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ギターのトレモロに私も揺れて・・・・二つのコンサート

2017-05-16 16:23:00 | 音楽を聴く
 久々のコンサート、しかも2日続けて。両方とも、カルテット。
 15日は名古屋を拠点にする若手の弦楽四重奏団、クァルテット・ダモーレによるもの。
 14日は、岐阜で4人のギタリストたちによるもの。

 前者については、このSNSでも、私より数段耳の良い方がいらっしゃって何かお書きになるかもしれないので、わたしはもっぱら後者について述べよう。
 ただ、この弦楽四重奏団のアンコールが、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」だったことを書き添えておこう。

          
          当日の女性陣のコスチュームはもっとあでやかだった


 ご存じの方も多いと思うが、モーツァルトはミサ曲やオペラなどで多くの合唱曲を書いているが、ケッヘル番号が独立している単独の合唱曲は、この「アヴェ・ヴェルム・コルプス」だけだ。
 それを弦楽四重奏で演奏するのは初めて聴いた。
 もともと、静かにフェイド・アウトするような曲だから、器楽曲にはいくぶん物足りないかもしれないが、合うとすれば弦楽四重奏しかないのだろうなという点で納得できた。

 さて、4人のギタリストの方だが、こちらの方は5月14日、岐阜サラマンカホールでのもの。
 日本のギタリストの重鎮、荘村清志を中心に、鈴木大介、大萩康司、それに紅一点、朴葵姫(パク・キュヒ)の4人が一堂に会したもので、先の弦楽四重奏団と違って、ひとつのチームのようなものではないのだが、それでもはじめての顔合わせではないようで息はピッタリ合っていた。

             

 演奏は四重奏、三重奏、二重奏、独奏といろいろで、曲も古いもの、比較的新しいもの、ギター本来の曲、アレンジしたもの、などなど多彩であった。
 私にとっては四人のアンサンブルははじめてで、第一部の最後を飾ったローラン・ディアンス(昨年死去)の「チェニス・チュニジア」などは、ギターならではの音色の重なりで、けっこう広がりのある演奏を聞かせてくれた。
 この曲はもろに北アフリカ大陸をイメージしているが、ギターという楽器が、ヨーロッパのアフリカといわれたスペインで成長し、数々の名曲を生み出したことが偲ばれるような曲でもあった。
 
 もちろん曲にもよるが、ギターの調べはツツツ~ッと上昇したり、そこから滑らかに下降したりで、それらをよぎるようにリズムが刻まれ、独特の繊細な音楽が醸し出される。
 その繊細さ故に、ギター同士、あるいは他の単独の楽器とのコラボ、あるいはロドリーゴの「アランフェス協奏曲」のようにオケとの協奏はあっても、まかり間違っても、オケや合奏団の中に埋没してはその特色が殺されてしまうのだろうと思う。

          

 独奏では、朴葵姫のアルベニスの「スペイン組曲」からの「セビリア」が若々しく澄んだ音色を響かせていた。
 また、荘村清志の「アルハンブラの思い出」(タレガ)は、何度も聞きなれたはずなのに、そのトレモロと同時にこちらの肉体と精神も小刻みに揺れるような快感で、ホール全体がキュンと締まるようであった。
 ちなみに、荘村は姿勢がとても良く、禁欲的なほどに背筋の線が垂直なままに演奏する。ほかの演奏者たちが、曲想につれ、体を揺らしたり、前のめりになったりするのとは対象的である。

 正直いって、ギターの演奏はCDや媒体を通じては聴いているものの、コンサートとなるとこれで二回めほどで、しかも4人のアンサンブルというのは初めてだ。だから偉そうなことはいえない。

 もともと、私のギター体験の始まりはといえば、古賀政男の「湯の町エレジー」のあのセツセツとしたイントロ、ついで、映画「禁じられた遊び」のサウンドトラックといったところだから、まあお里が知れているというべきだろう。

 でも、とてもいいコンサートだった。前から3列目で聴くそれは、弦の震えが私自身と共鳴するかのように感じられた。
 なお、余談であるが荘村清志氏は岐阜の出身で、しかも校区は私のそれの隣。彼のほうが9歳ほど若いが、子どもの頃どこかですれ違っているかもしれない。
 もっとも16歳の折に来日中のナルシソ・イエペスに見出されて、スペインへ渡り、イエペスに師事したというから、はなたれ小僧だった私とは毛並みが違うことは事実だ。








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2 コメント

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Unknown (花てぼ)
2017-05-16 23:02:48
庄村さん、懐かしいですね。
テレビでデビューの頃は初々しかった(あたりまえ)。
今、すっかり貫禄で素敵です。
Unknown (花てぼ)
2017-05-17 08:34:56
荘村さんです。

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