人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

ホセ・クーラ 妻、家族、愛について

2016-02-26 | 人となり、家族・妻について


世界中を旅して公演を行うオペラ歌手にとって、仕事と家庭の両立は簡単なことではないと思います。
ホセ・クーラは、若い頃とてもハンサムだったこともあり、またデビュー後、「セクシー・オペラスター」というような売り出し方をされたために、プレーボーイのイメージもあったかもしれません。
しかし実際には、家族のために努力を惜しまず、安定した家庭を築いてきたことをさまざまな機会に発言しています。

アルゼンチン出身のクーラは、15歳位からの幼なじみのシルヴィアさんと、1985年に22歳で結婚しています。略歴でも記しましたが、指揮者・作曲家をめざしていたクーラは、生活のためにテアトロコロンの合唱団に入り、それ以外にも、フィットネスクラブのインストラクターや郵便配達など様々な仕事をしていました。シルヴィアさんは女優志望だったそうです。1988年には長男のベンが誕生、そして91年に、親子3人でイタリアに渡りました。

  

欧州移住後、長女、次男が誕生、3人の子どもに恵まれました。シルヴィアさんは女優の道を断念し、クーラが独立して立ち上げたプロダクションCuibarの会計担当者として、公私とものパートナーとなっているそうです。イタリア、フランスを経て、マドリード在住です。

  
長男のベンは、クーラのオペラ舞台に子役として登場したこともあってか、イギリスで演劇・映画を学び、俳優としてデビュー。昨年は初監督映画の「Creditors 債権者」を成功させました。多くの賞も受賞したようです。

左は「運命の力」に出演したベンとパパ・クーラ、右はベンの映画「債権者」の一場面
 

ベンが2013年に出演したミュージカル"VIVA FOREVER!"の主題歌(元歌はスパイスガールズ)を歌っている動画がYoutubeにあります。
VIVA FOREVER!


長女ヤスミンさんはイギリスで写真を学び、次男ニコラスは物理学専攻の学生とのことです。
最近では、クーラのプレス用の写真は、娘さんが撮影しています。クーラは独立独歩の人であるとともに、家族の支えで活動しています。

クーラの外国公演にはほとんどの場合、妻のシルヴィアさんが同行、学校が休みの時期には家族みんなで演奏旅行に行くそうです。
2012年、チェコの世界遺産チェスキー・クルムロフでの公演の際の一家。
 

クーラの家庭観、家族観がうかがえる発言をインタビューから抜粋してみました。

●歌は生活費を稼ぐ素晴らしい方法だが、現実の生活がより重要。幸せな家族を持って幸運だ。そう、ステージ上ではディーヴァ、しかし自宅では普通の男。私は情熱的な人間だ。悲いことを見るとすぐ泣いてしまう。(1997年)

●1991年にアルゼンチンからヨーロッパへ移った。2、3年はレストランで働き、妻も一緒に働き、皿洗いをした。とても苛酷な生活だった。家賃が払えず1年間ガレージに住んだ。夜中は木を集めて、火でガレージを暖めていた。

●家族の土台はとても重要。人間として自分をまともに維持する唯一の方法だ。スタンディングオベーションを受けた舞台を終え、家に帰って子どものおむつをかえる。オペラは素晴らしいが、これも良い。地に足を保つことができる。

●私はポジティブな人間だ。幸運な人間として人生を楽しんでいる。私には美しい家族がある。30年間、妻と過ごし、3人の子どもたちは美しく健康的に育っている。私は願った全てのものを得ることができた。(2009年)

●(あなたは本質的にドンファンか、それともロメオか?の問いに)それを言うのは難しい。ツアー中の時、ドンファンは私の中に住みつく傾向がある。しかし、ロミオは砦を守る。妻にプロポーズした時、こう言った。「私は、あなたと、残りの私の人生をともに過ごしたい」、それ以来30年過ぎた。しかし真実の愛は毎日の闘いが必要だ。さもなければ、それは愛でなく、純粋に順応主義だ。(2010年)

●32年間、妻と一緒にいる。23、18、15歳の3人の子ども(当時)を持つ我々は非常に幸せな家族だ。旅が多いが、私はいつでも彼らのためにある。学校が休みの夏、家族と一緒に演奏旅行に行くことも多い。(2011年)

●(30年のキャリアで一番の栄光を聞かれ)私の栄誉は私の家族だ。15歳から知っている今の妻と、私たちは3人の子どもをもっている。それが私の最大の栄光だ。(2015年)



長男のベンは、初監督作品を完成させて受けたインタビューで、父ホセについて語っています。クーラの父親としての側面の一端がわかり、興味深い内容です。抜粋してみました。
インタビューのリンク(英語)

「父から学んだのは、個人の生活とプロとしての発展の間の健康的なバランス。父ホセは芸術において多面的な人だが、自分にとってより重要なのは、彼が人生の全般において多面的であることだ。父は常にハードに働くことができる人だが、それと同時に、愛と存在感に満たされた家庭生活を維持し続けている。私も自分の生活にそれを適用しようと努力している。」

「父から学んだ大きな教訓は、別の事のために決して他のことを断念しないこと。たとえそのために二重の仕事をしなければならない場合であっても。これが私がこれまで父そして母から受けた最も大きな影響だ。」

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チェコのチェスキー・クルムロフでコンサートをした際のドキュメンタリー。途中、7分過ぎと20分頃に、シルヴィアさんとヤスミンさんも登場しています。
José Cura Documentary (CZ subtitles)


クーラ自身も「愛は毎日の闘いが必要」と語っているように、また誰でも同じですが、夫婦や家族の間には様々な問題もあるかと思います。しかし日々の努力の大切さを自覚し、こうした家族の支えがあるからこそ、何に対しても妥協せずに、自ら信じる芸術の道を歩み続けることができるのだろうと思います。

2014年ヴェローナのアリーナで、クーラ夫妻とバリトンのカルロ・グエルフィ


写真はクーラや音楽祭のFBなどからお借りしました。

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