1番の「天公」を拝んでいるところです。
顔の前でお線香を持ち、自分の名前、生年月日、年齢、住所、今日は何のために来たのかを心の中で言って、神様に挨拶します。
お線香を持つときは、右手を内側、左手を外側に持つのが正式です。
挨拶が終わったら、左手に1本お線香を持ち、香炉の中に挿します。
これを、順番にいろんな神様に向かって繰り返していきます。
「何のために来たのか」の部分は、願い事、相談事、おみくじを引く、厄除けなどですが、その目的は一通りの挨拶が終わってから改めて行います。
この日は、「おみくじをいただく」ということで行きました。
おみくじを引くにも、ただ漫然と引くのではなく、何を教えてほしいのか、はっきりと言わないといけないということです。
さて、10個の香炉を回って、挨拶のお参りが終わりました。
いよいよ、お参りの目的の方に移ります。
お願い事をするには、お願いしたい神様の前に行って、願い事と、それが叶ったらどんなお礼をするかを、心の中で言います。
厄除けや学業成就なんかは、特別な方法があるので、廟の事務所のようなところへ行きます。
もし、迷っていること、決めかねていることがあって、神様に相談したい場合と、おみくじを引く場合には、「杯筊(ポエ)」という道具を使います。
これが「杯筊(ポエ)」。
三日月型で、片面が平ら、片面がふくらんでいます。
2つで一組なので、2つ借ります。
まず、2つのポエを平らな面を合わせて、それを包むように合掌します。
先ほどのお参りと同じように、まず、自分の姓名、生年月日、年齢、住所を言ってから、神様に質問したい内容を「はい」か「いいえ」で答えられる形で質問します。
おみくじを引きたい場合は、「○○について教えていただきたいので、おみくじを引かせていただいていいでしょうか」というように聞きます。
そして、掌を上にして、そこにポエを載せます。
これは片手に載せていますが、両掌に、ちょうちょのような形になるように載せます。
また、写真ではふくらんだ面が上になっていますが、平らな面を上にして載せるのが正しいです。
そして、それを眉間の高さまで上げてから空中に放り投げ、そのまま地面に落とします。
地面に落ちたとき、このように、片方が平らな面、片方がふくらんだ面が上になっていれば、それは神様が質問に対して「はい、そうだ、良い」と言っていることになります。
もしこのように、両方ふくらんだ面が上になっていれば、「いいえ、だめだ、違う」という意味です。
そして、このように、両方平らな面が上になっていれば、「わからない、判断できない」ということだそうです。
神様に質問しながら、実は自分の中ですでに答えが決まっているときなども、こうなるということ。
おみくじを引いていいかと聞いて、「いい」ということになったら、おみくじを引きます。
おみくじは、こんな風に、大きくて長いものが置いてありますので、そこから1本、「これだ」というものを選びましょう。
1本選んだら、そのくじの番号と文字を覚えます。
そして、「このくじでいいでしょうか」と再度ポエで神様に聞きます。
もし「よい」ということならばそれで決定、「だめだ」ということならば、再度くじを引きなおして、また聞きます。
こうしてくじが決まったら、その番号と文字の紙をもらいます。
くじの種類は廟や神様によって違いますが、通常60種類から100種類ぐらいあります。
おみくじを引くための料金というのは特にありませんが、御礼をしたい場合は、お供え物をするか、お賽銭(「香油銭」といいます)を入れましょう。
私が今回引いたのは「第28首」でした。
詩の形式になっていますので、意味を廟の人に聞きます。
これは、裏に標準中国語で解説が載っていました。
金紙を供えていた場合は、最後に金紙を焼いて、お参り完了となります。
このように、ちょっと複雑な手順と決まりがある台湾のお参りですが、時間に余裕があったときには、ぜひ正式にお参りをしてみてください。(尾)
※2010年2月3日(水)の番組「台湾ミニ百科」では、台湾の神様のお参り方法をご紹介しています。
番組を聴くには、上のバナーをクリック→2月3日をクリック→「台湾ミニ百科」の左のアイコンをクリックしてください。
日本の籤は、良い結果が出るまで何度も引くとお金がそれだけ入用になるけど、台湾の籤はポエで納得して引くので、安上がりです。
籤を引くまでの、ポエで占う楽しみもあります。
お参りの仕方を訊きはしましたが、なにぶん言葉が不自由で半分も理解できませんでした。
ホンット神様も大勢いらはるし、みんな仕事が違うやろし、、、。
丁寧な解説で、感謝しています。
個人的には、叶ったら御礼、というのは、医者に
「治ったらカネ払うでえ~、」と言うのと同じような気がしますが、私のように先払いでは、神様に「ゼニは払うたでえ、もらい逃げはせんやろな、神様やもん、」と無理やり仕事させることになっちゃうんですかね??
喜んでいただけて嬉しいです。
細かいことを言えば、神様やその廟によっていろいろしきたりが違うとは思うのですが、一般論としてはこんな感じでよろしいのではないかと思います。
確かに後払いですが(笑)、叶えてもらえるためには自分の真心と真剣さが必要なのでしょうし、もし叶った場合、約束したお返しは絶対にしないといけないという部分は非常に厳しいようです。
自分と神様以外は何を約束したか誰も知らないわけですが、叶えてもらったのにお礼をしないと、悪いことが起きたりするそうなので、みなさんきちんとお返ししているみたいです。
でも、このBlogのお陰で理解できました。
写真付きで分かりやすいです。
ありがとうございました。
今回、ここまで丁寧に解説してくれているページを初めて見ました。
正直、慣れないと面倒に感じるほどですが(^_^;)、頭に叩き込んでさっそく行きたいと思います。
記事、ありがとうございます。