dsvdsac

vxzvxzxvz

通称筑後法橋は

2013-09-27 14:15:45 | 日記
叶饯我谱jの件において、上総介は上総介で、やかましい重臣たちを黙らせるために、牛太郎を更に自由な隠居の身にさせる考えなのである。
 ただ、重臣たちは、そうした上総介の思惑に乗っかって、新しい当主の太郎を手なずけようと企んでいる。佐々内蔵助が「年寄りどもになびくな」と言ったのは、そうした動きを察知しているためでなかろうかと思われる。
 だが、それがなぜ今なのか。牛太郎が自由に動き回っていたのは今に始まったことでもなく、重臣たちがうるさかったのも昔からである。そうしたことに気にするような上総介ではない。
 なのに、なぜ、突然、家督の移譲を申し付けられたのか。太郎がそれなりの齢になった。それもある。しかし――、
「何者かがおやかた様をけしかけたのかもしれませぬ。重臣たちが若様の家督相続に賛同するものと予測し、やがて譜代重臣たちと旦那様や藤吉郎殿の権力争いを引き起こさせようとし、旦那様を失脚させるため、簗田羽州を隠居させようとおやかた様に進言した者がいるのかもしれませぬ」
 太郎はかぶりを振りながら失笑した。
「それは考えすぎではないのか。壮大すぎる妄想ではないのか」
「妄想と言えば妄想ですが」
 と、新七郎も視線を伏せながらだった。
 だが、妄想では済ませられない何かがあるのを太郎も感じてはいた。なぜ、上総介は突然言い出したのか。その疑問が拭い切れない一事なのである。
「新七。妄想でも構わんが、お主は、おやかた様をけしかけたという者は誰だと思う」
 太郎の問いに、新七郎は顔を上げると、眼光を鈍く光らせた。
「奉行衆の誰かです」
 太郎は戦慄した。http://www.watchsrapidly.com
腕時計 ブランド 人気
腕時計 ランキング
「まさか、堀殿が――」
 寵愛された小姓上がりの堀久太郎なら、上総介の首を縦に振らせることも有り得た。いくさ場においては権限をまったく持ち合わせていないが、家中の政務諸事を差配しているのは事実上彼であるし、領内奉行の人事ぐらいになら指図もできる。
 だが、久太郎は牛太郎と仲がいい。たとえ、牛太郎が織田家中で権勢を握ったとしても、疎ましくないはずである。
「わかりませぬ」
 と、新七郎は言った。
「これは妄想の可能性が大きいのですから。疑ったらきりがありませぬ」
血河行

 朝倉氏の滅亡以降、民衆は翻弄されている。
 二年間、まるで、死骸に群がる禿鷹のように、亡者どもが越前の地をついばんできた。
 織田から越前守護代を任じられた桂田播磨守、それを打ち破りさらなる圧政を敷いた富田弥六郎、これに怒り狂って決起したのが一揆衆であり、彼らは共闘のため加賀の一向宗を招き入れた。
 だが、本願寺石山総本山から派遣されてきた僧兵、下間筑後守頼照、通称筑後法橋は、対織田軍の戦費調達という名目で、これまで以上の重税、これまで以上の労役を越前民衆に強要したのだった。
 さらに、一向宗の内部でも分裂が起こっていた。越前一向一揆衆は総本山派の筑後法橋を総大将としているが、しかし、加賀一向衆から迎えられた坊主もいるし、元来からの越前の一向門徒もいた。
 石山総本山とは違い、越前には絶対的な法主である顕如がいなかった。そのため、彼らはいちようにして己らの軍閥の利益を優先し、自然、軋轢は生まれた。
 こうした統制の混乱と圧政は、越前民衆、国人衆、さらには天台宗、真言宗などの寺社からも反感をかい、この機に乗じて藤吉郎は調略を仕掛け、奪還を狙う織田軍は混沌に呼び寄せられるかのごとく、来るべくして来たのだ。
 小谷を出た織田軍は、坂本の明智勢、勝竜寺の細川勢、摂津の荒木勢と敦賀で合流し、さらには若狭勢、丹後勢など織田従属の勢力なども敦賀湾に水軍を並び立てた。
 上総介が敦賀に本陣を置いたとき、冷たい雨が風になびきなが

ける憎悪は浅井長

2013-09-25 14:40:35 | 日記
いや。新三の忠義さに感動してしまって。よ、良かったな、新三。五郎左殿が許してくれて。良かったな」
「もう元服したので、新三はやめてもらえませんか」
 と、憎たらしい顔だった。
 絶対にたまは渡さない。

 七月十三日。
 上総介は伊勢長島を討伐するべく、嫡男勘九郎とともに岐阜を出立、同日、木曽川下流に面する尾張西部の津島に着陣した。
 尾張津島から南西方向にかけての伊勢長島一帯には美濃から流れ出る川が幾条にもなって集まっており、大きな川だけでも岩手川、大滝川、今州川、牧田川、一之瀬川、木曽川などなどがあり、これらの大河に加えて周辺の山々から流れ出る谷水もこの地で合流している。
 これらの流れは長島の東西北を幾重にも囲みながら南の海へとそそがれており、この中に位置されている長島は四方を天然の要害に囲まれた難攻不落の地であった。
 およそ五十年前、この地に本願寺中興の祖である蓮如の六男蓮淳によって浄土真宗本願寺派願証寺が立てられた。願証寺は地元の国人、地侍を取り込んで地域を教義支配し、さらには賊や罪人を囲いこんで門徒衆十万人、石高約十八万石という大教国を作り上げた。
 かつては尾張の国人領主たちばかりではなく、美濃の斎藤道三でさえ、まったく手出しのできない存在であり、上総介も上洛のときにこれを避けており、願証寺側も介入してこなかった。
 沈黙に火花が落ちたのは、織田と三好三人衆とのいくさに宗家石山本願寺が参戦したためである。願証寺はこれに習って北伊勢の豪族たちや紀伊の雑賀衆などに檄文を飛ばし、これらがぞくぞくと集結。
 数万に膨れ上がった軍勢は織田方であった長島城を一気に攻め落とすと、次いで上総介実弟、彦七郎信興が城主を務める尾張小木江城に進軍。
 彦七郎は兄の上総介に援軍を要請するが、織田本隊はこのとき琵琶湖西岸を京に向けて南下してきた浅井朝倉勢に対応せねばならず、さらには比叡山に立てこもられてしまい、動くに動けない状況であった。
 北伊勢桑名城の滝川彦右衛門も一向宗に攻め立てられており、完全に孤立してしまった彦七郎は、六日間奮戦し耐えたが、多勢に無勢、小木江城は落城し、彦七郎は八十人の家臣とともに自害を果たした。
 上総介が長島一向門徒衆に向ける憎悪は浅井長政への比ではなかったが、長島への侵攻を二度失敗している。
 一度目は東西各地の中洲に築かれた砦を攻めるも、河が容易に進軍をさせず、さらには数千から万単位が立てこもった砦からは鉄砲、弓矢が雨あられと飛んできて、河上の要塞と化した長島になすすべがなく、撤退。この退却戦において柴田権六郎がしんがりを務めたが、氏家卜全、犬の夫であった佐治八郎などが討ち取られた。
 二度目は一度目の失敗を反省し、海上からの進軍を目論んだが伊勢大湊での船の調達の交渉していた上総介次男、北畠三介具豊の動きが芳しくなく、本隊は北伊勢のある程度は攻め入れたものの本拠長島の攻略まではいかず、撤退。そこを一向宗はしたたかに待ち伏せして狙いうち、織田軍にとっては再び惨憺たる退却戦となった。
 三度目の正直かどうか、上総介は長島討伐を号令し、織田総所領から軍勢を津島へとかき集めた。
 その数、八万。明智十兵衛と羽柴藤吉郎は、京、越前、と各々の業務のために参戦していない。にも関わらず、この大軍勢であった。
戦場へ

 武田攻略に専念しているので今回の長島侵攻も不参加であろうと高をくくっていた牛太郎であったが、上総介からの下知は参戦。
「兄上様は長島に向かわれるそうですね」
 犬は百日紅のつぼみを眺めながら言った。普段は柔らかい表情が少しうつろげであった。
「でも、左衛門尉様は岐阜にお残りになられるんですよね

綱に挟み込んで

2013-09-24 11:52:26 | 日記
?
「伝えておいてくれ。今までありがとうって」
「旦那」
 栗之介は主人の普段にはない表情に唇を噛みしめた。
「でも、旦那は一人で乗れねえじゃねえか。無理しちゃいけねえ。ここで待っているべきだ。もし、行くんなら、俺も行くぞ」
「いや、いい。多分、クリツナだったら一人でも大丈夫だ。なあ、クリツナ」
 栗綱はちらとだけつぶらな瞳を牛太郎に向けて、あとはのんびりとしている。
「あの馬鹿どもを死なせるわけには行かねえだろ」
 牛太郎は鞍に手をかけると、栗之介が渋々出してきた掌に足をかけ、跨った。そして、馬上から栗之介に笑みを見せた。
「甲府での恨み、晴らしてきてやるよ」
 意を決した牛太郎に栗之介はこくりと頷き、牛太郎の両足と鐙を紐で縛り付けた。火縄銃と火打ち石を受け取った牛太郎は、火打ち石を懐に、火縄銃を背中の綱に挟み込んで、腰帯びの太刀と脇差をしっかりと押し込めると、手綱を振るった。
精神一到、何事か成らざらん
http://www.2014sh.com

 徳川勢の白の旗指し物には二通りがある。家紋の三つ葉葵を記したものと、浄土思想から来た言葉を記したもの、
 厭離穢土欣求浄土――。
 本来は、穢土を厭い離れるという厭離穢土と、浄土を願い求めるという欣求浄土の二つの言葉である。
 この世は皆が己の欲求のためだけに働いて汚れきっている。ならば、一心に浄土を願い求めようではないか。
 徳川勢三千は見附と呼ばれている地に着陣した。九之坪勢は遅れて合流する。
 栗毛の艶やかな馬体が冬刺しの日差しを浴びながら首を大きく反らせて立ち止まったとき、極楽浄土の死地へと向かう兵卒たちは唖然とした。
 栗綱号に跨っているのは勿論、簗田左衛門尉牛太郎である。
 両脇を固める二人の若武者が見栄を切った。
「助太刀に参ったあ!」
「尾張武者の底意地、とくと見せてやろうぞ!」
 だが、この二人、玄蕃允と勝蔵の表情はひきつっていた。瑞々しい唇が震えていた。世に知れた武者ならいざ知らず、昨日まで母御の乳房をくわえていたようなこの若僧どもの勇ましさときたらなんとも滑稽な――。
 普段なら兵卒たちは笑っている。
 しかし、この時間は非日常であった。どころか、悲愴さが輪をかけて悲愴を生みだしていく絶対的な悲愴の時間であった。
 尋常な精神状態ではいられない。可愛いiphoneケース
iphone コード
 うおおっと、徳川勢に歓声が湧いた。たった五十人の加勢なのに。何かが変わるはずないのに。
 今、彼らを高揚させているのは勝利への期待ではない。そのようなものはかほどもない。今、彼らにあるのは生きる喜びだけである。この一瞬の、死を目前にして、感じずにはいられない喜びである。
 勝利も敗北も関係ないような軍人にしてみれば、いくさは祭りだ。
 その中にいて、一人、牛太郎は黙り込んでいた。彼は祭りに加わっていなかった。栗綱の馬上から、徳川勢、九之坪勢、それに玄蕃允と勝蔵が沸き立っているさまをじっと見据えていた。
 軍を率いる将として、どんな敗北も許されないのである。牛太郎は軍人ではないぶんだけ、冷静でもあった。そして、数々の死地をくぐり抜けてきた男だけあって、どんないくさであろうとも、活路がどこかにはあることを知ってもいる。
 彼は脳裏に、かつて、躑躅ヶ崎館で相まみえた武田徳栄軒の悠然たる姿を思い浮かべている。若者二人を生かし、なおかつ二万の軍勢を打ち負かすには、武田徳栄軒それだけを自らの手で討ち取るしかない。牛太郎は死に突き進もうとする連中を遠巻きにしながら、そう己に言い聞かせていた。
「簗田殿!」
 兵卒たちをかきわけてきたのは鹿角脇立兜の本多平八郎であった。
「なにゆえ、参られたか!」
 鹿の角をかたどった飾立て物は勇壮に天を突いており、その姿を

したあとのよう

2013-09-22 16:18:03 | 日記
がそんなものを望むと思うか。あんたはそれでもいいのか」

 本気の声だった。

 声につられて顔をあげると、高比古の黒目は本気の熱を帯びて静かに揺れていた。

「いましかないんだ。出雲へ戻ってしまえば、あんたは切り札として匿われる。そうなったら……盛耶をそそのかして、あんたを襲わせたいくらいだ」

 やはり高比古は、息苦しそうにしていた。

 だから、いまの狭霧は、血がほとばしるような彼の言葉よりもそちらが気になってしまった。

「どうして、そんなに苦しそうにいうの」

「苦しそう?」

 はあ……と息継ぎをしつつ、彼は自分の焦りにようやく気づいたようにはっとした。高比古は、ぶっきらぼうに吐き捨てた。

「さあ。おれはいま、大国主を裏切ったようなものだからじゃないか? あんたを火悉海へやるなと、おれは厳命を受けたのに」

「裏切る……」http://www.bjlw3.com


 大国主に服従しているんだと、前に彼は狭霧へいっていた。それなのに――。

 高比古は渋面をしていた。

「大国主だけじゃない。おれはいま、彦名様と須佐乃男も裏切ったようなものだ。彦名様と須佐乃男が、あんたを対大和の切り札にしようと考えていると、おれは気づいているのに……。でも、もういい。おれも正直、どうすればいいのかわからないが、彦名様たちが考えているようには、あんたを大和へやりたくない。それがおれの意思だ」 

 いい切ると、高比古は話を終わらせてしまった。

「もういいか? ほかに訊きたいことは?」

 もうこの話はおしまいにしていいな? と、高比古の声は脅すようだった。

「ううん、もうない」ニュウエラ
かっこいい帽子

 狭霧もうなずいた。いいたいことはいったし、彼がいいたいこともすべてきいたと思った。

 ただ、二人の想いが噛み合わなかっただけで――。

 やり取りを終えると、高比古は黙り込んでしまった。狭霧もそうだ。けっして彼と目を合わせようとせずに、褥に頬を寝かせて木床を見つめ続けた。

 高比古のそばにいて、こんなふうに居心地悪く思うのは、出雲を旅立ってからはじめてのことだった。恋心も嫌悪も抱いていない高比古は、狭霧にとってもっとも一緒にいて居心地のいい相手、一緒にいて疲れない相手だった。それなのに、いまは――。

(どうして、こんなにぎくしゃくするんだろう)

 いまのやり取りを始めるまでは、狭霧は、いま一番自分をわかってくれているのは高比古だと思っていた。狭霧は彼を理解しているわけではなかったが、頭が切れて、勘の鋭い彼なら、きっと狭霧をわかっていると――。でも、いまは痛烈に思う。

(勘違いしていた?)

 寝所に立ちこめる、冷たい喧嘩をしたあとのような重々しい雰囲気が気味悪かった。

 酷い態度をとったような気がして狭霧の胸は悔やんでいた。でも、いったい彼にいったどの言葉がそれほど酷かったのかがわからないので、謝罪の文句は浮かんでこない。でも、謝らなければならないと胸は疼いた。

(こんな時って、どうすればいいんだろう。謝ればいいのかな。でも、謝らなくちゃいけないことを、わたしはなにかいったっけ――)

 なにかをいいかけてはやめて、でも……と、話しかけるのをためらうように、狭霧は胸のざわつきに躍らされていた。

 それは、高比古も同じだった。

 長いため息を吐いた後で、彼はとうとうぎこちなくいった。

「おれ、外に出てくるよ。あんたは、ここで休め。それとも――」

 彼がいいやめた言葉の続きを待って、狭霧はそろそろと顎をあげた。

 高比古はさきほどからぴくりとも姿勢を崩さずに、狭霧を見下ろしていた。

 そして、ふたたび彼と目が合うと、狭霧の胸はびくりと震えてしまった。

 高