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『パッテンライ!!』台南で特別上映、総統も感激

2009年11月04日 01時30分40秒 | 台日交流

 日本統治時代の台湾で活躍した土木技師、故・八田與一氏を描いた日本の長編アニメーション映画『パッテンライ!!』が4日、台南県で特別上映されました。
 以前に当番組やブログでもご紹介してきたこの映画は、台湾で多くの水利・土木事業に貢献した八田與一氏について、「今も台湾の人々に慕われている日本の偉人を、日本の人にもっと知ってもらいたい」と制作されたものです。

 八田與一氏の故郷・石川県金沢市に本社を置く北國新聞社の記念事業としてプロジェクトが組まれ、虫プロダクションが制作を担当。今年5月から、全国各地で上映されました。
 監督は、若いころから『怪物くん』『宇宙戦艦ヤマト』など数々の大作に参加してきた石黒昇氏(下の写真左)、声優には、八田與一役に、『サイボーグ009』『美味しんぼ』などで有名な井上和彦さん(同右)、八田氏の妻・外代樹役に、台湾と日本のハーフとして知られる舞台女優の一青妙さん(同右2)、そしてその妹で歌手の一青窈さんが歌う『受け入れて』が主題歌を飾るという豪華メンバーです。


5月に新宿で封切された際の舞台挨拶

 日本での公開が前提ではありましたが、制作に携わった人々にはみな、当初から「台湾の人にもぜひ見てもらいたい」という思いがありました。
 特に、八田外代樹役で声優デビューを果たした一青妙さんは、お父さんの故郷である台湾で、台湾と日本を今につなぐこの映画を上映したい、とプライベートでの訪台を利用して各方面に働きかけてきました。
 そうした人々の思いが実り、ついに今日11月4日、台南県新営市内の文化センターで、特別上映会が行われたのです。


親族代表として挨拶に立った、八田與一氏の長男・晃夫氏の妻・綾子さん
「日本に引き上げた後も、主人の故郷は生まれ育った台湾だった」と

  台南県と言えば、八田與一氏が台湾で手がけた数々の水利・土木事業の中でも特に有名な、烏山頭ダムが造られた場所。
 この映画はまさに、その烏山頭ダムができるまでを描いた作品です。
 (上の写真:まるで自然公園のような現在の烏山頭ダム)


現在も台南の嘉南平野一帯を潤し続けている烏山頭ダム

 『パッテンライ!!』というタイトルの由来は、地元の人々が八田氏を見かけると、口々に台湾語で「バーティェンライァ!(八田が来たぞ!)」と言っていた事から付けられたのだそうです。
 八田氏と地元の人々が、互いの葛藤や自然との厳しい戦いを乗り越えて、共に荒れた大地に水をもたらしていく過程には、思わず涙させられます。


地元の人々が八田氏への感謝を込めて造った記念像
国民党の独裁時代には、破壊を恐れた地元の人々が密かに保管し続けていた 

 かねてより八田與一氏の功績に大きな関心を寄せてきた馬英九・総統はこの日、会場となった台南まで足を運び、制作関係者や地元の人々と共に映画を鑑賞。
 日本からの来賓などのために日本語で一言挨拶を行い、関係者らが烏山頭ダムを世界遺産に登録しようと活動している事について「大変有意義な事」と称えました。


上映に先立ち挨拶に立つ馬英九・総統
「八田與一氏の熱い心意気は、台湾の人々と同じだ」と

 馬英九・総統は、日本での公開に続いて台湾でも上映が行われるようになった事について、「より多くの人々、特に台湾の若い人たちに、90年前の台湾で実際にあった日本と台湾の感動的な結びつきを知ってほしい」と述べ、今も動き続けるこの烏山頭ダムは現在の台湾と日本の友好関係の基礎であると語りました。

 折りしも、烏山頭ダムがを水源とする嘉南平野一帯を管轄している嘉南農田水利会の徐金錫・会長が、八田氏の功績伝承活動を通じた長年の日台友好への貢献に対して、日本政府から旭日双光章を授与されたばかり。
 時を越えて台湾と日本の人々をつなぎ続ける八田與一氏の功績と、その象徴である烏山頭ダムを描く長編アニメーション映画『パッテンライ!!』は、9日に台北で試写会が行われ、以降順次公開される予定です。(華)

『パッテンライ!!』公式HP



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