四駒笑劇漫画

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『巨人ゴーレム』コメディかと思った・・・

2006年09月23日 | 誰も知らないZ級映画評
原題:DER GOLEM, WIE ER IN DIE WELT KAM(1920)
監督:パウル・ヴェゲナー
キャスト:出演:パウル・ヴェゲナー、リディア・サルモノワク
要項:白黒/サイレント
時間:100分
ジャンル:ファンタジー

DVD販売元:WHDジャパン(販売価格500円)

■謎のWHDジャパン
最近、PDM(Public Domain Movie)が日本でも浸透してきた。
ただ、ほとんどが名作でB級映画やZ級映画は発売されないのが常。
しかし、WHDジャパンは何故かマニアックな作品をリリース。
そのせいで販売先があまり見つからないらしく、店頭ではあまり見られない。
しかし、是非、頑張って欲しい・・・と思う。
そのWHDジャパンがネットショップをオープンしたので買ってみた。
あまりにも知名度がないのでどんな商品が届くのかドキドキしたが、普通に届いた。
注文して3日以内に届いたのはセブンイレブンのネット販売に次いで記録的速さだった。
商品もまともだった。
というか、ゴーレムはかなり綺麗だった。
(ちなみにメトロポリスは画像は良くなかった。仕方ないのだろうが・・・特に競技場のシーンはかなりつらい)
他にも何本か購入したが、作品のフィルムの状態にもよるのだろうか、かなり差があるようだ。
ゴーレムは前に観たビデオ版より綺麗だった気がする。
ノスフェラトゥも某BBSでは画像等も批判されていたが、他社の三千円台のものより綺麗でこの価格だと納得だ。
翻訳は若干、適当なモノもあったが、中にはかなり腕のいい人が翻訳したと思われるモノもあった。
またしても差があるが、批判には値しない程度だ。
これで500円だったら安い。
送料の方が高かったぐらいだ。

■ゴレームとは何ぞや?
時は大昔、ユダヤの村。
リーフ博士は占星術を使って、脅威の発見!!
ユダヤの村に危機が迫ってる事を発見したのだ。
そんな占いを信じるのはお前だけだろ、と思ったら、そうでもないらしい。
村中の人がその日からお祈りをする始末。
純粋と云うか、真面目と云うか・・・まあ、設定が大昔だと云う事で・・・納得。
その頃、お城では国を仕切る王様が華の騎士フロリアンに手紙をユダヤ村に渡してくるよう命じた。
内容は『ユダヤ人よ、出て行け』なんて内容。
リーフ博士の占いは当たったが、おまじないは聞かなかったらしい。
しかし、そんな事でヘコんでる場合じゃない、とリーフ博士。
博士は早速、助手で娘の婚約者の男と一緒に粘土人形を造り始めた・・・。
そして最後に呪文を唱えると・・・あ~ら、不思議
粘土人形が動き出した!
人形の名はゴーレム。
黒魔術の力によって甦ったが、ユダヤの守り神。
胸にユダヤのマークがちゃんとついてる。
頭のおかっぱはスーパーマリオのキノコを意識してる>>>ウソ。
ゴーレムの最初のお仕事はユダヤの護衛・・・と云いたいが・・・。
とりあえず、買い物とか薪割り。
リーフ博士の使用人のような生活がスタートする。
ゴーレムはリーフ博士と一緒に王様のパーティに参加。
王様がリーフ博士にとりあえず「手品をやってよ」と云うので、リーフ博士は映画を上映。
リーフ博士は「映画観せるけど笑っちゃ嫌よ」と言っておいたのに、王様は大爆笑!
そう、彼ら王族は映画を見るのは初体験。
楽しくて仕方がないのだろう。
でも、みんなで笑うので、お城がグラグラと揺れだした。
柱が壊れ、崩れだした!
王様は「キャー!助けて。助けてくれたらユダヤ人迫害の法律は取り消しにする」
というもんだから、リーフ博士はここぞとばかりにゴーレムを働かす。
ゴーレムは落ちてきた天井を受け止め、王族の命を救った。
おかげでユダヤ村に帰ったら、皆で大喜び!
ユダヤ人迫害はなくなったし、ゴーレムは活躍するし、ハッピーエンド・・・と云いたいが、ここからドラマは一転する。
ゴーレムはリーフ博士に「お礼せんか、金ちゃうで、俺の代金は血や!血をくれや。でないと殺すで」と突然、脅迫。
博士はゴーレムの胸のユダヤのマークを素早く取り外すと、ゴーレムを元の粘土人形に戻した。
しかし、その頃、リーフ博士の娘は婚約者の助手が留守なのを良い事にフロリアンとネンゴロになっていた。
---------ここからネタばれ--------
それを知って、怒り心頭の助手はゴーレムを復活させ、フロリアンを殺させる。
しかし、それでもゴーレムの代金未払いの気持ちは治まらないのか、今度は街を破壊しだした。
リーフ博士の家は火事。
フロリアンの死体も燃えてなくなったので、助手は婚約者のアホ女に「殺人の事、黙ってくれるんやったら、お前を許す」と云う。
二人は抱き合って、良かった、良かった。
ゴーレムはその頃、天使のように可愛い女の子を抱き上げる。
女の子は無邪気に胸のマークを取ってしまう。
ゴーレムは元の土人形に戻り、リーフ博士はゴーレムをユダヤ村に祀ろうと提案する。
皆はそれに同意して終わり。

■巨人と云うより・・・
本当にそんなストーリー?と云いたくなるでしょうが、本当です。
でも、実際に観るともっと凄い。
特にゴーレムの姿は笑いをとりたいとしか思えない。
変なキノコ状の髪型はもちろんだが、巨人じゃなくて単なるデブにしか見えないから凄い。
それに巨人と云う程、デカくない。
一応、着ぐるみを着て、顔は泥色に塗ってるらしいが、バラエティー番組の相撲取りにしか見えない。
このおっさん誰や?と思ったら監督のパウル・ヴェゲナーだった。
でも、驚くのはそれだけではない。
脚本のせいで、単なるアホ女にしか見えないリーフ博士の娘は往年のセクシー女優リディア・サルモノワクだ。
彼女が華の騎士フロリアンとチチクリあうシーンはエロイというかキモイ。
乳を思いっきりモミモミ、ア~ン感じちゃう。
まさにエロキモイってやつだ。
ツッコミどころはあまりにもあり過ぎるが、クラシック映画ファンの為にフォローしておくと、これはファンタジーの名作でSFやホラーではない。
ましてドイツ表現主義でもない。
でも、時代の流れの中で勘違いされ、名作とされてきた作品なのだ。
実際、当時ではかなりの話題作だったのも事実だ。
ユニヴァーサルが『フランケンシュタイン』を制作するにあたって、お手本にしたのがこの『巨人ゴーレム』らしい。
写真の花畑で子供を抱きかかえるシーンはそのままフランケンシュタインで使用されている。
もっとも、子供を殺すシーンとして使われている。
当初、ベラ・ルゴシがフィルムテストを受けたが、ゴーレムを真似たハリボテの衣装に怒りだした。
「これじゃあ、顔がわからん。誰がやっても一緒だ!」
怒って帰ってしまったベラの後釜がボリス・カーロフだった。
それから、日本映画の『大魔神』は巨人ゴーレムを意識した作品なのはストーリーからもうかがえる。
ゴーレム物は三本、作られたらしい。
この作品はその真ん中にあたるらしい。
でも、まあ一番有名なゴーレムがコレだと云う事だから、後の二本は悲惨なのは、観なくてもわかります。

DVD販売元:WHDジャパン
Web Shop:WHDジャパン公式ISM(販売価格500円)


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1 コメント

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はじめまして・・・。 (satoshi)
2006-09-27 17:40:18
鳥啼天駆さん、はじめまして・・・。

TB&コメントをありがとう。



「巨人ゴーレム」はまぁ1920年のサイレント映画ですからね。

今の映画と比べたら技術面とかすべての面で見劣りがしても当然ですよ。

でも最近の映画が失っている素晴らしいところも・・・。

僕も楽しめましたよ。



「アマゾンの半魚人」のヒットで続編も作られましたが、どうもできは第1作にはるか及ばないようですよ。