人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(再告知)2018年 ホセ・クーラ、ボロディナとマリインスキーでサムソンとデリラ / Samson et Dalila / Jose Cura & Olga Borodina in Mariinsky

2018-04-26 | サンクトペテルブルクのサムソンとデリラ




先日告知した、5月5日、マリインスキー劇場でのクーラとボロディナのカルメンですが、なんと、昨夜、劇場HPを見たところ、演目がサン=サーンスのサムソンとデリラになっていました!

公演10日前の急な変更で、しかも何の理由も説明もHPにはありません。こういう演目変更はよくあることなのか、どうか、そのあたりの事情もわかりません。びっくりしました。

ただ、クーラとボロディナは、カルメンの告知記事にも紹介した通り、サムソンでは何度も共演しており、またCDも録音しています。その点では息もぴったりで、変わらず素晴らしいコンサートになるだろうと思います。クーラの久しぶりのカルメンのドン・ジョゼを期待していた私としては、少々、複雑な思いはありますが・・。








主役サムソンがクーラ、デリラは、ロシアのベテランのメゾソプラノ、オルガ・ボロディナ。
今回の公演は、サンクトペテルブルク出身でもあるボロディナのデビュー30年記念をうたっています。
指揮は、フランス出身のエマニュエル・ヴィヨームです。

1日だけの公演で、セミ・ステージ形式というのは変わりません。
チケットはだいぶ少なくなりましたが、まだ平土間席の後方やボックス席2列目以降に残席があります。
1階席で日本円で約8千~1万円、上階の席では4千~6千円、最上階が千円です。

 → チケット購入

日本からロシアに行く場合は、ビザの手配が必要なため、残念ながらこれから行くのは難しいですが、連休にサンクトペテルブルク旅行をご予定の方には、ぜひおすすめです!



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2004年、シカゴでサムソンとデリラに出演したクーラとボロディナ


以下、カルメンとして発表された時の公演告知を若干組み替えて再掲します。


≪ボロディナとクーラのサムソンとデリラ≫


ボロディナとクーラは、それぞれの長いキャリアのなかで、何度か共演しています。サムソンとデリラは共演が多い作品で、全曲盤CDもリリースしています。
C・デイヴィスが指揮、ロンドン交響楽団による1998年収録。とても評価の高い録音です。






こちらはこのCD↑の録音風景の動画。2人の声がとても艶めかしく美しいです。

Saint-Saëns: Samson et Dalila (Olga Borodina with José Cura)





≪ボロディナとクーラ、96年に一緒にカルメンデビュー≫

ボロディナとクーラは、1996年にサンフランシスコオペラで2人そろってカルメンでロールデビューをしているようです。
(それ以前にクーラは、ダイジェスト版をコンサート形式で歌ったことや、初期の頃に脇役でオペラ出演したことはあるようですが、本格的なオペラでドン・ジョゼは初)

その1996年のサンフランシスコオペラのプレス資料から写真をお借りしました。
若いです!22年前で、クーラは34歳になる少し前、ボロディナも33歳、声も舞台姿もフレッシュで、さぞ魅力的なパフォーマンスだっただろうと思います。残念ながら録音や録画は見当たりません。

本当にういういしいクーラのドン・ジョゼ、現在のマッチョな演技、解釈とはだいぶ違う印象です。









≪ホセ・クーラとサンクトぺテルブルク≫


実はクーラは、今回が、念願のロシアでのオペラデビューです。
これまで、モスクワのクレムリン宮殿やボリショイ劇場、サンクトペテルブルクなど、ロシアで何度もコンサートには出演してきたのですが、オペラ公演は一度も機会がありませんでした。

昨年、サンクトペテルブルクでオネーギン賞特別賞を受け、同じサンクトペテルブルクにあるアレクサンドリンスキー劇場で授与式に出席したのですが、その時のインタビューで、ぜひここでオペラを歌いたいと語っていました。それで急きょ、話がまとまったのかもしれません。


2017年10月、サンクトペテルブルクのアレクサンドリンスキー劇場でオネーギン賞の授与式に出席




マリインスキー劇場は、今さら私が説明することもなく、バレエとオペラで世界的に有名な、長い歴史と伝統を持つ劇場で、現在はヴァレリー・ゲルギエフが総裁を務めています。





劇場サイトを見て驚いたのですが、シーズン中はほぼ毎日、3、4公演、多い日では9公演もの、バレエ、オペラ、クラシックとそれ以外のジャンルのコンサート、リサイタル、その他各種イベントが開かれているのです。

歴史的建造物のマリインスキー劇場に加え、2007年オープンのコンサートホール、さらに2013年には最新設備の新館マリインスキーⅡもオープン。この新館は複合施設で、ムソログスキー、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、シチェドリンというロシアが誇る大作曲家の名前がついた小規模なホールも整備されています。圧倒される規模と内容です。そしてマリインスキー劇場管弦楽団があり、専属の研修所であるマリインスキー劇場アカデミーが付属しています。

しかもサンクトペテルブルクにある劇場はこのマリインスキーだけではありません。エルミタージュ劇場、ミハイロフスキー劇場、前述のアレクサンドリンスキー劇場などなど、多くの劇場があります。もちろん首都モスクワにもボリショイ劇場をはじめとする数々の劇場があり、さすがバレエ、クラシック大国、なるほど芸術大国ロシアですね。

またサンクトペテルブルクは、世界史的にも何度も激動の舞台となった地です。帝政ロシアの首都として栄え、その後、ロシア革命の中心地となり、第2次世界大戦ではナチスドイツ軍によって900日間包囲されて70万人とも100万人ともいわれる犠牲者を出しながら耐え抜いたといいます。爆撃・砲撃により壊滅的になった市街は、戦後、復旧されて現在では美しい歴史的な街並みが残されているということです。ぜひ私も訪れてみたいと思います。


こちらは劇場サイトに掲載されている内部の様子。画像をクリックするとリンク先で360°劇場内を見ることができます。



同じく劇場サイト掲載の外観。





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昨年のインタビューでも、サンクトペテルブルクの印象を問われて、「すべてにおいて、文化、演劇、音楽が息づいている」と答えたクーラ。
この歴史と芸術の街での念願のクーラの初オペラ。ロシアでの初のオペラ出演でもあります。
コンサート形式だそうですが、ベテランの主役2人が、息の合った円熟の歌唱、演技もたっぷりつけて歌ってくれることと思います。
ロシアとEUは、このところ厳しい外交関係にあることが報道されています。懸念材料もありますが、舞台が無事に幕を開け、成功し、そして次のロシアでのオペラ出演につながることを願っています。



クーラのうたう「花の歌」を。2009年ウィーンの舞台から、カルメンはカサロヴァ。

Vesselina Kasarova, Jose Cura Carmen Act 2 Duo & "La fleur que tu m'avais jetée"



クーラのサムソンの動画を、クーラ演出・主演の2010年カールスルーエの舞台より

Samson et Dalila, con José Cura. Fragmento 11


Samson et Dalila, con José Cura. Fragmento 12



1996年サンフランシスコのカルメンより、クーラとボロディナ





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(告知編)2018年 ホセ・クーラ、ヴェスプレーム・フェスティバルに出演 / Jose Cura in VeszprémFest 2018

2018-04-23 | コンサート




ホセ・クーラのこの夏の新しい出演予定がカレンダーに追加されました。そのうちの1つは、2018年7月13日、ハンガリーのヴェスプレーム・フェスティバルでのコンサートです。
クーラ本人がフェスティバルの記者発表にも出席したほか、クーラの公式カレンダーにも掲載されました。

フェスティバルのフェイスブックに記者発表の様子の写真、動画なども掲載されましたので、お借りして紹介したいと思います。






VeszprémFest, July 13, 2018
Argentinean tenor Jose Cura
Mexican tenor Ramon Vargas
Hungarian sopranos Erika Miklosa and Andrea Rost








今年のヴェスプレーム・フェスは7月11日~14日の日程です。
15回目の節目の年だそうです。クーラが出演するのは、7月13日のオペラコンサートです。

出演者は4人。テノールのクーラと、同じくテノールのラモン・ヴァルガス。そしてソプラノも2人、エリカ・ミクローザとアンドレア・ロストです。


この下の2つ↓は、クーラが3月29日にコンサートのためにブダペストを訪れた際にフェスティバルの記者会見に同席した時の動画です。
フェイスブックにアップされたもので、短いですが、クーラが英語で語り、ハンガリー語に通訳されている様子がわかります。








記者発表に同席したエリカ・ミクローザさんがフェイスブックにアップした、クーラとの写真。




こちらはフェス主催者がアップした紹介動画。クーラの以前出演した際のインタビューに加え、4人の出演者が歌っている様子が紹介されています。

Jose Cura Ramon Vargas Erika Miklosa Andrea Rost




この下も同じく紹介動画ですが、こちらは新しく収録したクーラのインタビューで、今年の企画の魅力を紹介しています。
びっくりしたのは、クーラが他の出演者を紹介して、最後のラモン・ヴァルガスのところで、「2人でドン・カルロのデュエットを歌う」「ラモンがテノールで自分はバリトン」と語っている!ように聞こえるところです。

2人のテノールのコンサートでどういう演目かと思っていましたが、クーラがドン・カルロのバリトンロールであるロドリーゴを歌い、ヴァルガスと二重唱とは・・! 
ぜひ、DVDなどで聞きたいものです。

José Cura - VeszprémFest, 2018. július 13.



こちらはラモン・ヴァルガス版です。
ヴァルガスはクーラについて、「大切な友人で相互にリスペクトしてる。クーラは素晴らしくて面白くて強い個性、特別な声の持ち主」と紹介しています。

Ramón Vargas - VeszprémFest, 2018. július 13.




このヴェスプレーム・フェスにクーラが出演するのは、今回が3回目です。

1回目は、フェスティバル自体が第1回目の2004年でした。その時の様子を紹介した動画です。
クーラが歌っている様子が見られますが、ここでの指揮は、ピアニストとしても有名だったゾルタン・コチシュです。
そしてこの動画にはありませんが、このコンサートでクーラは、指揮者としても出演し、ピアニストのコチシュと、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団とともに、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏しています。

Jose Cura VeszprémFest 2004



2回目は2010年、ハンガリーのメゾソプラノ、イルディコ・コムロージと。カヴァレリア・ルスティカーナ、カルメン、サムソンとデリラなどからオペラアリア、デュエットを歌っています。クーラは指揮もしていますし、お楽しみは、アンコールだったのか、めずらしくクーラがドイツ語で、レハールの「唇は語らずとも」を歌っているところです。
コンサートの楽しい抜粋動画になっていますので、ぜひごらんになってみてください。

José Cura & Komlósi Ildikó - 2010.07.30. Veszprém Aréna



クーラはつねに、クラシックは堅苦しいものではなく、だれもが楽しめるものだという信念から、舞台上では自分も楽しむし、観客が楽しめるように全力投球するエンターティナーです。
クラシックを神聖視する人たちからは批判されたこともありますが、コンサートは、観客を愛し、観客から愛が返される、ともに愛し合う場だというクーラの姿勢に変わりはありません。

日本では、2006年以来、来日がなく、身近にクーラの公演に接することができないのが本当に残念です。
ぜひ近いうちに機会をつくって、夏のコンサートに行ってみたいものです。

この夏、欧州に旅行を検討されている方でクーラに興味をお持ちのかたがもしいらしたら、ぜひ、夏のコンサートを検討してみられてはいかがでしょうか。
ここで紹介したハンガリーでは、このヴェスプレーム(7/13)の他、ワインで有名なトカイでもオペラアリア・コンサート(7/28)が予定されています。また、スイスのチューリヒ郊外のヴィンタートゥールの野外コンサート(7/7)にも出演予定です。
 → クーラの公式カレンダー





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