路上書家『大西高広』のブログページ

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道具(判子、印泥)

2006-04-29 08:00:34 | 日記
 

久々の道具特集は「判子」と「印泥」(いんでい)です。

作品に欠かせないのが判子。
この作品は自分が書きましたという証明でもあり、また、判子自体を作品のデザインの一部として考えても、なくてはならない役割をしてくれます。
重要な役割を果たす判子ですから、作品を書き始める前から、いったいどんなものにしようかと考えていました。

…自分を証明するもの。。
…ちょっと笑いの効いたもの。。
…自分で作りたいから難しいものはなぁ。。
と考えてると、そう言えばよくお巡りさんに「指紋」を採られたなぁと、ちょっと嫌な思い出が蘇りました(笑)
「そうだ、指紋にしよう!」
ということで、すんなり指紋デザインに決定しました。
けっこう僕は直感で生きています(^^;)

初めは木に指紋をつけて、そこに名前を書いて彫ってみました。
木に彫ってみると、使った木もお粗末なものだし技術もなかったんですが、なかなか思い通りのものに仕上がらないんですね。
細かい線を彫っていると、木の繊維というか木目に負けて彫りすぎたり、指紋の線がつながったりで、リアルな指紋を再現できずに“指紋をモチーフにしたもの”になってしまいました。
それなら石に彫ろうということで、現在の判子になりました。
彫りだすと面白くて、一晩で完成したのを覚えています。
初期の頃から今も変わらずこの「指紋判子」が、僕の作品の証になっています。

時々、初期の頃の作品を知っている人から、判子変えた?と言われることがあります。
判子は変わってないんだけど、そう思われるのは“判子と印泥の関係”によるものだと思います。
印泥も初めとほとんど同じもの(品番のもの)を使ってますが、判子と印泥の扱い方、思いやりが向上したんですね。
印泥は字の如く、泥(あぶら)の塊です。
こねこね混ぜて表面をつるつるにして使います。
表面のつるつるを保つ為、何度も何度もこねくり回します。
判子についた印泥も、何回かごとに拭き取らないと綺麗な判にならない。
そのこまめさ、判に対する想いが足りなかったんですね。
このこまめな作業が大切で、これだけでも仕上がりは格段に変わります。

そこまではマニュアル通り。
あとは路上という条件が加わって、季節や場所、気温、湿度に応じて印泥の保管方法を変えるのがミソです。
夏の炎天下では、印泥もすぐにドロドロになるので冷蔵(ちょい冷凍)をしながら使う。
冬はカチカチになるので比較的使いやすいが、ちゃんと判子につくようにこねくり具合を変える。
この感覚は、目視や肌で感じる湿度で調整します。
それが少しずつわかるようになってきたんですね。

そしてこれが2種類の判子を押した写真です。



写真見づらくてすみません(^^;)
定番の「指紋判子」とミニ作品用に使う「ニコちゃん判子」
「ニコちゃん判子」には分かり難いけど、ひらがなで名前(たかひろ)の文字が入っています。

僕は基本的に作品にサインはしません。
希望があればお入れしますが、自分からは書きません。
それは、書道というよりも絵に近い感覚で文字を書いていることもあり、あまり仰々しくはしたくない為です。
なので、2種類の判子に「高広」と「たかひろ」の文字を刻んであります。

ちょっと話しはそれますが、判子にまつわるエピソードをひとつ。
先日、判子だけの作品を作りました。
白紙の色紙に判子がひとつ。ただそれだけの作品。
こういう作品をいつか作りたいなと思いながら、今まで出来なかったんです。
新潟の川内自動車さんのお店「ビックカードーム タンポポ」さんには、いつもたくさんの作品を展示して下さっています。
2ヶ月に1回は新潟に行けるようになったし、それなら2ヶ月サイクルで展示して下さってる作品を、季節に合わせて変えさせてもらおうと思い、3月に行った時に3月・4月をテーマにした作品を書かせてもらいました。
その中の作品のひとつが「判子だけの作品」
僕の3月・4月への想いと、お店に飾って下さってるスタイルがマッチして、この作品を展示させて頂くGOサインが、僕の中で出たわけです。
「判子だけの作品」きっとお店に来たお客さんは「?」と思うと思います。
白紙の作品に色んな想いを描く人もいれば、お店の人に聞く人もいると思います。
そこで会話や自分との対話が生まれる情景をイメージした時、この作品の意義というか、広がりがみえて、この作品を作ることが出来ました。

作品制作の終盤で判子を押す時、作品に魂が宿るよう、判子に想いをこめます。
「家庭円満」や「夫婦円満」、「想いが成就するように」「絆が深まりますように」、「ずっとつながりを感じられますように」
一筆一筆に乗せる想いは、判子にこめる想いで結び、ひとつの作品が完成します。
そして、出来上がった作品を送り出す。
「がんばってな。」

次回の道具特集は「顔彩」(がんさい)です。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (雅子)
2006-05-01 17:19:26
判子誕生にそんな秘話があったんですね!あの指紋の判子わたしは大好きです♪
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雅子さんへ (大西高広)
2006-05-05 06:11:02
お久しぶりです(^^)

書き込みありがとうございます☆



雅子さん前から判子イイって言ってくれてましたもんね。

判子もきっと喜んでます
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Unknown (雅子)
2006-05-07 09:15:56
判子好きっていったの覚えててくれたんですね!ありがとうございます!

今日は久しぶりにゆっくりした時間ができたので絵を描こうと思いました。三年ぶりです・・

今年の年賀状は判子にしようかな・・なんてだいぶ先のことを考えているわたしでした・・

大西さんも忙しそうですが身体に気をついけて頑張ってくださいね!!
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雅子さんへ (大西高広)
2006-05-11 01:16:02
三年ぶりに描く絵はどうでしたか?

三年ぶりっていうのもすごいですね(^^)



僕はGWの活動も終って、まだ一息つけそうにないけど、ひと山越えた感じです。

今年、僕は絵の作品も作っていこうと思っています☆

早くお見せできるようにがんばります☆

ありがとうございます♪
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