お見舞いに行くときに何か手土産を持って行きたいけど
入院中の方に食べ物は難しいし、お花でも。
とお考えの方は多いのではないでしょうか?
しかし、近頃、生花の持込を禁止する病院が増えているようです。
理由は…
生花が(特に花瓶の水)感染症の原因となる微生物を含む可能性があるためらしいです。
以下、日本感染症学会のQ&Aから抜粋です。
(文献なので、“詳しい説明はいらない”方は読み飛ばして下さい:笑)
結論は下にあります(*^^)
【花瓶の水は細菌に汚染している可能性がある】
医療施設では新鮮な花、ドライフラワー、鉢植え植物をよく見かける。
多くの研究が切り花の花瓶の水における病原体の数や種類について評価している。
これらの研究によって、水が稀にしか交換されていないと細菌数の数が多くなることが示された。
花瓶の水の主な病原体はグラム陰性菌であり、緑膿菌がもっとも頻回に分離される病原体であった。
緑膿菌はまた、キクの花や鉢植え植物からも直接分離される。
しかし、病院の花がレストランや家庭の花と比較してずっと多くの細菌に汚染されていることはない。
また、病院の花から分離された細菌の種類や抗菌薬耐性の程度についても
どこにでもある花と差はみられない。
【免疫不全がなければ花瓶の水や鉢植え植物は感染源とはならない】
花瓶の水や鉢植え植物には数多くの細菌がみられるが、これらが正常免疫の患者の病室
などに置かれていても感染の危険性が増加することはない。
外科患者を対象とした研究では、花から同定された細菌が術後感染に影響しないことが観察されている。
同様の結果が鉢植え植物の細菌に注目した研究でも得られている
【免疫不全患者においては植物はアスペルギルスの感染源となりうる】
花(新鮮花もドライ花も)や装飾用植物はアスペルギルスの貯蔵庫となっており
これが原因となって空気中に分生子柄(註:分生子[菌糸の一部が伸びてその先が
くびれてできる胞子]を生じる特別の菌糸)が散布される可能性がある。
環境にアスペルギルス属が留まっていることは、好中球が著しく減少している患者
にとって重大な問題になることが侵入性アスペルギルス症の集団感染によって示された。
新鮮な切り花もドライフラワーのアレンジメントも真菌の貯蔵庫となっている。
細菌と花に関する研究は、ハイリスク患者(担癌患者や移植患者)の病室などでは
花と花瓶の水は避けるべきであることを示唆している。
それゆえ、免疫不全患者がいる区域(造血幹細胞移植病棟)では
花や植物を除去することは論理的といえる。
結論を申し上げれば「免疫不全がなければ花瓶の水や鉢植え植物は感染源とは
なりません。移植患者や重症エイズ患者の病棟以外であれば制限は不要です」
ということになります。
『 こまめに水を変えて下さい 』 とは言い難し
お花を持っていくことで、返って手間を取らせることになっても申し訳ない…
病院により、禁止事項も異なるので、確認してからお見舞いの品を選ばれるのを
お薦めします。
必ずしも『お花が無難』と言うわけにはいかないようで…