さよなら一月

2006-01-31 00:37:40 | Weblog
 “山のあなたの空遠く 「幸」住むと人のいふ。” 
                   上田 敏


《今日のお薦め》
ベルリンの天使の詩 監督: ヴィム・ヴェンダース
 
 一昨年見た映画の中で一番良かった作品。自分の中で間違いなく歴代トップ5に入る。見終わった後の感覚が忘れられない。直線的な感動ではなくて、鈍い痛みのような感動が襲ってくる。『小津に捧ぐ』という監督の言葉が出てきた時は鳥肌が立ちました。

ジュンク堂市民

2006-01-30 03:23:58 | Weblog
 一年のうち何時間池袋のジュンク堂で過ごしているんだろうか。大学に居る時間よりは確実に長いし、下手をすると家に居る時間と良い勝負をするんじゃないだろうか。そんくらいお世話になってる本屋だ。特に3階、4階、9階のヘビーユ-ザーなのでそれらしき人が居たら声を掛けてやってくださいな。ここの本屋の何が良いって椅子に座って本を読む、“座り読み”ができる事に尽きる。自分は立ち読みでも結構いけるのだけど、もって3時間が限度。それ以上は腰に負担が掛かりすぎて、ちと厳しい。だけど、ここはずらっと椅子と机が並んでいて、長く本屋で本を読むには居心地がとても良い。あなたもジュンク堂市民になってはいかが。

《今日のお薦め》
百年の愚行  池澤 夏樹 (寄稿), アッバス・キアロスタミ (寄稿), フリーマン・ダイソン (寄稿), 鄭 義 (寄稿), クロード・レヴィ=ストロース (寄稿), 小崎 哲哉  
 
 この写真集の凄絶さは言わずもがな、寄稿文を書いてる人達がやば過ぎる。大好きなイラン人映画監督のキアロスタミや文化人類学者のレヴィストロースといった豪華な人達が寄稿しているため、それだけでも見る価値がある。キアロスタミについてはいずれ推薦映画として紹介文を書こうと思うが、知ってる人もいるのではないだろうか。メッセンジャーでの自分の名前である。

地下の魅力

2006-01-29 02:48:59 | Weblog
 自分にとって地下って昔から魅力的な場所。何だか気味が悪いんだけど、どうしようもなく好奇心をそそられる。だから戦後の地下生活が舞台である『五分後の世界』も凄い好きな小説だ。地下の空間って色々な意味で歪んでるし、読んで字の如く“不自然”なんだけど、都会で生まれ育った者が煩雑な都市空間を好きになってしまうように、地下が持つ特有のネガティブさに強く惹かれてしまう。その魅力は“闇”がある事に原因があるのかもしれない。太陽が届かない分、人工的な明かりで照らさなければ見ることができないその場所が自分に想像を喚起するからなんだろう。暗くて見えない部分から『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』で出てきたような“ヤミクロ”が飛び出してくるんじゃないかとか、何らかの施設が網の目のように張り巡らされているんじゃないか、とかいった勝手な妄想をさせてくれる地下の“闇”の寛容さに興味は尽きない。もちろん地上に住んでるから魅力的に見えるんだろうけど。

《今日のお薦め》
JAPAN UNDERGROUND  内山 英明 (著)
 地下の綺麗な写真ばかり集めた写真集。ちなみに『JAPAN UNDERGROUND』のⅡ及びⅢも発売されている。人工的な照明はまるで何処かの夜景を見てるよう。

刑務所の中で

2006-01-28 03:09:32 | Weblog
 これは、去年の10月に一人で行った山梨県の宿。しかし宿というよりどちらかというと刑務所に近い。ふと川口湖に『釣りがしたい…』という衝動に駆られ、フラッと来たは良いものの、宿では酒を一人で飲むしかないほど退屈だった。あまりに退屈だったので東京で飲んでるという友達に『つまみを山梨の方角に投げてくれ』とちょっかいを出す。疲れていたせいもあるが、冒険をするほどのスペースの無い宿に愛想を尽かし、さっさと四畳半の畳の上に布団を敷き、物思いに耽っているかのように見せかけ、深いノンレム睡眠に突入してしまった。
 しかし一人旅というのも、恋人や友達と行く旅とはまた違った新鮮さがあって中々面白い。地元の知らないオッサンの長々とした世間話に辟易したり、『これも何かの御縁ですね』と旅行中の老夫婦がタクシーに相乗りした時に言ったその麗しき言葉に思わず頬が緩む。旅行先で会った人達。おそらくもう会えない人達なんだろう。数秒だったり、数分だったりするその彼らと共有した僅かな時間は必ずしも均等に自分の記憶に残ってはいない。見えたものと見えなかったもの、残ったものと残らなかったもの。恐らく、無意識の選択があったのだろう。見えなかった物、残らなかったものを憂いても仕方がない。でもやっぱり、ただただ、惜しい。

《今日のお薦め》
映画論集  ロラン・バルト
 バルトの映画論集。『戦艦ポチョムキン』等の映画を例に出しながらの考察はかなり鋭い。“鈍い意味”・・。う~む

モルディブ

2006-01-27 02:24:10 | Weblog
 モルディブ良いな~ 行きたいな~

《今日のお薦め》
葦と百合  奥泉光(著)  

 珍しくミステリーです。長編で何日もかかると思いきや、意外と一日でさらっと読めてしまうほど夢中になれる。ミステリー小説で面白いのを求めてる方はどうぞ。

更新が遅れまくってる件について

2006-01-26 02:10:13 | Weblog
 試験中だから長いのはまだ書けません・・。今、2月1日からこの日記を書いてます。はい。インチキです。はい。見栄です。そこまでして毎日の分を書かんでも良いではないか。と、つっこみを入れた方も居るかもしれないけれども、一日分でも更新しないと『3ヶ月更新しなくても・・』という怠惰な発想をしかねない自分なので、意地でもその日の文章を書くんです。それにもう一つ書かねばならない大きな理由があります。このブログの読者の存在です。このブログのアクセス解析を見てみると先週だけで431ip、1252回ものアクセスがありました。5ip以上の読者が居るのだったらこのブログは毎日続けるつもりで始めました。だからくだらない記事や阿呆な記事を読んでくれる寛容な読者や偶然立ち寄ったお客様がこんなに居るのだったら何が何でも毎日の文章を遅れてでも投稿しなければ・・というわけです。これからもこんなブログでよかったらよろしくお願いしますね。

《今日のお薦め》
反社会学講座  パオロ・マッツァーリ(著)

 表紙からしてインチキ臭いと思うかもしれませんが内容はいたってマトモ。こんな名前の著者ですが、勿論、日本人。笑える社会学の本として初学者にもお薦めです。反常識の知を篤と御覧あれ。

妙な繋がり

2006-01-25 03:03:46 | Weblog
 大学の帰りに池袋のとあるカフェでカプチーノとニューヨークチーズケーキを頼んで、いざ三階へ。すると大学で仲の良い友人が手を振ってるではありませんか。さっき大学のキャンパスで別れたはずなのに『いや~こんな所で会うとは奇遇だね~』なんて話をし、ケーキを頬張りながら、世間話に花を咲かせる。
 人の目も気にせず、『♪Hey Jude~』なんて唄ってると、一組の男女のカップルが自分達の席の近くに座ろうとしており、意味有り気にこちらに視線を向けている。どうやらそのカップルの男と、自分の連れが、山梨の高校での同級生だったらしい。この二人も『おぉ久しぶり~凄い偶然だな~』なんて会話をしている。その連れの同級生の彼女は中々清楚な御嬢さんである。しかし、『池袋にいる御嬢さん的な風貌』という記号的メッセージに自分の頭が妙に嫌な神経物質を出しているのが分かった。試しに『君何処の大学?』と聞くと彼女は『立教です』。自分の中の嫌な予感が加速する。『えっ・・何処の学部?』すると彼女は『フランス文学部ですよ』。既に失禁真近だった自分は、下がり行く体温の中で聞いてみた。『〇〇〇〇ちゃんって知ってる?』『〇〇ちゃん!?えっ知ってる知ってる。だって授業ほとんど一緒だし、同じダンスチームだったもん。』
 ちなみに〇〇ちゃんっていうのは、知ってる人は知ってると思うが、色々あった元カノの事である。驚く事に、池袋の一角にある狭いカフェで、さっきキャンパスで会ったばかりの友人に会い、その大学の友達と高校時代の同級生が数年振りに山梨ではなく東京で再開し、その彼が自分の元カノの友達と付き合っている、というなんとも奇妙な図式が出来上がっていたのだ。偶然って色んな意味であー怖い怖い。

《今日のお薦め》
ベルヴィル・ランデブー  監督: シルヴァン・ショメ
 フランスのアニメです。去年、新宿高島屋にあるテアトルタイムズスクエアでこれを見た時は、いかにもフランス的で、エスプリの効いた映画だなってのが率直な印象でした。対象年齢高めのアニメですし、台詞が殆ど無い事を考えても、非常にユニークな作品だと言えます。おそらく近くの大型レンタルショップに行けば借りる事が出来ると思うので、気になる方は是非。

良き表情に美しき魂

2006-01-24 03:33:49 | Weblog
 かっ・・可愛い。自分にとっては、やっぱり後にも先にもオードリーヘップバーン以上の女優はいないでしょうね。『ローマの休日』は言わずもがな、『ティファニーで朝食を』は原作の著者であるカポーティが可哀想になるくらい、映画の出来が勝っていましたね。もちろんmoon riverが最高だったってのもありますが。ちなみに原作より映画の方が良いって作品は中々ないですよね。原作の方を先に見てしまったのなら尚更。それはたぶん活字によって、自分の中でイメージが確立されてしまうからなのでしょう。バイアスがかかってしまうのはある意味勿体無い事なのだろうけど、そういうのを差し引いても著名な作品が映画化されたものを見ると妙に唸ってしまいます。カポーティの作品を小学生の時に読んだ時はそこまで感動しなかったのですが、映画で見た時は泣きましたよ。オードリーに。それはたぶんオードリーの演技はもちろん、オードリーの存在自体によってこの映画が、原作を読む事で膨らました『ティファニーで朝食を』に対する自分の想像を遥かに超えていたからだったんだと思います。彼女の魅力って顔の作りが良いってのはもちろんですが、彼女の表情って本当に人格的な素晴らしさが滲み出ていますよね。顔そのものの作りではなく、素敵な表情を持っている人は本当に性格も良いものです。表情や皺ってその人の歴史が出ますから。良い表情と皺を持ったオードリーのような人間になれると良いですね。

※パソコンじゃないとmoon riverは再生できません。Real Playerがまだ無いのなら、無料なのでダウンロ-ドしておくことをお薦めします。

《今日のお薦め》
汝、神になれ鬼になれ 諸星大二郎(著)
本文はオードリーでちょっと華やかな話題だったので、今日のお薦めはダークな漫画です。名指しで言いますが矢島君。君、絶対好き。神話とかそっち系の話が好きな人には堪らない内容なはず。凄まじく面白いから是非是非。takayaさん。君この漫画の良さを広めてあげてよ。

夢の中で

2006-01-23 02:26:51 | Weblog
 今日、モルダー捜査官と会いました。えぇ。あのXファイルの。

モルダー:『この書類届けといてくれないか』

白石:『自分でペンタゴンに行ってこい』


 スカリーは居ませんでした。そして何故か強気な自分と流暢な日本語を話すモルダー。というのは夢の話だが、Xファイルなんて小学校の時に見た以来、見た事無かったのに、10年近くの時を経て再開。夢は本当に興味深い。荒唐無稽の出来事も何故かリアリティがあるし、『これ夢だ』と気付く場合も稀なのだ。何処からモルダーという発想が出てきたのか自分でも全く検討もつかない。こういう時、心理学が役に立つと思われるかもしれないが、モルダー相手にはおそらく無力だ。

《今日のお薦め》
心理学  無藤 隆(著)
 心理学はちょっと齧ってるけど、一からしっかり学び直したい。そんな人にお薦めです。モルダー相手に役に立つかどうかは甚だ疑問ですが、概説書としてはかなり優れています。図書館等で借りてみるのもいいかもしれません。

文章の湿度

2006-01-22 19:20:03 | Weblog
 文章はその人のハビトゥスを如実に反映する。爽やかな文章、臭うような文章、味気ない文章、色々な文章がある。それらはその人の生き方そのものである。しかし、その大まかな印象を決めるのは、おそらく文章における水分だ。もちろん個人的には、あまり多くの水分が含まれてるのも嫌だが、たまにはそういう文章を読みたくなるし、書きたくなる。
 水分を多く含む文章というのは、ある意味書くのは楽である。論文のように、ガチガチの論理で固めなくても良いし、必ずしも因果や関係性を論証する必要がないからである。でも逆に言うとそこに水分を多く含む文章の難しさがある。
 子供が書く文章。それは水分の塊だ。確かにそこには感情の躍動があり、直線的な感動を私達に喚起する。でも、やっぱりそこには洗練された書き手が書くような“肌理”の細かさがない。
 逆に乾いた文章というのは何だろう。おそらくこのタイプの文章は学者に多い。理路整然と理屈で固められた文章。これも少々退屈なのだ。そして乾いた文章というのは頭に届いても、心には中々届かない。
 陳腐な言い回しだが、心にも頭にも届くような文章。そういう書き手であれたらと思う。

《今日のお薦め》
監督 小津安二郎   蓮實 重彦(著)
 小津安二郎好きでこの本を読んでない人は個人的には小津ファンとして認めてません。そんくらいの名著です。蓮實重彦は以前、村上春樹に関して書いた時にちょろっと名前を出しましたがとにかく一文一文が長い。まぁ変態ですよ彼は。でも今日の文章でも書いたように、水分のバランスが良く取れてる文筆家であるとも思います。蓮實重彦、鷲田清一、内田樹、自分が好きなタイプの文章を書く人は何故か全員フランス思想を通ってきてる。蓮實はフローベール、鷲田はメルロポンティ、内田はレヴィナス。蓮實だけ文学者の専攻だが、フーコー等のフランス思想全般に対しても博学です。
 それはいいとして小津安二郎好きや興味を持ってる方には読んでいただきたい本です。いや、読まなければなりません 笑

携帯から試しに・・・

2006-01-21 07:05:49 | Weblog
 性能悪い携帯なので画質は悪いですが、雪景色には朝日が映えますね。ベランダに出た瞬間思わず「綺麗ゑ~・・」と小さな奇声を上げてしまいました。朝日はやはり目と心の保養になります。

《今日のお薦め》
カフカ短編集  フランツ・カフカ(著) 
 『変身』や『審判』は読まれる方も多いと思うのですが、カフカの真髄は多分短編にあると思います。またちょっと違った表情のカフカが見えてくるはずです。カフカに興味がある方は是非。

そういえば・・・

2006-01-20 06:18:15 | Weblog
 映画を紹介すると言っておきながらまだしてませんでしたね。

《今日のお薦め》
ノスタルジア  監督: アンドレイ・タルコフスキー

 映像詩人と言われるタルコフスキーの作品の中でも一番印象に残っている作品。個人的にはロシア人監督の中ではエイゼンシュテインと並ぶくらい好きです。広場で男が焼身自殺する時に流れる第九が格好良過ぎ。去年、タルコフスキー映画祭という事もあり、文芸座のオールナイトへ地元の友人二人を連れて行ったのだが、それ以来オールナイトへは一人で行こうと決意させた作品でもある。「映画館へは一人で、ビデオは恋人と」ってのが映画を見る時は多分ベスト。

ジロリアン

2006-01-19 04:24:34 | Weblog
 厚生労働省に麻薬として認可されつつあるラーメン二郎。実を言うと自分も二郎ジャンキーの一人ですが、もう我慢ならない。禁断症状が出つつあり、明日池袋も通るので食べに行かせていただきます。でも本当にここのスープ、間違いなく体に悪い成分が入ってますね。食べ終わった後に内臓が悲鳴をあげるのが分かる 笑  最初に食べたときにここまで嵌るとは正直思いませんでしたが・・。
        
             「二郎やめますか、それとも人間やめますか」


《今日のお薦め》
 文学部唯野教授  筒井康隆(著)
 二郎の胡散臭さと妙にマッチしているような気がしたので推薦してみました。大学の現状を風刺した作品で、記号論、構造主義、現象学・・・etc こういう言葉を聞いただけで顔を歪めてしまうような人にこそお薦めです。とにかく笑える。電車とかで絶対読まないほうが良い。哲学とか嫌だ~とか言ってる人。いいから読んでみなさいって。『そういう勉強した事ないもん』みたいな読者を前提として書かれてるためかなり面白く、わかりやすく読めると思いますよ。別に唯野教授が授業しているだけの小説じゃないのでお堅いものではありません。登場人物はよく失禁するわ、教授は生徒を喰うわで何でもアリの小説です。早治大学・・・大学名からしてパロディー小説ですが、文学理論や哲学の入門書のための入門書として考えるならば、実はかなり優れている小説だと思います。自分は電車で読んでて何度か吹いてしまったため、かなり白い目で見られた覚えがあります。唯野教授のように、こういう理論を一般向けに面白可笑しく解説できる教授が現実にいたとしたらどんなにいいでしょうね。さあ明日本屋で買っちゃいましょう。

スタイルを崩す快感

2006-01-18 03:47:23 | Weblog
 感じた事があるのではないだろうか。例えば小学校の頃の学芸会。与えられた役を演じる事、役になりきる事によって自分が他者性を帯びていく。そこには何故か快感が伴う。その役になりきればなりきるほど、自分の喋り方、動作、表情、その全てが普段の自分とは全く異なる存在になっていくような錯覚を覚えるからだ。それは鎖に繋がれた『自分』という存在から解放されている事を意味しているからかもしれない。ほんのひと時だとしても。
 styleという英語は多義的だ。それは“様式”や“文体”、あるいは“個性”といった意味を持っている。『スタイルが良い』という時に使う日本語的な“体型”といった意味は本来無い。“様式”、“文体”、“個性”。いずれにしてもそういったものは全て経験的に蓄積されたものを事後的にそういった名称で呼んでいるにすぎない。もちろん生まれたての赤子はスタイルを持っていない。
 『自分』。これもスタイルみたいなものだ。身体レベルの習慣、意識レベルの習慣。そういった反復や蓄積によって出来たグジャグジャなもの中から選びとった平均値みたいなものを私達は『自分』と呼ぶ。そういった『自分』をどのような存在かと問われたら、みんな一様にしたり顔で『これが俺/私の個性だ』と特徴を列挙していく。言葉で。貧困な言葉で。
 文章を書いてるといつも感じてしまう。自分の文体によって与えてしまう特定のイメージに対する違和感を。それは自分の文体が与える特定のイメージから逃れたいというより、自分の文体に“飽きる”からなのかもしれない。
 他者に『自分』を晒す事。つまり社会的な生活を営むという事は『自分』を言葉で他者に捕まえさせる事だ。普段の行動や会話でそういった『自分』という名のスタイルは他者の記憶に蓄積される。その蓄積によって出来たイメージを私達はその人の特性として言葉で理解する。理解される側も他者が抱く『自分』に対するイメージによって行動が限定される。社会生活は各成員に一貫した主体を要求するからだ。いや正確に言うと一貫しているように“見える”主体を要求する。
 私達はそういったものから時々自由になりたくなる。社会から、あるいは自ら解釈する事で雁字搦めにしてきた『自分』にうんざりして。だから人は演技をする。日常においても。もちろんどれが本物でどれが演技かといった区別はあくまで便宜的なもので馬鹿げているのだけれども。
 演技と言うと悪い印象を与えるかもしれない。でもこれを読んでいるあなたも『自分』を日々演じている。もちろん、世間でいう『成長』や『成熟』と言ったものだってそれに類するものだ。それらは一種のスタイルの崩壊であり、新しい意識や身体の習慣がスタンダードになったという事だ。だから特定の『自分』に囚われすぎるような人は成長を遂げられない。一時期流行った、くだらない『自分探し』とか言ってないで、いいかげん目を覚ましたらどうだろう。特に十代の人達。
 そろそろ以前から書くと言ってた“アイデンティティ”と“自分探し”に関して本格的に書こうと思うが如何せん試験中で時間がない。以前書いたものをここにアップしても多分さらにわかりにくい。もうちょっとわかりやすく書いたものを2月までに書けたらと思う・・・。いずれにしても今日の話の延長線上にあるわけだが。今日はそれのためのプロローグと解釈してもらえたら・・・。まぁ乞う御期待という事で今日は失敬致す。

《今日のお薦め》
記号と事件  ジル ドゥルーズ (著)
 ドゥルーズ、フーコー、デリダ。そこら辺に興味ある哲学好きな方への入門書としてどうでしょうか。

雑ですまぬ

2006-01-17 02:36:11 | Weblog
 これを見て、小さい頃兄が描いてくれた『イツえもん』を思い出しました。うん。ごめん。それだけ。


《今日のお薦め》
のだめカンタービレ 二ノ宮 知子(著)
 すいませんミーハーで。でも凄い面白いんだから仕方がない。少女漫画です。少女漫画に抵抗ある人もウダウダ言わずに読んでください。