実は私。
漫画を生業にしてのち…幾世相。こんな歳になりました。
どんなだ。
そしていつの間にか
白泉社さんで『新人マンガ家さんを発掘しよう大賞』みたいな
審査員なる偉そうなお仕事も少しさせて頂いて参りました。
それでふと気が付いたのですが。
マンガを描く上でどうしても避けて通れない関門。それは…
背景を描く
…という作業だったりします。
しかしこれがなかなかどうして難しい。
白泉社さん雑誌の『投稿者さん募集』みたいなページにも
『背景の入れ方』の参照ってよく掲載されてますよね。
タイミングを観て編集部さんでも御紹介しているようではあります。
そこを任された作家さんと綿密に打ち合わせされた上で解説されている御様子。
しかしですね。
いつも肝心の極意が抜けているのがどうにも気に掛かる。
なので。
これからマンガを描こうとお思いの初心者さんにでも
簡単に理解できる『背景の入れ方』の極意が在りますので
それをちょっとここで初伝授しようかと思います。
何故かって?
それはね。気が向いたからです。
適当に描いたので恐縮ですが
この図で説明は出来るのでご了承のほどを。
これは一点透視図です。
バッテンの中心が消失点で全ての線が集中して消える点です。
ちょっと色が判りづらいですが、ブルーの線が水平線です。
カメラを構えた高さだと思えばいいと思います。目線ですね。
ここが廊下でなくて砂浜ならばブルーの線が海の水平線になるのです。
廊下をイメージした画面にAさんとBさんが立っています。
水平線が二人の身体のそれぞれどこを通過しているかにご注目下さい。
Aさんは肩くらい。
Bさんは顔の真ん中くらい。
つまり二人の背丈の違いがここで説明されています。
そしてこの場合、二人がこの画面の中で『寄り(アップ)』に入ろうが
『引き(ロング)』に行こうが、水平線はいつもAさんとBさんの身体の同じ位置を通ります。
ここが極意です。つまり。
Aさんが手前に来ようがすんごく遠くに行こうが水平線はいつも必ずAさんの肩の位置。
Bさんが手前に来ようがちょっと遠くに行こうが水平線はいつも必ずBさんの顔の真ん中の位置。
…なのです。
これさえ頭に叩き込めばもう大丈夫。
『二人が並んだ時にAさんの肩あたりにBさんの目の位置が来る』
こうした背丈の差があるのならば、
この二人が同じ地面に立った時点で
自ずと水平線の位置は定められるし探し出せるのです。
逆も出来ます。
まずAさんを描きます。
カメラの高さ(水平線)をAさんの腰辺りにしたければ
二人が真横に並んだ時、Aさんの腰の位置にはBさんの身体のどこが来るかを考えます。
ウエストだとします。
であるならば。
Bさんのウエストが水平線上に来るように描けばいいのです。
この時、Bさんが遠くに居ようが近くに居ようが
水平線はBさんのウエスト上にあります。
これに慣れてくれば
極端な話、真っ白な画面にこの二人を
適当に描いたとしても、二人の背丈の差を考えれば
水平線(カメラの位置)はこの辺りだなと見当がつきます。
水平線(カメラの位置)が定まれば、自ずとドアはこの辺かなと背景が入れられるようになります。
お陰さまでウチのスタッフは
登場人物をそのコマに二人適当に描くだけで
勝手に水平線を割り出し、それに見合った背景を描いてくれます。
多少正しくなくてもマンガはイメージで見せるものなので
ガチガチになる必要はありません。
なんとなく描ければ大丈夫。
これ、使えます。
昔昔その昔。
アニメを生業にしていた方(今も多分現役)から教えてもらった極意です。
お試しあれ。