山と葉っぱと猫が好き

ヘタレなりに独学で女性単独登山を楽しんでます。
悩んでくじけて、いつも一人で起き上がる。
山がわたしを育ててくれる。

仙丈ヶ岳 まだ慣れない小屋泊まり(前編)

2008年08月19日 | ◇山 登 り(日記)

いろいろ考えた結果、コースガイドの詳細な登山レポートはしばらくお休みすることにしました。
(その理由は前回の記事「ブログ手付かずの日々」でどうぞ→

少しでも早く山行記録を公開できるように、「記録・日記」としてお伝えするカテゴリーを作りました。
その山の概要や、特に伝えたいポイント、きれいだった景色を選りすぐりで載せています。
見た目は今までとそんなに変わらないけど、これでも相当手抜きです。

 2010.03 更新 ──画像を新たに増やして加筆・修正し、前編と後編に分けました】

7月第5週の平日に、山梨県の仙丈ヶ岳(3,033m)に登りました。
立ち並ぶ甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳。この二峰の登山口北沢峠はシーズン中マイカー規制で、甲府側から向かう場合二時間近くかけてバスを乗り継ぎしなくては行けないような山深い場所にあります。
バス代も往復で馬鹿になりません。どうせ行くなら一度に両方の山を登りたい。どちらもアルプス入門編。
一泊二日あれば両方行けると思ってました。(←初心者なもんで無知ですいません…)

バスの運行時間に合わせると 登り始めは早くても7時半。
(平日の早朝便運行時期が08年で7/19~8/24と超短期)これだけで二時間ほどのロスタイムです。
更に分かった北沢峠→広河原行きの『帰りのバスの最終便は15:30』という情報。 いくらなんでも早過ぎる~っ!

健脚な方なら実践できてしまうでしょうが、わたしはプカプカですよ。
おっそろしくCT超過しまくりの 山頂で2時間過ごしたがりの 葉っぱ見上げてぽんやりしーの 
木に触れてうっとりしーの 鳥の声を聞いてたたずみーの おまけに300枚近い写真を撮りまくりのプカプカなんですよ。

諦めきれず、なんとかならないかと何度も何度も計画をねりねりねりねり 練りこみました。
そして最終的に、甲斐駒は断念して以前からカールとお花畑に興味のあった仙丈ヶ岳だけ登ることにしました。

あくせく登って写真も残さず休憩も20~30分で済ますとか、そんなの楽しくもなんともない。
山を数多く登る為に始めたんじゃないんだもん。ひとつの山をじっくり楽しむために登るんだもん。
少し時間の余るくらいの方が、より一層のんびりできるじゃないか。それってなんかすごい魅力的…

【行程】
一日目:芦安駐車場→(バス)→広河原→(バス)→北沢峠→馬ノ背→仙丈小屋(一泊)
二日目:仙丈小屋→仙丈ヶ岳→小仙丈ヶ岳→北沢峠→(バス)→広河原→(バス
)→芦安駐車場

芦安駐車場から広河原へ行くバスの揺れがひどいです。旧型・新型があったら絶対新型を選びましょう。
プカプカは旧型に乗りました。ひどいものでした。
骨に響きまくるガガガガという振動。(近年普通のバスでこれは体感したことがない)
これに一時間近く揺られ、さらに近くにいるおじさん達の早朝の “におい” にやられ、(頭皮のにおいとか口臭とか)
おまけに車内に充満する排気ガス臭。これでとどめを刺され、のっけからパワーレベルが10分の5に下がりました。

登る前からヘトヘトで入山ですが、あら不思議…山の中に入るとみるみる蘇ります。

葉っぱと青空に癒されました~
あなたちはいつも、疲れてくすんだわたしの心をきれいにしてくれるのね


馬ノ背経由の場合歩き始めてすぐ山小屋に出ます。完全予約制の大平山荘。★

今日は荷物が重いです。
事前確認では宿泊予定の山荘の水場状況が不明瞭だったので、念の為豊富な水と、一日半分の食料、雨具、それから今回は寝具なし素泊まりで予約したので、シュラフ。

それにテント泊用に新調したばかりの65リットルの大きなザックです。担ぎ具合に慣れておこうと持ってきたんですが、いつものザックより2kg位重いので、それだけでもシュラフと合わせて荷物が増えたことになります。
テントが入ってるわけでもないのに、重くてヘトヘトでした。

ベルト調整がうまくできていないのか、腰の辺り重心が全てかかってる感じで、体全体が地面に落とされるみたいに重くてとてもつらい…

ああ、テント泊の時はここにテントやマットを追加するのかぁ…信じられん。ゆううつだぁ


少し登るたびに振り返ると山並が見えます。あっ、あれ甲斐駒だよね わーい

渓谷沿いの道はまだ残雪が残り、一部雪渓を渡る箇所もありました。シャーベットみたい。

樹林帯と違って暑いけど、この道最高だなー 気持ちいいなーっ
川に沿っているのでしばらくはいつでも水が飲めます。冷たくておいしい。


それにしても、木陰がないので容赦なく照りつける太陽の日差しにすっかりバテバテ…
まだまだ序盤なのに…一体この先どうなるんだ。
でも、この道すごいです。樹林帯よりもたくさんのお花が咲いてます。みんなに励ましてもらいました。

暑いー つらいー 苦しいー でもお花が咲いてると ふらふら~とそこに向かってしゃがんでしまう…

山域を巡回しているヘリコプターが、さっきから何度もプカプカの上で滞空しています。
バラバラうるさいなー。いなくなったと思ってもまた戻ってきて…。
……ん? なんか監視されてるような…?
ゼィゼィしながら、ヘリコプターと見つめあう。
「……」
もしかして…遭難ギリギリと思われているのでは…

ヘリコからはこう見えています。前後に歩く人はなく、単独でかなりバテバテ様子の登山者。
トロトロと歩いたかと思えば、すぐ立ち止まってしゃがみこんでいる。(花を見てるんだけど)
そんなプカプカは上空から見ると、今にも行き倒れしそうな“要注意人物”だったのかもしれません。
それとも近くに山小屋でもあって資材運搬してたのかなぁ
 しばらくして随分後ろに別の登山者が見えてくると、ヘリはどこかに行ってしまいました。

馬ノ背ヒュッテとヒュッテ前の水場(無料・飲用可)

また樹林帯に入って馬ノ背小屋に出ました。ここに小屋があるのってなんか安心感があるなぁ
お昼ごはん休憩。暑くていっぱい汗をかいたので、あったかい卵スープを作ってサンドイッチと一緒に食べました。
朝は晴れてた空も昼時になると雲がもくもく増えてきて、どんどん仙丈ヶ岳の山頂部を隠してしまう。
ああ…これから登るのに…

ようやく森林限界に出て、眺めの良さそうなハイマツの尾根道に出た頃は展望がなくなっていました。

でもだいぶ涼しくなった…山荘までひとがんばりだ。
この稜線は花が全然咲いてないや。さっきまですごい大量の花だったのに、歩く場所で全然違うんだなぁ

風向きで時々自分のいる場所が雲に包まれます。ふわぁっと白い雲の中に入っている時ってなんだか恍惚としちゃう…
いつも頭の遥か上に浮かんでいる雲が、山の稜線では足元から盛り上がってくる。
その粒子が風に待って大きく動く姿がとても美しい。



見えて来た仙丈小屋。今日はあそこに泊まるんだなぁ  仙丈小屋のレポートはこちらからどうぞ
山荘に着いたら荷物を置いて山頂まで行くつもりだったけど、…もう眠いし疲れちゃった。 そんな時は…

 


小屋の前でのんびりティータイムですよ♪


ドーナツとコーヒーでまったり優雅な気分でキメていると、ガスが晴れて山頂が明るく照らされました。
おー


            山頂までの尾根続き。きれいな眺め…

単独女性は珍しさから人々に親切に話し掛けて頂くことが多いんですが、山小屋のように人の動きや流れのない場所でちょっと誰かと会話すると、その輪は一気に広まってしまう。

人を和ませたり楽しませたり…下界のいつもの気遣いは疲れます。
誰とでもすぐ仲良くなれるということは、それだけ大量のエネルギーを消費しているんです。 今日は絶対それをやらない。覚悟が必要です。

思い切って別の人格に成りきりました。
徹底して人と関わらないように心がけました。無愛想です。ふふふ…
でも実はこれも 結構疲れるんですよね~…

「今の自分は嫌なやつだな…」という罪の意識で心が葛藤します。
人に悪い態度をする自分が嫌いになっちゃうというか…
でも、気を使って疲れるよりはずっとましなのだ…

一人だけ単独の若い女性がいたので、話し掛けて仲良くなりたかったんですが、きっかけ掴めずじまいでした。
その人は後でお話好きそうな(酔っ払った)おじさん達に囲まれていて、聞こえて来る会話は「山好きの旦那を早く見つけないとな、ガハハ!」とか。 恒例です。
ここは親戚の集いの席ですか? 仲良くなってたら私もあの酒臭いおじさんに囲まれてたかもしれないんだ。
みんなに質問されて、いちいち答えて。珍しい者として扱われるのって本当にめんどくさい。
くわばらくわばら…(自分はお酒を飲まないので、酔っ払いの匂いとハイテンションがすっごく苦手)

さっきまでの晴れ間は日没前には終わり、夕刻にはちょっと歩くだけで濡れそうな濃霧になりました。
鍋焼きうどんを作って身にしみる熱い汁をすすり、念願だった星空の見えない夜を迎えました。

シュラフはやっぱり固い床の上では痛いですね。小屋泊まりでもマットが欲しい。
前回の山小屋初体験と同じで、汗をかいて冷えた体をお風呂で暖めずに就寝しようとすると、どんどん具合が悪くなります。脂肪の多い体ってこんな時不便です。

頭痛と寒気とくしゃみ・鼻水・鼻詰まりで全然寝付けません。(あとになって思えば軽度の高山病だった)
薬やティッシュをすぐ取れる所にしまっておかなかったので、真っ暗な所で物音立てずに探すのに大変苦労しました。ヘッドランプは持ってたけど明かりは周りに迷惑かと思って使えなかった…

見ず知らずの他人と、隔てる壁もない空間で寝泊りするのは生まれて初めてのことです。
もともと気遣い症なところがある性分のため、細かないろんなことに気を使いまくってしまって、
とにかく大変でした。 どの程度気を抜いていいかどうかもよくわからん…

くしゃみも気を使うし、鼻をかむ音もすする音も、全部気を使ってしまう。
苦しい…しんどい~ でも周りの人に迷惑をかけないように静かにしなきゃー…
そんなプカプカの苦労も知らず、次第にいびきをかき始める周りのおじ様達…

耳栓を方耳だけつけてるのでそれ程気にならないけど、もう完っ璧に眠れません。
うつらうつらしてる内に、周りでガサゴソと起きて支度を始めたりトイレに移動する人々の気配。
時計は3時頃。もう今更眠れないので一緒に起きて支度を始め、夜明け前に小屋を出ました。


後編へつづく→
山小屋レポート→仙丈小屋 【仙丈ヶ岳】 - 山と葉っぱと猫が好き
仙丈ヶ岳のお花→仙丈ヶ岳の花と葉っぱ[7月下旬] - 山と葉っぱと猫が好き


 
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18 コメント

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Unknown (C-chan)
2008-08-19 06:21:46
プカプカさん、お久しぶりです!
1泊2日で1座登るか2座登るか、その結論は絶対に正解だったと思います。
私は子供たちが小さいから99%日帰りですが、いつも、もっとゆっくりいたいな~と思っています。
倍の時間があると楽しみが更にその倍増えるでしょう。
それにしても仙丈・・・いい山ですね。バスの乗り継ぎが嫌であまり行かない山ですが、また行きたくなりました。
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Unknown (エドヤマ)
2008-08-19 14:21:37
キレイな朝やけですね。
仙丈、まだ行ったことがなくチャンスを狙っています。
晴天に恵まれて何よりでしたね。

足跡代りにコメント残していきますm(__)m
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Unknown (茶柱)
2008-08-19 18:48:15
ふっふっふ、重たかったのですね
そしてヒィヒィしながら登ったのですね。
テント、マットその他合計で2.5kg以上増は確実ですねぇ。でも小屋の水を当てにしながらいけば、16kgくらいまで減量出来ますよ。
プカプカさんらしい表現がおもろいです。もっとわらかしてくださいよ。そのためには幕営してもらわないと。
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大丈夫デス (shucream)
2008-08-19 18:49:12
プカプカさんは大丈夫。
ザックの重みとか、普段の自分を脱ぎ捨ててイヤな自分に徹したりとか、
遭難ギリギリとか、夜の気疲れとか。

全部ひっくるめてプカプカさんは大丈夫。
自分で書いた文章かと錯覚しちゃうほど、
共感してしまうストレッサーの数々。

ケド、大丈夫。
もっと構えずにその瞬間の自分でいれば、
それ岳でプカプカさんは輝いてる!
って自分で思えるはずデス。

ん~、文章で伝えるのはムツカシイ…。
イヤな思いをさせてしまったらゴメンナサイ。

それにしても。
全ての苦労をふっ飛ばすステキな写真デスね!
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久し振りにコメいたします! (さくら)
2008-08-19 20:26:37
仙丈ケ岳
3000メートルを超える山だけあって
景観すごいですねぇ!!
毎度毎度ですが
プカプカさんの写真惚れ惚れいたします
青空の青、日の出の赤、葉っぱの緑・・・
小屋泊まりは大変そうでしたがそれに耐えてこその朝の展望ですよね!

それにしても65リットルのザックかぁ・・・
先日わたしも30リットル程度のザックを購入しましたが、それでも大きく感じるのにその2倍(驚)

ブログについて
今回の試み、とても手抜きとは思えませんよ
わたしなんてどうなっちゃうんですか(恥)
これから行く者にとって大いに参考になります

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八ヶ岳の後の山 (かえる)
2008-08-19 21:52:36
浅間山じゃないですかね?
違ってたらごめんなさい。

ちょうど同じ頃に白峰三山を歩きましたが、どっしりとした仙丈ヶ岳の山容はホントに印象的でしたよ。いつか歩いてみたい憧れの山です。
ちなみに、ぼくの方はシカではなく猿を見て、プカプカさんと同じようなことを山の上で感じていました。。。
それにしても、素晴らしいお天気にも恵まれ、いつもながら写真もどれもこれもステキですね。

女性単独での山歩きは、色々つまらないことで苦労が多くて大変そうですね。大好きな山に行ってストレスたまるのもツライだろうなぁ、とお察しいたします。
その点、オッサンの単独行は気楽なものです。
女性ハイカーの方々に「クセーな、このオヤジ」とご迷惑をかけているのかと思うと、それなりに心が痛まないわけではないのですが......
こればっかりは...........ほんとゴメンンサイ。。。
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懐かしい (やまや)
2008-08-20 12:40:06
プカプカさんこんにちは

いつ見ても素晴らしい写真・楽しい文面ですね。時たま一人で見ながら声だして笑っています。

私が登ったのはかれこれ12年前になります。凄く懐かしい。そんなに小父さん達が多かったですか。む~
私の時は山頂は貸し切り。下山時に2~3人でした。もっとも10月の中旬で所々凍っていて大変でした。当然小屋はあったが避難小屋で潰れていて使用不可能。ましてや付近は人間の落とし物で異臭がしていました。
現在は素晴らしい小屋が出来ているようでのんびりと登りたくなるようなレポです。また行くかも?。
以前みたいに広河原まで車で入れるようになるといいのですが、多分もうあり得ないでしょうね。
今回は靴擦れは無かったようですね。良かった。
ではまた楽しいレポ楽しみにしています。
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Unknown (のんすけ)
2008-08-21 01:10:44
どこが手抜きデスカ?(笑
写真相変わらずキレイですね~~。
ホレボレしちゃいます。
カメラがいいのか腕がいいのか。
私にはこんな美しい写真は撮れませんorz

夏のアルプスの小屋は布団1枚に2名とか
意味不明な混み具合ですものねぇ・・・。
これもいい経験だったってことで(^^)

テントは閉めてしまえば、完全プライベートスペースができるので気が楽です。ただ音は筒抜けなので、人の会話・しゃみ・いびき・オ○ラは丸聞こえ(^^;
テントでも最初は寝れないかもしれませんが、人間横になるだけで7割がた疲れが取れるそうですよ。

ボッカトレして、ドM登山に向けてGO!


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プカプカより (◆C-chanさんへ◆)
2008-08-21 12:00:31
一泊二日で2つ完登した人の記事を探しても数少ないし、やり遂げる人はほんとにすごい勢いで登ってササーっと下って帰ってしまうようですね。
自分とは体力も、山の楽しみ方も違う方々の山行は参考にもならず…マイペース計画にしました。我ながら大正解だったと思います。

Cchanさん、小さいお子さんがいてもあれだけ山に登ってるんですね。面倒を見てくれる家族がいるのかな~ それともいつも一緒に登ってるとか
そして何より「山が近所にある」って大事ですね。子育てしながら登山はどれが欠けても難しそう。
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プカプカより (◆エドヤマさんへ◆)
2008-08-21 12:01:41
はじめましてエドヤマさん。チャンスを狙わないとならない山ですね確かに。いつでも気軽に行ける所じゃないんですよね~。(バスのせいで)

天気は良さそうに見える写真だけ選んで載せてるんです。
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