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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

この時期だから──『太陽の帝国』

2005-08-17 13:02:17 | クリスチャン・ベイル
太陽の帝国 特別版

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今をときめくクリスチャン・ベイルの子役時代(でも主役)の作。
スピルバーグ監督作品としては言及されることが少ないけれど、隠れた傑作と思う。バラードの原作は未読だが、初めて日本で出版された当時は、「あのバラードにこんな過去が!」と、驚きの声で迎えられたことを記憶している。

戦争。親との別れ。収容所生活。逃避行。
一人の子どもが背負うにはあまりに過酷な環境も、本人にとってはすべて、受け入れていかなくてはならない状況の変化でしかない。
そういう状況に置かれれば、その中で生き抜いて行くしかない。

「ナニカノマチガイデス。ボクタチハミナ、トモダチデスヨネ。センソウノセイデス」
という名台詞と、伊武雅人扮する収容所長の、
「You are a difficult boy ! 」
という吐き捨てるような言葉が、それを象徴している。

この映画に於て「戦争」は、徹頭徹尾、一人の子どもの目から見たものとして描き出される。
善悪を問うことに意味はない。
あからさまな反戦の意図も、もちろん戦争賛美もそこにはない。
彼は、「カッコいい」と思えば敵国の戦闘機(零戦)にも素直な憧れを表明するような子どもなのだ。

が、彼を取り巻く状況や環境そのものであった「戦争」が終わった時、彼には何が残ったのか。
彼が得たもの、失ったもの、回復しなくてはいけないもの、そして永遠に回復できないであろうものとは何か。
観終わった後で突きつけられる問いは、戦争の惨禍や恐怖を描いた数々の映画にも増して重い。

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