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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

一万二千歩のマーチ または老いのうごめき

2016-10-25 00:42:39 | よしなしごと
 23日、日曜日、帰宅してガラケーの歩数計をみたら12,000歩超とあった。
 ヘ~、そんなに歩いたかなと思い、一日を振り返ってみた。

 9時、自宅発、バスで岐阜駅。JR東海道線で名古屋。中央線乗り換えで鶴舞駅下車、鶴舞公園へ向かう。
 ここに書いた「鶴舞」が実は曲者なのだ。地下鉄の路線や駅名は「ツルマイ」、JRの駅名も、そして町名も「ツルマイ」。ただし公園名は「ツルマ」、図書館名も「ツルマ中央図書館」、更には近くの小学校も「ツルマ小学校」なのだ。
 地下鉄の駅名でも、ツルマ派とツルマイ派の間でけっこう論争になったようだが、結局第三者にわかりやすいということで「ツルマイ」になったという曰くがある。
 実際のところはツルマが古い地名で、「水流間」と書いていたのを、明治42年に「鶴舞」という文字を用いたのが混乱の始まりらしい。だから、土地の古い人はどれもこれもツルマで押し通すし、そんなことを知らない人は逆にどれもこれも「ツルマイ」にしてしまう。

           
         これは7月末のポケモン騒ぎの折の鶴舞(ツルマ)公園の模様

 ところで、この鶴舞公園というのは例のポケモンGOの聖地として全国的にも著名で、この7月の下旬には、夜になっても写真のように何千という人が集まっていた。
 この23日も、駅から公園に足を踏み入れた途端、溢れるような人並みが・・・すわっ、今日もポケモン探しかと思ったがそうではなく、折から「(名古屋市)昭和区区民まつり」が催されていたのだった。

           

 せっかくきたのだから、ポケモンがいないかと見回してみたがそれらしいものは見当たらない。それもそのはず、私はそれをダウンロードしたスマホなどもってはいなくて、ガラケーしかもってはいない。肉眼でそれが見つかるはずなどない。
 が、しかし、いたのだ。アトラクションのメイン会場の奏楽堂では、頭にポケモンのお面をつけた子どもたちが、輪になって「ポケモン音頭」を踊っていた。
 その後は、可愛いご婦人方のフォークダンスだった。

           
           

 ついでに、上空からみた形状がモンスターボールに似ているとかで騒ぎの中心になった噴水塔みもいってみたが、拍子抜けがするくらい静かだった。

              

 おっと、このお祭りを見に来たわけではなかった。
 この公園内にある名古屋市公会堂で行われている詩吟の会に招待されてきたのだった。今年の前半、大変お世話になった家の、父(92歳)、娘(詩吟の会の総師範)から招待され、その詩吟を聴きにきたのだった。

           

 名古屋市公会堂は懐かしい建物である。学生の頃、2回ほどここを借りて演説会などの催しをしたこともある。その準備で楽屋を見学していたとき、やはり近日、ここで公演をする「タンゴの女王」といわれた歌手の藤沢蘭子さんに至近距離で出会ったことがある。3年ほど前に亡くなられたようだが、当時は30歳代で最も華やかな時代であったと思う。
 入り口から入ろうとしてふと香りに釣られて振り返ったら、大きな金木犀の樹がそびえるように匂い立っていた。

              
 
 さて、この詩吟の会だが、そのへんのコンサートと違い、朝の9時に開会し、夕刻の6時頃まで続くもので、出演者も述べ、1,000人に届くかと思われる規模のものである。観客も入れればかなりの規模の会といえる。だから、プログラムには愛知県知事や名古屋市長が祝辞を寄せている。
 しかし、延々、詩を吟じるばかりではなく、なかにはドラマ仕立てのものもあったりしてメリハリをつけている。

 とはいえ、いくら「小人閑居」する私でも、一日中はお付き合いしかねる。まずは午前中の92歳の父君のものを聴き、しばらくして、いただいてあったお弁当券で昼食をとり、一度表へ出る。

           

 昭和区民祭はまだまだたけなわで、市バスに子どもたちがドローイングするイベントや、どこかの大学が古武術を披露する催しを行ったししていた。どこの大学かなぁと思ったら南山大学だった。南山といえばカトリック系の学校だが、こんな部活もやっているんだと思った。

           
           

 そこから地下鉄を乗り継いで、東区の高岳ヘ。
 この近くで、長年の友人夫妻の、夫君のほうが業界で組織する美術家たちのグループ展に出品されているのだ。この方の絵は前にも観ているし、いただいた小品もある。
 実業の世界でけっこう忙しい人なのに、そうした人の片手間の趣味とは思えない巧みな表現をする。今回のものは、近江八幡を題材にされたものが3点だったが、いずれも達者だ。
 近づいてみると、そのタッチは決して丹念とは思えない、むしろ省エネ画法ともいうべきあっさりした筆致である。しかし、離れてみるとそれらのタッチがみな生きて対象をかたちどる。これがようするに才能だろう。

 子供の頃から私の絵は、努力賞が多かった。懸命に描きすぎるのだろう。高校の時だったか、当時の美術の教師に、「君の絵は途中のほうがいい」といわれたことがある。ようするに、これでもか、これでもかと描きすぎて自分の絵をダメにしているのだ。
 そんなことを思い出したりした。

 さてそろそろ鶴舞の公会堂へ戻って、今度は総師範の娘さんの吟ずるのを聴く番だ。帰りがけ、何やら前方が騒がしい。品のない罵声や怒鳴り声が大音響で鳴っている。
 実は前にもこの付近で同様の経験をしている。というのは、この近くに中国の領事館があって、そこへしばしば街宣右翼がやってきてしばし汚らしい言葉を吐き捨ては去ってゆくのだ。ただし、叫んでいる言葉は以前より過激になってきている。在特会などのヘイトスピーチに刺激されてそれに負けまいとしているようだ。
 すぐ近くに小学校や幼稚園もあるのに、迷惑なことだ。

 きたときと逆に辿って、鶴舞の公会堂に戻る。
 その前に、鶴舞(ツルマ)中央図書館に寄ってみる。ここは同人誌の友人がよく利用する場所だが、岐阜県民の私にはあまり縁がない。かつて、何度かきたことはある。蔵書の量と質を観る。哲学・思想のコーナーをやや詳しく観察。岐阜の県立図書館とはまた変わった蔵書が結構ある。
 帰りに案内の箇所で、岐阜県民でも利用できるかを尋ねる。図書カードさえもつ手続きをすればOKとのこと。
 実際に利用できるかどうか、またじっくり考えてみることとする。

 公会堂へ戻る。ちょうど今年の最大のだしもの、構成吟の「陶潜の心」が始まるところだ。陶潜はまたの名を陶淵明といい、早くに官職を捨て隠遁したので、田園詩人と呼ばれたり、酒好きで酒の詩人と呼ばれた人だが、構成吟はその生涯やエピソードをナレーションなどでつなぎ、その合間に、彼自身の死を吟詠するもので、なかなか面白かった。

 「帰りなんいざ 田園まさに荒れなんとす」で始まる官を辞して田舎へ帰るとことから始まる彼の詩は、原詩が後ろのスクリーンに映し出され、しばらく忘れていた漢文の読み方のおさらいになった。
 だいたいこの漢詩の吟詠というのは、中国語で書かれた詩を日本語にして読み下し(これだけで大した発明だ)、さらにそれを七五調になぞらえて朗々と吟じるというもので、まさにこの国ならではの伝統文化の一つだと思われる。
 なお、この構成吟の舞台指導にあたったY氏は、私とは居酒屋時代からのおつきあいで、ここへ私が来た経緯にも一枚噛んでいる人である。長い間、舞台を手がけてきただけあって、なかなか見事なものであった。
 
 その後、総師範である知り合いの女性の吟を聴いて会場をあとにした。
 その吟もさることながら、その立ち姿が凛として美しく、さりげない貫禄がにじみ出ていた。

              
 
 賑わっていた「昭和区区民まつり」も人々が散り、各ブースでの後片付けが忙しそうだった。
 それを横目に、今度は中央線の鶴舞駅から千種駅まで乗り、そこから歩いて今池へ。名古屋シネマテークで上映中の、「将軍様、あなたのために映画を撮ります」を観た。
 いろいろ考えるところがあったが、それを書くとまたまた長くなるので以下を参照されたい。

                

 http://www.shouguneiga.ayapro.ne.jp/
 http://miyearnzzlabo.com/archives/39354

 映画後は、再び千種駅へ戻り金山駅で東海道線行に乗り換え、岐阜下車、バスで自宅へ。
 で、歩数計をみたら、12,000歩超。われながらよく歩いた。しかし、連続して歩いたのではなく、累積したら結果的にそうなったわけで、さして疲労感は残らなかった。









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1 コメント

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お疲れ様でした (さんこ)
2016-10-25 08:08:27
たくさん歩かれましたね。充実した一日でしたね。連れ合いの絵を見て下さりありがとうございます。😊早書きをしっかり観察されましたね。ツルマ公園も少しずつ落ち着いて来たようで嬉しいです。😃貴方の絵が見られる日を待っています。

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