5月30日金沢地裁は、住基ネットは憲法が保障するプライバシー権や人格権を侵害し違憲として、石川県在住の28人が住基ネットに提供された個人情報の削除と国などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、「憲法13条が保障するプライバシー権には自己情報コントロール権が重要な一内容として含まれる」と指摘し、県と地方自治情報センターに原告住民の個人情報を削除するよう命じました。
一方、名古屋地裁は31日、「住民基本台帳の本人確認情報は以前から誰でも閲覧可能で、秘匿の必要性が必ずしも高いとはいえない」として、離脱を求めた原告の請求を棄却しました。
また5月24日には、「住基カードの全国の交付枚数が、今年3月末現在で、住基人口の0.43%(世帯比では1.09%)にとどまったことが総務省の調べでわかった。」とも報じられています。「都道府県別の普及率では、宮崎が人口比4.34%と最も高い。住基カードを使って住民票などの証明書を自動交付機で受けられるサービスや図書館の本の貸し出しなど、独自の多目的利用を行っている市町村で普及率が高い。トップの宮崎市は人口比15.85%、世帯比では36.7%で3世帯に1世帯がカードを持っている計算」とのことです。
私たち「ふくおかネットワーク」は、住民基本台帳ネットワークシステムは「個人情報の自己コントロール権を保障せず、国が個人情報を一元化してコントロールする」というシステムであり、ふくおかネットワークは住民基本台帳ネットワークシステムそのものに反対の立場をとっています。
私も市議になって最初の定例議会(03年6月議会)で、この住基ネットの問題をとりあげました。
住基ネットの安全性の確保に、100%はありえないと言われています。それでもこの住基ネットに参加し、かつセキュリティに責任を持つためには、24時間365日の運用監視システムを採用しなければならず、それには膨大な費用がかかります。コスト負担が大きいわりに、自治体としてのメリットは少なく、市民にとっても税金によるコスト負担と個人情報の漏洩のリスクは大きい反面、利便性はあまりにも少ないシステムです。
また、当初は雇用保険の支給など93の申請・届出に限られていた住基ネットの利用範囲に、新たにパスポートの発給や厚生年金の支給、不動産登記など171事務が追加され、住基ネットを利用して本人確認できる国、地方の事務は264に拡大されました。
さらに総務省は、住基ネットICカードについて、カードの「有効利用の検討を積極的に行う」よう指示し、カードは「民間にも広く利用させよ」と言い、例として図書館、健康保険、介護保険、病院、商店街、交通機関、公共料金等15項目もあげています。
しかし、総務省の薦めに乗って、住基ネットICカードの利用拡大を行っていけば、ひとつの番号に情報の集積と一元化が進み、様々な個人情報が追跡可能となります。そうするとこの情報というのは第三者にとっては利用する価値が高まり、情報を盗み出される危険性が増すと同時に、情報が漏洩した時の被害も甚大となります。
さらに、ICカードの利用拡大が進んでいけば、住基ネットICカードを持たないと市民生活が不便になり、結果的に市民は、この住基ネットICカードを持たざるを得ない状況になってしまいます。
そこで議会では、①「住基ネットの運用そのものをやめるよう」または「住基ネットへの参加、不参加を市民一人一人が選択できるようにする」よう、国に要望すること、②杉並区のように、「市民からの申し出によって、第三者への住民票交付の差し止めと住基ネット上の個人情報の削除を認める」よう条例等で規定すること、③情報漏洩によって市民が被るかも知れないリスクをこれ以上増大させないためにも、今後住基ネットICカードの利用拡大は行わないと明言すること、を求めました。
さらに、住民基本台帳法そのものの問題点として、誰でもが閲覧できることから、氏名・生年月日・住所・性別の4情報だけであっても「1人暮らしのお年寄りリスト」や「新生児リスト」がつくられ、商業目的に利用されたり、犯罪にも悪用される例が後を絶たず、また福岡市でも「他人の住基カードを勝手に申請して交付を受けた」という事件も起こっています。そこで、「ストーカーやDV被害者には、緊急避難的な、第三者への住民票の交付の差し止め措置や住基ネット上の個人情報の削除を認めること」「個人情報の不正使用の防止を図るために、窓口において住民票などの請求者の身分証明を義務付けること」も求めました。
福岡市の答弁は、「離脱も考えていない。個人選択性とするよう国に求める考えもない。住基カードの利用拡大は今のところ考えていない。」というものでした。
しかし「ストーカーやDV被害者への対応として、加害者への住民票の交付・閲覧制限措置」と「住民異動届を受け付ける際には、免許証の提示など本人確認を厳しくする」ことは実施されることになりました。
住民が住基ネットからの離脱と国などに賠償を求めた訴訟は全国13地裁で提訴されているとのこと。1日違いで、金沢地裁と名古屋地裁で対象的な判決がだされたわけですが、金沢地裁の判決が大きな流れとなって、「個人情報の自己コントロール権」(個人情報の取得、利用、第三者に対する提供等に関して本人が関与すること、その他の個人の権利、利益)が法的にきちんと規定され、住基ネットへの参加、不参加を市民一人一人が選択できるようにするなど、住民基本台帳法そのものが大きく改正されることを、期待しています。
一方、名古屋地裁は31日、「住民基本台帳の本人確認情報は以前から誰でも閲覧可能で、秘匿の必要性が必ずしも高いとはいえない」として、離脱を求めた原告の請求を棄却しました。
また5月24日には、「住基カードの全国の交付枚数が、今年3月末現在で、住基人口の0.43%(世帯比では1.09%)にとどまったことが総務省の調べでわかった。」とも報じられています。「都道府県別の普及率では、宮崎が人口比4.34%と最も高い。住基カードを使って住民票などの証明書を自動交付機で受けられるサービスや図書館の本の貸し出しなど、独自の多目的利用を行っている市町村で普及率が高い。トップの宮崎市は人口比15.85%、世帯比では36.7%で3世帯に1世帯がカードを持っている計算」とのことです。
私たち「ふくおかネットワーク」は、住民基本台帳ネットワークシステムは「個人情報の自己コントロール権を保障せず、国が個人情報を一元化してコントロールする」というシステムであり、ふくおかネットワークは住民基本台帳ネットワークシステムそのものに反対の立場をとっています。
私も市議になって最初の定例議会(03年6月議会)で、この住基ネットの問題をとりあげました。
住基ネットの安全性の確保に、100%はありえないと言われています。それでもこの住基ネットに参加し、かつセキュリティに責任を持つためには、24時間365日の運用監視システムを採用しなければならず、それには膨大な費用がかかります。コスト負担が大きいわりに、自治体としてのメリットは少なく、市民にとっても税金によるコスト負担と個人情報の漏洩のリスクは大きい反面、利便性はあまりにも少ないシステムです。
また、当初は雇用保険の支給など93の申請・届出に限られていた住基ネットの利用範囲に、新たにパスポートの発給や厚生年金の支給、不動産登記など171事務が追加され、住基ネットを利用して本人確認できる国、地方の事務は264に拡大されました。
さらに総務省は、住基ネットICカードについて、カードの「有効利用の検討を積極的に行う」よう指示し、カードは「民間にも広く利用させよ」と言い、例として図書館、健康保険、介護保険、病院、商店街、交通機関、公共料金等15項目もあげています。
しかし、総務省の薦めに乗って、住基ネットICカードの利用拡大を行っていけば、ひとつの番号に情報の集積と一元化が進み、様々な個人情報が追跡可能となります。そうするとこの情報というのは第三者にとっては利用する価値が高まり、情報を盗み出される危険性が増すと同時に、情報が漏洩した時の被害も甚大となります。
さらに、ICカードの利用拡大が進んでいけば、住基ネットICカードを持たないと市民生活が不便になり、結果的に市民は、この住基ネットICカードを持たざるを得ない状況になってしまいます。
そこで議会では、①「住基ネットの運用そのものをやめるよう」または「住基ネットへの参加、不参加を市民一人一人が選択できるようにする」よう、国に要望すること、②杉並区のように、「市民からの申し出によって、第三者への住民票交付の差し止めと住基ネット上の個人情報の削除を認める」よう条例等で規定すること、③情報漏洩によって市民が被るかも知れないリスクをこれ以上増大させないためにも、今後住基ネットICカードの利用拡大は行わないと明言すること、を求めました。
さらに、住民基本台帳法そのものの問題点として、誰でもが閲覧できることから、氏名・生年月日・住所・性別の4情報だけであっても「1人暮らしのお年寄りリスト」や「新生児リスト」がつくられ、商業目的に利用されたり、犯罪にも悪用される例が後を絶たず、また福岡市でも「他人の住基カードを勝手に申請して交付を受けた」という事件も起こっています。そこで、「ストーカーやDV被害者には、緊急避難的な、第三者への住民票の交付の差し止め措置や住基ネット上の個人情報の削除を認めること」「個人情報の不正使用の防止を図るために、窓口において住民票などの請求者の身分証明を義務付けること」も求めました。
福岡市の答弁は、「離脱も考えていない。個人選択性とするよう国に求める考えもない。住基カードの利用拡大は今のところ考えていない。」というものでした。
しかし「ストーカーやDV被害者への対応として、加害者への住民票の交付・閲覧制限措置」と「住民異動届を受け付ける際には、免許証の提示など本人確認を厳しくする」ことは実施されることになりました。
住民が住基ネットからの離脱と国などに賠償を求めた訴訟は全国13地裁で提訴されているとのこと。1日違いで、金沢地裁と名古屋地裁で対象的な判決がだされたわけですが、金沢地裁の判決が大きな流れとなって、「個人情報の自己コントロール権」(個人情報の取得、利用、第三者に対する提供等に関して本人が関与すること、その他の個人の権利、利益)が法的にきちんと規定され、住基ネットへの参加、不参加を市民一人一人が選択できるようにするなど、住民基本台帳法そのものが大きく改正されることを、期待しています。