生活政治学研究所

福岡市議会議員「外井(とい)京子」の
 ひとりごと、政策提案、活動報告
  日常の中から「生活って政治」を発信!

住基ネット 金沢地裁は離脱を認め、名古屋地裁は棄却

2005-05-31 22:33:41 | 市民自治
 5月30日金沢地裁は、住基ネットは憲法が保障するプライバシー権や人格権を侵害し違憲として、石川県在住の28人が住基ネットに提供された個人情報の削除と国などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、「憲法13条が保障するプライバシー権には自己情報コントロール権が重要な一内容として含まれる」と指摘し、県と地方自治情報センターに原告住民の個人情報を削除するよう命じました。
 一方、名古屋地裁は31日、「住民基本台帳の本人確認情報は以前から誰でも閲覧可能で、秘匿の必要性が必ずしも高いとはいえない」として、離脱を求めた原告の請求を棄却しました。
 また5月24日には、「住基カードの全国の交付枚数が、今年3月末現在で、住基人口の0.43%(世帯比では1.09%)にとどまったことが総務省の調べでわかった。」とも報じられています。「都道府県別の普及率では、宮崎が人口比4.34%と最も高い。住基カードを使って住民票などの証明書を自動交付機で受けられるサービスや図書館の本の貸し出しなど、独自の多目的利用を行っている市町村で普及率が高い。トップの宮崎市は人口比15.85%、世帯比では36.7%で3世帯に1世帯がカードを持っている計算」とのことです。

 私たち「ふくおかネットワーク」は、住民基本台帳ネットワークシステムは「個人情報の自己コントロール権を保障せず、国が個人情報を一元化してコントロールする」というシステムであり、ふくおかネットワークは住民基本台帳ネットワークシステムそのものに反対の立場をとっています。
 私も市議になって最初の定例議会(03年6月議会)で、この住基ネットの問題をとりあげました。
住基ネットの安全性の確保に、100%はありえないと言われています。それでもこの住基ネットに参加し、かつセキュリティに責任を持つためには、24時間365日の運用監視システムを採用しなければならず、それには膨大な費用がかかります。コスト負担が大きいわりに、自治体としてのメリットは少なく、市民にとっても税金によるコスト負担と個人情報の漏洩のリスクは大きい反面、利便性はあまりにも少ないシステムです。
 また、当初は雇用保険の支給など93の申請・届出に限られていた住基ネットの利用範囲に、新たにパスポートの発給や厚生年金の支給、不動産登記など171事務が追加され、住基ネットを利用して本人確認できる国、地方の事務は264に拡大されました。
 さらに総務省は、住基ネットICカードについて、カードの「有効利用の検討を積極的に行う」よう指示し、カードは「民間にも広く利用させよ」と言い、例として図書館、健康保険、介護保険、病院、商店街、交通機関、公共料金等15項目もあげています。
 しかし、総務省の薦めに乗って、住基ネットICカードの利用拡大を行っていけば、ひとつの番号に情報の集積と一元化が進み、様々な個人情報が追跡可能となります。そうするとこの情報というのは第三者にとっては利用する価値が高まり、情報を盗み出される危険性が増すと同時に、情報が漏洩した時の被害も甚大となります。
 さらに、ICカードの利用拡大が進んでいけば、住基ネットICカードを持たないと市民生活が不便になり、結果的に市民は、この住基ネットICカードを持たざるを得ない状況になってしまいます。
そこで議会では、①「住基ネットの運用そのものをやめるよう」または「住基ネットへの参加、不参加を市民一人一人が選択できるようにする」よう、国に要望すること、②杉並区のように、「市民からの申し出によって、第三者への住民票交付の差し止めと住基ネット上の個人情報の削除を認める」よう条例等で規定すること、③情報漏洩によって市民が被るかも知れないリスクをこれ以上増大させないためにも、今後住基ネットICカードの利用拡大は行わないと明言すること、を求めました。
 さらに、住民基本台帳法そのものの問題点として、誰でもが閲覧できることから、氏名・生年月日・住所・性別の4情報だけであっても「1人暮らしのお年寄りリスト」や「新生児リスト」がつくられ、商業目的に利用されたり、犯罪にも悪用される例が後を絶たず、また福岡市でも「他人の住基カードを勝手に申請して交付を受けた」という事件も起こっています。そこで、「ストーカーやDV被害者には、緊急避難的な、第三者への住民票の交付の差し止め措置や住基ネット上の個人情報の削除を認めること」「個人情報の不正使用の防止を図るために、窓口において住民票などの請求者の身分証明を義務付けること」も求めました。
 福岡市の答弁は、「離脱も考えていない。個人選択性とするよう国に求める考えもない。住基カードの利用拡大は今のところ考えていない。」というものでした。
 しかし「ストーカーやDV被害者への対応として、加害者への住民票の交付・閲覧制限措置」と「住民異動届を受け付ける際には、免許証の提示など本人確認を厳しくする」ことは実施されることになりました。

 住民が住基ネットからの離脱と国などに賠償を求めた訴訟は全国13地裁で提訴されているとのこと。1日違いで、金沢地裁と名古屋地裁で対象的な判決がだされたわけですが、金沢地裁の判決が大きな流れとなって、「個人情報の自己コントロール権」(個人情報の取得、利用、第三者に対する提供等に関して本人が関与すること、その他の個人の権利、利益)が法的にきちんと規定され、住基ネットへの参加、不参加を市民一人一人が選択できるようにするなど、住民基本台帳法そのものが大きく改正されることを、期待しています。

誰のためのオリンピック招致か?

2005-05-31 01:13:13 | 市民自治
 5月30日朝日新聞朝刊は、「九州五輪へ始動 福岡市招致の構想」と題し、「夏季オリンピック開催都市への立候補に意欲を見せている福岡市は、複数種目の競技会場を九州7県へ分散する、九州オリンピックの招致へ動きだす。まずは16年大会への立候補を目指すが、本命は20年大会の招致。一つ前の大会に照準を合わせ、新時代の開催スタイルとして広域型の九州オリンピックへの理解を関係者に広げ、招致準備の充実を図っていく戦略だ。市とは別に、日本青年会議所九州地区協議会は五輪28種目の関係団体を訪問し、鳩首にある施設の課題などを聞き取り調査を始めた。6月にはアテネなど五輪経験都市を視察し、9月までに報告書をまとめて市に提出する段取りだ。」と報じました。
 少し前にも、山崎市長はオリンピック開催地として立候補することに前向きであるとの報道がありましたが、具体的な構想を練って動き出していることに驚きました。
 何のため、誰のためにオリンピックを招致するのでしょう
 よく「オリンピック開催による経済効果が期待できる」などと言われますが、オリンピック開催地となった都市の市民にとって、本当にプラスになっているのでしょうか。
 ある資料によれば、「1998年の長野オリンピック。大会運営費は当初赤字が見込まれ、赤字の場合には県と市が折半する約束だったが、結果的には45億円の黒字になったとのこと。しかしこれは大会運営費のみの話。大会運営費1093億円のほかに、施設整備費1300億円、道路2000億円、新幹線4500億円など合計1兆5000億円もの資金が投入された」とのこと。
競技施設、運営施設、関連道路建設事業費は、国・県・市町村の負担。特に競技施設や運営施設は、その後の維持管理費の負担が何年にもわたって続きます。オリンピック招致のツケを次世代に遺すことになるのです。
2008年オリンピック候補地として、日本からは大阪が名乗りを挙げましたが、この「大阪オリンピック計画」は、1988年(昭和63年)に策定された「テクノポート大阪基本計画」によって進められてきた「舞洲・夢洲・咲洲(まいしま・ゆめしま・さくしま)」の埋立て事業がうまくいっていないために、オリンピックを開催することで、この埋立地にスタジアムやプールなどの競技施設をつくるだけでなく、もともと計画にあった交通基盤整備や選手村として活用する住宅地建設を実現させようとするものでした。
大阪と最後まで争ったのは横浜でした。大阪も横浜も福岡も、バブル時代から進めてきた埋立て事業の行き詰まりを、オリンピック開催で一挙に解決しようと考えるのは、あまりにも「安易な発想」です。オリンピックは強大な公共事業。一時期建設業界は潤うでしょう。期間中は観客動員も見込めます。しかし、オリンピックが終われば、オリンピックの需要はなくなり、景気が悪くなることは目に見えています。不要になった巨大施設の維持費や、巨額の財政赤字が残るだけです。
新福岡空港建設構想も、オリンピック招致構想も、行き詰まった人工島事業の突破口を見出そうとする悪あがきに過ぎません。実現の可能性の少なくなった計画を、一気に実現させることができれば、首長としては自分の実績としてアピールできるでしょう。しかし、市民のためにはなりません。
2020年、つまり今から15年後にもし本当に福岡でオリンピックが開催されるようなことになれば、そのツケは、子どもたちにまわってくるのです。

 それにしても、このところの山崎市政は「ブルドーザー市長」との異名をとった前市長の「イベント・箱もの行政」への回帰の道をひた走っているといわざるを得ません。
 「新福岡空港建設」も「オリンピック招致」も、4月の補選で衆議院議員に返り咲いた山崎拓氏の公約にあります。同じ南区の山崎同士、来年秋の市長選も睨んで、何かあるのでしょうか

「新空港候補地 福岡市独自案近く公表」 市長の意図は?!

2005-05-27 22:08:16 | 市民自治
 5月27日付け西日本新聞朝刊一面のトップ記事。
 「福岡市は26日、福岡空港に変わる新空港候補地を東区雁ノ巣に絞り、半分は陸地、半分は北側の玄界灘を埋め立てて整備する初の独自案をまとめ、近く公表する方針を固めた。独自案を提示することで、新空港の必要性を強く打ち出し、国、県、市の空港論議を前進させる狙い」と報じました。
 福岡空港については、朝夕のピーク時は容量限界が近く、増加が見込まれる将来需要に対応するため、国・福岡県・福岡市が連携して、03年から総合調査を始めています。この調査内容は、新空港建設に限定せずに、現空港の滑走路増設等の機能強化、新北九州空港など近隣空港との連携等も含めて検討することになっており、調査データの提供と住民からの意見収集を繰り返すパブリックインボルブメント(PI)の手法を導入し、時間をかけて福岡空港の将来像を絞り込む、ということで進められています。
 「福岡空港の将来像」については、私が所属する福岡市議会「都市問題等調査特別委員会」の調査事項のひとつとなっており、調査の進捗状況については、「福岡空港調査連絡調整会議」の資料等が、逐次送られてきます。
 新福岡空港構想は、02年に公表された新宮沖案が白紙に戻された後、せっかく住民の意見収集も行いながら丁寧に進めようとしてきたのに、このように唐突に福岡市が独自案を公表する意図はどこにあるのでしょうか?
 私は、市並びに市長のコメントの以下の部分に注目しました。「空港へのアクセスは博多湾人工島経由で鉄道や高速道を延伸し、市の都心部まで15分程度で結ぶ」・・・つまり、人工島に鉄道や高速道を延伸するために、その延長線上にある「雁ノ巣」に空港を持って来ようとしているのではないか、ということです。
 人工島事業は、これまで埋め立て事業を行ってきた(株)博多港開発の放漫経営によって、借り入れた事業資金の返済が滞り、2つあった博多港開発工区のうちのひとつ(第二工区)を396億円もの新たな借金(市債発行)をして、直轄化したばかりです。埋め立てた土地が売れる見込みもたたず、このままでは、住宅地や商業用地に付加価値をつけるために、鉄道や高速道を人工島にまで延伸することは、財政上も難しい状況になっています。
 だからこそ、人工島のために、雁ノ巣での新空港建設を打ち上げたのに違いない、と思えるのです。 
 雁ノ巣地区一帯は国定公園でもあり、環境面からも、大問題です。
 私たちふくおかネットワークは、福岡空港の将来像については、「新福岡空港構想は、莫大な地元負担、市民負担をもたらすことは必至であり、人工島事業に続いて、次世代に大いなる負の遺産を残すことに成らぬよう、新空港建設は行わず、北九州空港や佐賀空港との連携等の既存ストックの有効活用を図るべき」と考えています。
 来年3月には、新北九州空港も開港します。現福岡空港は、都心部に位置することから、利用者にとっては非常に便利であることが、最大のメリットとなっています。空港には市営地下鉄が直結しており、博多駅までわずか2駅。市の中心である「天神」までさらに3駅という近さ。佐賀や北九州へも空港から高速バスで1000円。佐賀なら1時間、北九州市小倉まで1時間半くらいでしょうか。
 人工島事業の破綻が明白となり、震災の復興もいまだ緒についたばかり。財政上は逼迫しているのに、新空港建設と言う新たな大型公共事業が市民の賛同を得られると、市長は思っているのでしょうか。
 本当に、次代に何を残すべきなのか、責任を持って考えているとは思えません。適正な判断ができなくなった、まさに「末期的症状」と言わざるを得ません。
 それを表しているのは次の市長のコメント。「アジアの国際都市として発展するために新空港は必要。現空港の便利さと遜色ない、市民が納得できる案だと思う。住民投票をしてでも実現させたい」
・・・4月の臨時議会で直接請求された「人工島事業の継続の賛否を問う住民投票条例案」について、「住民投票は必要ない」と断じた市長に対する市民の怒りはいまだ納まっていないのに、「住民投票をしてでも実現させたい」とは何をかいわんや
 山崎市長は、住民投票で、雁ノ巣での新空港建設の信任が得られると思っている。受けて立ちましょう!住民投票を実施しようではありませんか。
雁 ノ巣での福岡新空港建設、絶対反対

恐かった!でも体験してよかった 福岡市民防災センター

2005-05-27 01:33:10 | 視察・学習報告
 今日は、地域の運営委員会活動として、福岡市民防災センターに行き、「防災講話と体験」による防災講座に参加してきました。
 まずは「防災体験ゾーン」へ。ガイダンスシアターで大画面での防災基礎知識解説があり、体験コースが始まる。
 そして「地震体験」・・ダイニングキッチンに4人で入る。ダイニングテーブルは2人しかもぐれないくらいの大きさなので、あとの二人はシンク横のテーブルに入ろう、一人はガスコンロの火を消す係ねと打ち合わせて椅子に座る。1回目は震度5.これはこの間の3月20日の揺れより小さいと体感したので、ぜんぜん平気。次に阪神大震災並みの震度7.これは恐かった!阪神大震災で亡くなった方のほとんどが圧死とのこと。体験ルームは家具も倒れてこないし、物も落ちてこないけれど、震度7だったら、ほんとうに建物が倒壊するだろうことがよくわかりました。
 次に「強風体験」。風速30メートルは息ができない。
 そして「火災体験」。これは体験してよかった。3人ずつくらいでドアの向こうへ進む。ビルの中で火災が発生したという想定で、迷路のように小部屋が続く。各部屋にはドアが3つくらいある。カギのかかっているドア、かかっていないドア、押すドア、引くドア、ノブもいろいろ。開いたからといって、「避難誘導マーク」を見ずに進むと行き止まりだったりする。暗い、途中からは煙も充満してくる。しかもこの煙は有毒ではないが、においをつけてある。「暗い、体によくなさそうな煙のにおいで息がつまりそう」でけっこう冷静でなくなる。3人で声かけあって進まないと、はぐれるし道を間違う。外に出られた時には、ほんとに「助かったあ」という気持ちになりました。煙がでますから、ハンカチや洋服の一部などで口を覆うように、と先に説明を受けていたのに、自分のかばんからハンカチを出して口を覆うことができなかった人もいたし、子ども連れのお母さんは、「片手で子どもを抱っこして、もう一方の手では子どもの口にハンカチをあて、でも自分が煙吸ったら、子どもも救えないし、どうしよう」といいながら出てきました。「煙は縦方向に進むスピードより横方向に進むスピードの方が遅いので、なるべく体を低くして」と言われていたことも、忘れて、ひたすら開くドアを探してしまったこともあとで反省。ビルの中や地下街などで火災にあったら本当に恐いと実感。一度体験しておくことで、実際にそういうことに遭遇した時にも、慌てなくてすむかもしれません。震度5の体験がもうちっとも恐くなかったように。
 消火器での消火訓練をしたあと、防災講話を受けました。M係長さんのお話は、おもしろくてとてもよかったです。
 この防災センターは全国一の来館者数があるそうで、昨年は13万人。平成4年に開館してから、昨年が最高。やはり自然災害が多かったからだろうとのこと。今年は福岡県西方沖地震があって、直後は予約キャンセルもあったが、4月からまた増加していて、昨年以上の来館者があるとのこと。
 地震に遭ったときどうするか・・①「地震だ、隠れろ!」と大きな声で周りの人に伝えよう。②身を守る。まず頭から隠れること。③目を開けておくこと。揺れている間は10秒程度。その間、どう次に行動するかを判断するために、目を開けて周りの様子をよく見ておくこと。地震はまず自分の身を守ること。阪神大震災では、亡くなった方の90%は、はじめの15分間で亡くなっている。
 火災の時は、すぐに逃げること。いつでも「今火災にあったら」と想定して2方向の逃げ道を考えておくこと。煙を吸わないようにすること。
 そして最後に「防災のCCR・・個人もまちも」というお話しは、「私が言っているだけですから、ここだけの話」なんてM係長さんはいっておられたけれど、とてもわかりやすくて覚えやすいので、もっと広めたらいいのにと思いました。内容は以下の通り。
 「防災のCCR」・・①クリーン:家もまちもきれいにすることが防災につながる。火事を出す家は汚い、片づいていないことが原因だったりする。放火が多いのもまちが汚いから。片づけておかないと、地震の時にも死傷するもとになる。②コミュニケーション・・阪神大震災でも80%の人が近所の人に助け出されている。福岡市の人口139万人。消防職員1000人では、大災害時に助けきれない。例えば地域のお祭りの時、それぞれの仕事や得意なことを活かして役割分担している。それと同じように、ふだんから、地域での助け合いを実践していれば、災害時にも助け合える。③ルール・・災害時にどうやって連絡を取り合うか、どこへ逃げるか、家族で話し合っておく(ルールを決めておく)。違法駐車は救急車両の妨げにもなる。ふだんから住民がマナー・ルールを守っているまちに。
 まったくその通り!
 この防災センターでの体験や講話は無料。韓国等からも見学にこられるとのこと。一般コース、幼児向けコースなどのバリエーションもあります。個人で来館してもよいが、10人以上の団体の場合は事前に申し込むこと。「新米パパ・ママ応急手当講座」も人気だそうです。また、地域への出前講座もやっています。せっかくの施設と人材をみんなで活用して、ぜひ体験しておきましょう。  

マメの話 それぞれの食育事情

2005-05-25 22:52:33 | 食の話
 ソラマメは今が旬。今年も、我が家の食卓にももう何度か上りました。
 先日、居間のテレビで、ソラマメの栽培農家がソラマメ尽くしの料理を披露するという場面が流れました。七輪でソラマメをサヤごと焼く「焼きソラマメ」が映った時の会話。
夫:ソラマメっておいしいよね。
私:私は枝豆も好きだけど、ソラマメの方が好きだな。でもソラマメは枝豆より出回る期間も短いし、値段も高いもんね。
夫:ソラマメって高いの?
私:そうよ。だって買う時はかさがあっても、中味はちょっとだもん。
夫:そうなの?
私:今映ってるあのサヤの中味はすごく小さいのよ。サヤが大きいだけじゃなくて、サヤの内側は厚い綿でマメを守っているみたいになっているんだから。
夫:ふーん。
 なんと彼は、50を越えるこの歳になるまで、おそらく何十回もソラマメを食べてきただろうに、一度もサヤの中におさまったソラマメの姿は見たことがなかったのです。もしや二人の息子もそうなのか?あんまり食事の用意なんて手伝わせてこなかったもんなあ、と我が家の食育のありようを、急に深く反省しました。
 その晩、買ってあったソラマメを茹でて晩御飯の食卓に出しましたが、中のマメを出したサヤもゴミ袋に入れずにとっておいて、「ごはんよ」と呼ばれてダイニングキッチンにやってきた夫に見せました。
 彼は、サヤの中におさまったソラマメの姿は見たことがなかったけれど、教科書で習ったことはよく覚えているのです。子ども達が小さかった頃(もう15年くらい前)には、我が家の周りにもまだ田圃や畑もけっこうあり、家族で散歩するようなこともよくありました。あるとき、毎年春にはレンゲの花がきれいに咲く田圃の脇を歩いていた時、夫が言いました。「秋に収穫した後、春の田圃にレンゲを蒔くのは、土のためなんだよ。土の中の3大栄養素は、窒素、リン、カリ。レンゲのようなマメ科の植物は、土中の窒素を増やすんだ」「へえ~。よく知ってるね」「教科書に載ってたじゃない。君も習ったはずだよ」私は教科書に載っていたという記憶さえありませんでした。
 その田圃の持ち主は、子どもの同級生の家で、母親同士、会えば立ち話もする仲だったので、あるとき雑談のついでに、「○○さんちの田圃に毎年レンゲが咲いてるのは、土をよくするためにやってるってことなんだってね。この間初めて知ったわ」と話すと、同級生のお母さんは「そうなの?毎年ばあちゃんはレンゲ蒔いてるな、としか思ってなかった。そんな意味があってやっていたことだなんて、全然知らなかった」と言われてこっちがびっくり。
 50歳を過ぎても「サヤの中におさまったソラマメの姿」を見たことがなかった消費者(うちの夫)と、田圃にレンゲを咲かせる意味を知らなかった農家のお嫁さん。どちらも知っていなければいけないというわけではないけれど、どちらも「生活」と「生活の智恵」と「知識」が結びついていないという例だと同うのです。
 「消費者が生産現場を知らない」という問題より、もっと近い距離の話、つまりひとつの家の中で当然伝えることができるはずのこと(伝えるべきこと)を、毎日の生活の中で伝えていない「現代人の生活」を表していると思うのです。
 もう遅いかもしれないけど、まだ間に合うこともあるはず。まずは我が家から、もっと意識して、夫と息子達に「生活技術や生活の智恵の伝承」をしていかなければ、と思った次第です。


問題! 教育現場でのセクハラの実態 ②

2005-05-24 00:34:49 | 男女共同参画
 私は、昨年10月の福岡市議会決算特別委員会と今年の3月議会でも、「スクールセクハラの防止とその被害者救済のための施策」について質問しました。
 「近年の本市における、学校現場での教職員から児童・生徒へのセクハラ行為事例の報告、処分者の数は?」と質したところ、「平成12年に、自然教室での身体的接触で、懲戒免職1名。15年度には、成人女性と複数児童への身体的接触をおこなった者1名、懲戒免職。市立高校で女生徒への身体接触で、1名文書訓告。平成16年度には、男子生徒数人への身体的接触を繰り返したとして男性講師を懲戒免職。いずれも被害者・保護者等から学校に申し立てがあった。」とのこと。女子児童・生徒だけでなく男子生徒も被害にあっているのです。
 スクールセクハラは、教職員間で起こるもの、教職員と保護者との間に起こるもの、教職員と児童・生徒との間に起こるものに大別されます。教職員と教育実習生との間に起こるものは、職場の上下関係のある中で起こるパワハラ(パワーハラスメント)の側面と、教師と教え子との関係という側面の両方を併せ持っているといえるでしょう。
 教育編場で起こるセクハラのうち、もっとも深刻なのは、教職員から児童・生徒にに対するセクハラです。この種のスクールセクハラは、教師と児童・生徒という圧倒的な力関係の差がある関係の中で起こります。保護者も子どもを人質に取られているような状態ですから、保護者も教育実習生も、スクールセクハラの被害者となる立場の人は、加害者となる教職員との間には、大きな力関係の差があるわけです。
 児童・生徒が被害者である場合、被害者が勇気を出して相談したのに、相談を受けた教職員や保護者などが、「先生がそんなことをするはずがない」とか、「指導が熱心なだけだ」などといって、児童・生徒からの訴えに対してきちんと対応しなかったりすることも多く、被害児童・生徒の心の傷がさらに深くなるようなことも、現実には起こっています。まだ表に出ていない被害例も多いと思われます。
 教師からセクハラ行為を受けた子どもの心の傷は大変大きく、あってはならない行為です。しかし現実には毎年起こっています。
 では、「学校におけるセクハラ未然防止策としてどのようなことを行っているのか?」と質したところ、「平成12年度からセクハラ研修を各学校に義務付け、研修報告も義務付けている。研修の内容は、各学校での校長の判断。事例として参考になるような資料はつくっている。」とはいうものの、その研修用資料は「一般の職場用研修資料」でしかありませんでした。
 スクールセクハラが起きる背景は、一般の職場における大人の男女間のセクハラ行為が起きる背景とは違います。
 「スクールセクハラ」というビデオがあります。私も本市の男女共同参画センターのビデオライブラリーから借りてきて、見てみました。これは教職員への研修用につくられたもので、小学校編と中学・高校編の2種類があり、どちらもドラマ仕立てで、スクールセクハラが起きる背景や具体的に気をつけるべきこと、相談を受けた時の対応のしかたなどを具体的に示しています。
 こういったものが男女共同参画センターには貸し出し用として常備してあるのに、教育委員会はこれを研修用資料として薦めることもしていませんでした。 
 つまり、全庁で「セクハラ研修をするように」と通達されているので、校長にそのように伝えているという範囲のことしかしていないのです。
 どういったことが児童・生徒を不快にさせるのか、どういうことに気をつけなければいけないのかなど、スクールセクハラの特性を十分に踏まえて、長期化・潜在化しやすいスクールセクハラの防止・根絶と、被害を受けた児童・生徒を救済するための研修をする必要があります。実効性ある研修が本当に実施されているかどうか、教育委員会としてきちんとチェックし、スクールセクハラ研修用のビデオや具体事例集などの研修教材の提供などが必要であることを、議会で訴えました。
 本市においても、毎年のように、セクハラ事件で処分を受ける教員が出ているというのが実態です。ぐずぐずしていれば、被害者は増えるばかりです。まったくひどい現状なのですから。
 
 児童・生徒に対するあらゆる暴力・人権侵害の根絶と被害者救済のために、今年度はどのような研修を実施したのか、教育現場の人権意識は変わったのか、セクハラ・体罰などの人権侵害事例は減ったのか、これからもチェックをしていきます。

問題! 教育現場でのセクハラの実態 ①

2005-05-22 23:56:28 | 男女共同参画
 「幼稚園から高校までの教育実習を受けた大学生の26人に1人がセクハラ被害に遭った。セクハラを見聞きした学生も含めると10人に1人に上る。」・・5月22日の西日本新聞が、川村学園女子大助教授らの調査を報じています。
 この調査は、昨年6~10月に国公私立大74校の担当者を通じ約1万人に調査票を配布。5666人(女子3528人、男子2093人、不明45人)が回答したもの。
 福岡教育大学(宗像市)でも、同大教育学部付属小学校の実習生4人に対し、体を触ったり、繰り返し食事や旅館に誘ったりしたとして、昨年2月、同校教諭2人を懲戒処分した例があるとのこと。
 この調査が示すものは、教育現場では、「どういうことがセクハラであるのか(つまり人を不快にさせる行為であるのか)」ということを理解し認識していない教職員が非常に多く存在しているという事実です。
 被害者は教育実習生に限りません。多くの児童・生徒も教師からのセクハラ被害にあっているのが現状です。
 昨年12月10日に文部科学省は、2003年度の公立小中高校教員の処分状況を公表しましたが、わいせつ行為で処分された教員は196人で前年度を21人上回り、過去最悪。懲戒免職全体の61.5%がわいせつ行為であると発表しました。
 被害者の5割が教え子。その他、卒業生や他校生を含む18歳未満の人への行為、教職員間のセクハラなど成人女性の被害者も。
 処分の基準・判断は教育委員会ごとに異なり、免職でなければ、別の学校に異動して現場復帰しています。処分基準を明文化しているのは福岡・熊本両県、福岡市など全国12の都県・政令市教育委員会にとどまっているとのこと。
 処分基準が明文化されたからといって、セクハラ被害が減ってきているわけではありません。
 私は、福岡市の教育現場におけるセクハラ被害の実態とその防止策について、議会でも取り上げて質問、提案をしていますので、明日は、その驚くべき実態と内容について報告します。


物事の本質は何か、何をすべきなのか、冷静に、論理的に考えなければ

2005-05-22 00:33:08 | 市民自治
 今日は、福岡県弁護士会子どもの権利委員会所属の弁護士さんを講師としてお招きし、少年法の理念を学ぶとともに、福岡県弁護士会のこの間の取り組みの中から見えてきた社会的な課題とは何なのか、これから社会は少年事件にどう向き合うべきなのかを考える講演会を開きました。
 日本の少年法は、非行を行った少年に対し、「処罰」を科すのではなく「保護処分」を行うもの、つまり「あくまでも立ち直りを信じて、その立ち直りを支援する」ことを目的とするもので、世界に誇れるものです。しかしこの少年法を厳罰主義へと転換していこうとする流れが止まっていません。
 一方、少年法は「処罰」をするものではないことから、成人の事件のように「弁護人」の選任は必要ないものとされており、これまでほとんどの少年事件において弁護士が関与することなく、少年の処分が決定されてきました。
 福岡県弁護士会は、「少年達にも、せめて成人並みの権利が保障されなければならない」との考えから、2001年1月から、全国に先駆けて、「全件付添任制度」を発足させ、少年が無罪の場合には無罪立証の手助けを、有罪の場合には少年の立ち直りのための手助けをしようと、活動されてきています。
 講演会では、「少年事件」は本当に激増・凶悪化しているのか、ということに関して「平成12年の少年による殺人事件は55件だが、では昭和35~6年ごろは一年に何件だったと思うか?200件以上、100件以上、50件程度、20件程度、のうちどれだと思いますか?」と講師が会場に問いました。実は昭和34年から42年までの10年間、いずれも1年に300件以上の少年による殺人事件が起こっていたが、昭和55年以降はすべて100件未満だとのこと(最高裁判所発表資料)。
 マスコミなどの事件の取り上げ方が、「少年事件は激増・凶悪化している」ようなイメージを作り上げている面があるのではないか・・確かに、子どもへのゲームやインターネットの影響を問題視する前に、私たち大人も、印象に残りやすいテレビの報道などから受けるイメージだけで、わかったような気になっていることが多いのではないかと反省させられました。
 裁判員制度など司法改革についてもじっくり新聞を読んでその中味について理解しようとしていたか?と問われれば、アメリカの陪審員制度との違いもあまりよくわかっていなかったし、「自分が選ばれたら嫌だなあ。素人が人を裁くなんてことに関わって、冤罪事件に加担するようなことになりはしないか」程度にしか理解していませんでした。もっと勉強しなければ。
 「今の司法制度改革の目的は、早く判決を出すようにし、オウム事件や和歌山カレー事件などの犯人を早く死刑にすること。そうしないと国民の怒りを抑えられないから」という講師の言葉に、びっくりするとともに「そうなのかも」と妙に腑に落ちるものもあります。イラクの人質事件のときの自己責任論や福知山線事故のJR西日本に対する批判など、人々の感情を煽るような報道も多く、物事の本質は何か、何が問題なのか、どうすべきなのかが論議されずに、問題は解決しないままになっているのではないか。
 報道の問題だけでなく、私たちがいろいろなことを組織で議論する時も、ともすれば「このことが許せない」という感情が先走った発言が相次ぎ、「ちょっと待って、論理的に考えたら、それは筋が通っていないよ。」と議論の方向性を修正することに往生することもあります。
 情報を持っている(権力を持っているということでもある)ところは、自分に都合のよい情報しか出してこない。可能な限り自分達でも調べて数字を示すことも必要だし、いろいろな角度からの意見を聞くことも必要ですね。その上で、冷静かつ論理的に考えなければ・・・。

地域が子どもを育てる―中学生の健全育成活動に参加する男性保育士たち

2005-05-21 00:18:34 | 子ども
 今日は、私の住んでいる小学校区の青少年育成連合会(略して「青育連」)の集会に参加しました。青少年育成連合会は、地域で中学生の健全育成をしていこうという集まりで、地域での自治活動のひとつです。
 青育連の事業としては、週5日制対策事業として、地域の子どもからお年寄りまでいっしょに参加して、田植えから収穫・もちつき大会まで行う生産体験事業や講演会の開催、中学生リーダーの研修キャンプ、朝の挨拶運動、地域のパトロールなどが行われています。
 今日の青育連の会合には70人ほどの人が参加されていました。地域の自治活動の役員・委員さん達なので、50代以上の方が多いのですがその中に、20代とおぼしき男性が3人。メンバー紹介で、彼らはリーダー指導員として紹介されました。私の隣に座っておられた公民館長が、「彼らは校区内にある保育園の保育士なんですよ」と教えて下さいました。
 中学生リーダーの研修キャンプなど、青育連活動に参加する中学生たちの指導員として、若い男性保育士がボランティアで地域の中学生の健全育成活動に参加されているというのは、とてもいいなあと思いました。
 若い男性の保育士は、保育園でも体を使って子ども達と遊んでくれるので、女性の保育士とは又違ったよさがあって人気があると聞きます。そういう彼らは中学生のリーダー指導員にぴったりなんじゃないでしょうか。難しい年齢の中学生に対して、保護者や教育者とは違うアプローチができると思います。
 集会のあとの懇親会で、彼らに「保育士さんなんですってね」と声をかけて見ました。ここの小学校区内にある保育園は彼らの働く保育園ひとつだけですが、ここには男性保育士が3人いて、3人全員がこの青育連のリーダー指導員を引き受けているとのこと。「保育士になって何年?」と尋ねると、もっとも長い人が13年、一人は6年、一番若い人が3年、とのこと。「福岡市でも男性保育士は増えてきているけれど、辞めていく人も多い。保育士と看護師は給料が安いので」と言われました。
 「地域で子どもを育てる」というのは、地域で暮らす人・働く人たちみんなで、いろいろな年齢のこどもたちみんなを見守り・育てるということだと思います。
 青育連の名簿には「青少年を見守る店 協力店」として、校区内のコンビニエンスストア8店が掲載されていました。この協力店は去年は2店舗だったけれど、今年は8店舗に広がったそうです。コンビニエンスストアは特に夜間などに中・高生が集まりやすい場所でもあり、また最近は犯罪被害者が助けを求めて駆け込んでくるような例も増えています。コンビニだけでなく、「青少年を見守る店」がもっと地域に広がっていってほしいと思います。
 みんなでこどもを見守り、声かけしていくことが大事だと思うのですが、一方、今日の会合に参加された交番の所長さんのお話しでは、最近は深夜に公園に集まっている少年たちに声をかけると、警察官に対しても「何もしてない、文句あるのか」とくってかかられるのだそうです。私たち大人は(つまり社会は)、それでもめげずに少年達の成長を支援していかなければならないと思います。

被災者にホームページを見る余裕があるだろうか?

2005-05-18 22:28:42 | 議会関係
 震災関係臨時議会は、昨日が議案質疑、今日が委員会審議でした。
 今回の震災復旧については、市もいろいろ工夫をして様々な施策を打ち出しています。評価できることもいろいろあります。
 しかし、市民生活の復興を支援するための制度を創設しても、そういった支援策があるということを、市民が知らなければ活用することができません。
 例えば、農村・漁村など特定地域を対象とした「家屋の建替え・補修費補助制度」などは、対象地域が限定されているので、市職員がその対象地域に出向いていって、相談会をされています。しかし、全市対象の「家屋の建替え・補修費補助制度」については、そういった制度が創設されたという情報を得た人でなければ、自分の家のケースが補助対象になるのかどうかの相談・問い合わせもできないわけです。
 「どういった方法で制度についての周知徹底を図っているのか?」との質問に対して、なんと「市政だよりやホームページでの情報提供、周知徹底に努めております」との答弁。
 市政だよりは月2回の発行です。普段から、情報収集のためにホームページを見る習慣のある市民はどれだけいるでしょう。ましてや、被災した方のなかで、ホームページで情報収集する余裕がある方がどれくらいおられるでしょうか?自治体として、本気で市民のもとに、あまねく情報を届けたいという気持ちがあるのかしらと思ってしまいます。
 地震直後には、NHKなどでは常時、画面に地震情報のテロップが流れて、例えば相談窓口の電話番号や相談時間、罹災ごみの収集・搬入についてなど、市民生活に必要な情報が流されていました。そういった形であれば、市民も情報を得やすいと思いますが、緊急災害情報を流していた時期以降では、復興支援策が創設されたときの報道を見逃してしまえば、知らないままになってしまいます。
 139万人もの市民に対し、それぞれの市民が必要とする情報をきちんと市民のもとまで届けることは、なかなか困難だということはわかりますが、災害復興支援策に限らず、自治体は、市民のもとに情報を届けるために、もっと工夫と努力をすべきと思います。どんなによい施策を打ち出しても、市民が活用しにくいものであれば意味がありません。情報公開、情報提供は、重要な市民サービスのひとつであると思います。