映画「ボビー」のボビーとは,ロバート=ケネディの愛称です。ロバート=ケネディは,ジョン=F=ケネディ大統領の弟で,民主党の大統領候補予備選挙中,1968年6月にロサンゼルスのアンバサダー=ホテルで暗殺されました。
兄のケネディ大統領暗殺の真相に迫ろうとした映画「JFK」とは違い,この映画はボビーが暗殺されたホテルに集まった人々を,いわゆるグランド=ホテル形式で描きます。グランド=ホテル形式というのは,1932年にグレタ=ガルボ主演で製作され,アカデミー賞もとった映画「グランド=ホテル」に由来し,ある場所にたまたま集まった人々のそれぞれの人生を描く形式のことをいいます。三谷幸喜の「THE 有頂天ホテル」のような映画といった方がわかりやすいでしょうね。
リタイアした元ホテルマンの老人2人,ホテルの支配人と美容師の妻,レストランのチーフと黒人やメキシコ人の料理人たち,支配人と不倫関係にある電話交換手,ラウンジで歌うアル中の歌手とその夫,ベトナムへ行くのを逃れるために偽装の結婚をしようとする若いカップル,ボビーの選挙活動のボランティアたち,東海岸からきた金持ちの中年カップルなど,それぞれの人々は,差別と友情,愛情と憎しみ,孤独などのなかで生きています。
かれらの会話には,当時公開され,その撮影がまさにアンバサダー=ホテルで行われた映画「卒業」や,アメリカ社会を風刺した「猿の惑星」が出てきます。音楽は1968年の曲,エリック=クラプトンがメンバーだったクリームの「スプーンフル」やミリアム=マケバの「パタパタ」,そしてサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」などが使われています。
監督はマーティン=シーンの息子で,チャーリー=シーンの兄エミリオ=エスティヴェス。彼自身も実生活で婚約したこともあるデミ=ムーアの夫役で出演しています。デミ=ムーアの15歳年下の現在の夫アシュトン=カッチャーや,マーティン=シーン・アンソニー=ホプキンス・ハリー=ベラホンテ・シャロン=ストーン,「ロード・オブ・リング」のフロド役イライジャ=ウッド,「マトリックス」3部作でモーフィアスを演じたローレンス=フィッシュバーンなどがつぎつぎと登場するオール=スター映画ですが,出演者たちは,最低限のギャラで出演したということです。また,登場人物は,撃たれたボビーを抱きかかえる調理人の見習いホセ以外は架空の人物です。
ボビー自身にはほとんど実写のフィルムが使われ,それ以外では姿は見せますが顔は出しません。暗殺現場の厨房を通るシーンは,映画「ベンハー」でゴルゴダの丘を登るイエスを思い出させます。そこにはJFKにも共通する,もしボビーが生きていたら,アメリカは違っていたはずだという思いが現われています。歴史に「もし」はありませんが,私はジョン=F=ケネディやロバート=ケネディがもし,生き延びていても,彼らの評価が落ちただけだろうと思います。
それにしても,1960年代はアメリカでは暗殺が続きました。兄のケネディ大統領が1963年11月に暗殺されたあと,1965年にはマルコムX,1968年4月にはキング牧師,そしてその2カ月後にボビーが暗殺されました。いずれも真相は明らかにされず,暗殺の背景は曖昧なままです。
さて,次の大統領選挙では,女性の大統領か黒人の大統領が生まれるのでしょうか。もちろん,どちらにしてもアメリカ合衆国史上初です。そういえば,SF映画に登場する未来の大統領って,黒人が多くないですか。
兄のケネディ大統領暗殺の真相に迫ろうとした映画「JFK」とは違い,この映画はボビーが暗殺されたホテルに集まった人々を,いわゆるグランド=ホテル形式で描きます。グランド=ホテル形式というのは,1932年にグレタ=ガルボ主演で製作され,アカデミー賞もとった映画「グランド=ホテル」に由来し,ある場所にたまたま集まった人々のそれぞれの人生を描く形式のことをいいます。三谷幸喜の「THE 有頂天ホテル」のような映画といった方がわかりやすいでしょうね。
リタイアした元ホテルマンの老人2人,ホテルの支配人と美容師の妻,レストランのチーフと黒人やメキシコ人の料理人たち,支配人と不倫関係にある電話交換手,ラウンジで歌うアル中の歌手とその夫,ベトナムへ行くのを逃れるために偽装の結婚をしようとする若いカップル,ボビーの選挙活動のボランティアたち,東海岸からきた金持ちの中年カップルなど,それぞれの人々は,差別と友情,愛情と憎しみ,孤独などのなかで生きています。
かれらの会話には,当時公開され,その撮影がまさにアンバサダー=ホテルで行われた映画「卒業」や,アメリカ社会を風刺した「猿の惑星」が出てきます。音楽は1968年の曲,エリック=クラプトンがメンバーだったクリームの「スプーンフル」やミリアム=マケバの「パタパタ」,そしてサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」などが使われています。
監督はマーティン=シーンの息子で,チャーリー=シーンの兄エミリオ=エスティヴェス。彼自身も実生活で婚約したこともあるデミ=ムーアの夫役で出演しています。デミ=ムーアの15歳年下の現在の夫アシュトン=カッチャーや,マーティン=シーン・アンソニー=ホプキンス・ハリー=ベラホンテ・シャロン=ストーン,「ロード・オブ・リング」のフロド役イライジャ=ウッド,「マトリックス」3部作でモーフィアスを演じたローレンス=フィッシュバーンなどがつぎつぎと登場するオール=スター映画ですが,出演者たちは,最低限のギャラで出演したということです。また,登場人物は,撃たれたボビーを抱きかかえる調理人の見習いホセ以外は架空の人物です。
ボビー自身にはほとんど実写のフィルムが使われ,それ以外では姿は見せますが顔は出しません。暗殺現場の厨房を通るシーンは,映画「ベンハー」でゴルゴダの丘を登るイエスを思い出させます。そこにはJFKにも共通する,もしボビーが生きていたら,アメリカは違っていたはずだという思いが現われています。歴史に「もし」はありませんが,私はジョン=F=ケネディやロバート=ケネディがもし,生き延びていても,彼らの評価が落ちただけだろうと思います。
それにしても,1960年代はアメリカでは暗殺が続きました。兄のケネディ大統領が1963年11月に暗殺されたあと,1965年にはマルコムX,1968年4月にはキング牧師,そしてその2カ月後にボビーが暗殺されました。いずれも真相は明らかにされず,暗殺の背景は曖昧なままです。
さて,次の大統領選挙では,女性の大統領か黒人の大統領が生まれるのでしょうか。もちろん,どちらにしてもアメリカ合衆国史上初です。そういえば,SF映画に登場する未来の大統領って,黒人が多くないですか。
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80年代、私が学生だった頃は「セント・エルモス・ファイアー」「アウトサイダー」やジョン・ヒューズ監督の「ブレック・ファーストクラブ」「プリティ・イン・ピンク」といった青春映画がたくさん製作されて流行っていました。
そして、それらの出演した若手スターの事は「ブラットパック」とか「LAスター」と呼ばれて映画雑誌のグラビアを飾っていました。エミリオやデミはもちろんの事、「24」のキーファー・サザーランドも。私はどちらかというと彼らよりミッキー・ロークやジョン・ローンが好きでしたが。
少し遠い目になってしまいました。