F & F嫁の “FFree World”

※PCでの閲覧を前提とした構成です。文字サイズは「大」推奨です 

マールイの優しい花

2008年01月05日 | Ballet

F log

2008年の初バレエ観賞として マールイレニングラード国立バレエ)を観てきた。
4日から仕事の F 嫁とは見事にすれ違いの為、ひとりである。
ひさしぶりに コシェレワ ちゃん を観られるので楽しみ。


今年はなかなか日程が合わず、全幕ではなく「新春特別バレエ」という抜粋版。
3部に分かれた演目は、いわゆるチャイコの3大バレエ「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠りの森の美女」
1月4日のキャストは こちら(PDF)




第1部は 「くるみ割り人形」


考えたらマールイの「くるみ割り人形」はいままで観たことが無かった。
「くるみ」自体あまり食指の動く演目ではないことと、ロイヤルのDVD(もちろんコジョカル ちゃんのだ)
を観過ぎたせいだな。


まず紗幕の背後で要領よくストーリーが語られる。
最近ドロッセルマイヤーが濃い舞台を続けて観たが、こちらのドロ@マラーホフはあっさり目。
くるみ割り人形役のクヅネツォフの見事なX脚に唸る。
ねずみの王様を倒すバランス芸はカッコイイ!!


マールイの2幕はお菓子の国ではなく、おとぎの国。
様々な国の人形がお国の踊りを披露するが、アラビア人形のヴィジェニナの美しさに呆然。
けっこうしっかりした体躯だが、ああいった衣装だと存在感に繋がり双眼鏡から目が離せない。
バックの4人と長いベールを使った踊りは見事である。
アラビアではありがちな舞台袖にひっこむエンディングではなく、キチンとセンターで終わる。
これは拍手のし甲斐もあるというもの。


花のワルツでイリーナ・コシェレワ ちゃんとご対面
コール・ドにプラスしてソリスト4人を配する贅沢な布陣。
ステパノワ、ハビブリナ、コチュビラ、そしてコシェレワちゃん。
久しぶりのコシェレワちゃん、やはり長い手脚が美しい。
世界一の・・とも称されるマールイのコール・ド・バレエだが、ソリストクラスの成長と比べ、
いまひとつの感あり。何人か明らかに技量に差がある(と思われる)ダンサーがいる。
だいぶ団員の入れ替わりがあるのだろうか。芸監と関係あり?
ソロだけが突出してもしょうがない。バレエ団全体での底上げを期待したい。
とはいってもプロポーションの揃った群舞はやはり魅力的。「バヤデルカ」が観たくなったわ。


ダンサー皆熱演なのだが「くるみ」で超強烈に特筆しなければならないのは、
エレーナ・エフセーエワ の素晴らしさである。
初めてエフセーエワを観たのは、マールイとしての初来日2001-2002年のシーズンだと思う。
その夏にワガノワの学生として来日したが、入団してすぐに「くるみ」のマーシャでデビュー。
いわゆる「期待の新人」だったわけだ。
このころのエフセーエワは若くて良い意味でも悪い意味でもポチャポチャしていた。
F & F 嫁プロフィールの写真が日本の某タレントに似ていたので密かに○○と呼んでいた。
バレリーナとしてプラスのあだ名では決してない。


以来何度もマールイの公演には足を運んだが、不思議とというか無意識のうちにというか、
エフセーエワの公演は観ることがなかった。
今回抜粋公演とはいえ彼女の踊りを観て、それは大いなる過ちだったと悟った。


まずデビュー時は着ぐるみをつけていたのか? と思わせるくらいの脱皮ぶり。
当時のイメージから二まわりは細くなっている。
にこやかな表情は同じだが、とてもキレイになっている。まさに女性としての成長期なのだな。
踊れば引き上げが凄い。
ピルエットした後でのアラべスク、さらに一段持ち上がる。
そこでのバランスも見事。
ポワントでもまったく揺るがない。相当身体能力が高いのだろうな。
後の「眠り」でも他の3人と踊る箇所があるのだがとても目立つ。もちろん良い意味で。


パンフレットには様々な役をこなすエフセーエワの写真が載っている。
F がもっとも惹かれたのは「バヤデルカ」のガムザッティ。
もともと F & F 嫁はふたり揃ってガムザッティ好き。
「バヤ」の舞台はガムザッティで決まると思っている。
エフセーエワにはニキヤよりガムザッティが似合うと思うので、キャストされているのは嬉しい。
詳細の発表はまだだが、掲載順通りならコレゴワのニキヤにエフセーエワのガムザッティ。
そしてソロルがマリインスキーからイーゴリ・コールプというとんでもない舞台になりそう。
もしそうなら 1月10日(木)はなんとか上野に駆けつけたい。


話が長くなったが隣り席のオバちゃんにひとつ注文。
マーシャと王子が最高潮のPDDを踊っている。
マーシャのとても繊細なヴァリエーションの最中、バッグの中の携帯がブブブブブ。
慌ててオバちゃんバッグをゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソ。
かけた相手もしつこくてなかなか鳴り止まない。
ふざけんな!!
あれほど電源切れっ!! とアナウンスが流れただろう。万死に値する!!


最後は変な怒りになってしまったが、たいへん楽しめた「くるみ割り人形」抜粋、約50分であった。







第2部は 「白鳥の湖」 第1幕2場~オデットと王子、湖畔の出会い~


第1部で興奮しすぎて長くなったので簡潔に・・・


「白鳥の湖」はオデットの エレーナ・コチュビラ に尽きる。
ぜひリンク先のオデットの写真をクリックしてみて欲しい。
黒髪、細身(これは全員だが)、表情。
マールイの主要ソリストの中で最もオデットが似合うのは彼女ではないか?
エキゾチックな顔立ちを生かしたオディールも観てみたい。
やはり全幕じゃないと歯痒いな。様々な演目を一度に観られて楽しいのだがね。


美しいオデットに従う白鳥たちも 1部より良かった。
やはりこれだけのプロポーションが揃った白鳥たちは見事である。
数人の方にはより精進して欲しい。


アラビアの踊りであれだけ F を魅了したヴィジェニナだが、大きな白鳥4羽の内のひとりとして
登場するとどうも違和感がある。申し訳ない。
クラシックのチュチュ以外の役どころで観てみたい。「ジゼル」のミルタとかね。
「ドン・キ」の大道の踊り子なんぞドンピシャリでないかい?


湖畔だけなので約30分と短い第2部であった。








第3部 「眠りの森の美女」 ~オーロラ姫の結婚式~


どうしましょこんなに長くなっちゃって。誰も見てくれんなぁ、最後まで。


「眠り」でいちばん華やかな第3幕である。
オーロラ姫はオクサーナ・シェスタコワ。
定評あるエース格で、座長公演を打つほどのプリマであるシェスタコワだが、ファンの皆さまには
たいへん申し訳ないが今回の主役は彼女ではない。
ものすごく上手くてどんな役をも自分のものにできる素晴らしいダンサーだけどね。


今日悪名高い国際フォーラムAにやってきたのはこの為と言ってもいい、F のお目当ては、
「眠り」の重要な役どころ、リラの精の イリーナ・コシェレワ ちゃんである。


彼女のリラの精は定評のあるところで、かなり前から踊り込んでいる。
紫の衣装で奥の階段上に登場すると、舞台全体がフワッと暖かい雰囲気に包まれる。
リラの精はホントに当たり役だねぇ。
これは技術とは別の話で、他のダンサーでは出せない彼女の大きな個性だと思う。
そこに惹かれるんだわな~
個性と言えば、コシェレワちゃんはペレンやクチュルクのような正統派美人ではない。
ただなんともいえない可愛らしい表情なのだよ。(トップ写真を見よ!!)
コール・ドにいた頃からのファンとしては、最近の活躍は嬉しい限り。
今シーズンは東京で主演がなくて(大阪でオーロラか?)残念だが、ますます頑張って欲しい。


蛇足だがマールイきっての美女は今でもオクサーナ・クチュルクだと思っている。
ボルドーに移籍してしまったが、元気でやっているのだろうか?


さて舞台上の全員が注目するリラの精だが、ストーリーを知らない方は彼女が主役じゃないかと
勘違いしそう。
リラの精の配下は、ダイアモンド、金、銀、サファイアの4人。
第1部で大活躍のエフセーエワが素晴らしいダイアモンドを踊った。


結婚式の列席者では、フロリナ王女のロマチェンコワが印象に残った。
2001-2002年のプロフ写真と最も印象に変化がないのは彼女である。
もともとオトナっぽい顔(失礼)なのだな。
テクニックには定評のある人だったがこの日も安定感抜群であった。
ただフロリナはもうちょっと軽やかなほうが良かったかな。


白い猫のラトゥースカヤと、赤頭巾ちゃんのリィーコワはともにコール・ドから。
ラトゥースカヤは長靴猫とのコミカルな演技で会場から笑いが起こる。
小柄なリィーコワはとても可愛い。赤頭巾ちゃんにピッタリ。


オーロラ&デジレのPDDが終わると、再びコシェレワちゃんのリラの精が舞台中央に登場。
主役のふたりまで傅く中、キレイなアームスで舞台を締める。
コシェレワちゃんをみた時間はとても短かったが、全員野球(笑)のマールイに新春から大満足。





やはり思ったのは指揮者のアンドレイ・アニハーノフ氏の存在の大きさ。
よく舞台を観ているよね。
フィニッシュでポーズを待つのは当たり前。
ヴァリエーションの途中でも変幻自在のテンポでダンサーを盛り立てる。
マールイの舞台を観に行って、幕が開く前にオケピの壁越しにアニー様のアフロ(爆)が
横移動するのを見るのが好き。ナハハハ。
オケはもうひとふん張りしましょうね。







さてさて前半頑張り過ぎで後半失速の舞台レポだが、これからは恒例の新春初出待ち。


思えば一年前の東京文化会館。極寒の楽屋口で3時間コシェレワちゃんを待ったものだ。
あの時は初のメドーラ@東京だったな。なんで今年は全幕主演がないのだ。
頼むぜルジ先生。





悪評プンプンのフォーラムAだが、Dまで共通の楽屋口はコチラ。


屋内なのだよ!!!!!!


嗚呼、なんて快適。
こんなに試練のないで待ちはここだけであろう。
右側はレストランの入り口であるので、実質待っている人々は5~6人。
男性は F のみ。


特別バレエなので早く出てくる人はとても早い。
落ち着いてほんの20分でコチュビラが出てきた。
いや~もの凄いスタイル。
スーパーモデルといわれれば100人中100人信じるだろう。
F の腕が入るかどうかという細身のブーツが似合う。
サインももらいたいところだが、その間にコシェレワちゃんが出てくると危険なので断念。
ああ残念!!


次にヴィジェニナが登場するも同様の理由でスルー。
別のファンににこやかにサインをしている。
ますます残念!!


そのとき・・
1年前の苦労はなんだったんだと思われるほど、1時間経たないうちにコシェレワちゃんが登場。
駅の方へ歩き出したところに声をかける。


語学の才が皆無の F はロシア語はもちろん話せない。
それどころか英語もぜんぜんダメ。
ロシア人ダンサーに英語で話しかけるのも失礼な話だが、そこしか接点がないのでしかたなく
超怪しげな英語でレッツトライ。


帽子を目深にかぶっていたので一応「コシェレワさんですね?」と確認。
サインをいただきたい旨を話してこの写真を出す。




昨年撮らせてもらった写真のプリントアウト。


「ラストイヤーにあなたのファーストメドーラをウエノで観たときのピクチャーだ」と
メチャクチャな英語で話す。
コシェレワちゃんは写真を見ると・・・


「Oh~ I Remember」


オジさん感激である。
この「アイ リメンバー」で1年生きていけるな(笑)


パンレットのダンサーポートレイト。
コシェレワちゃんの写真があまりに可愛いのでこちらにもシルバーペンでサインをもらう。
(トップ写真)


最後に写真を撮らせてくださいというと、ニッコリしてOK。





お疲れのところ快くサイン&写真に応じてもらい感謝。
今年は全幕が観られなくて本当に残念だが、また夏や来年も元気に来日して欲しい。


日本に根付いたといってもいいマールイ。
なんらなかの事情でこの親しみやすいバレエ団が来なくなったら、その喪失感はとてつもなく大きい。
そんなことは考えたくないが、そのためにはもっと公演に通わなければと思うのだ。
なかなか時間的、経済的には許されないけどね。


コシェレワちゃん、今後も熱烈応援しているので頑張って






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6 コメント

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今年もよろしくお願いします^^ (ranran)
2008-01-06 00:16:54
新年そうそうバレエを楽しんでいらっしゃいますね・・・今年もよろしくお願いします。・・・・・・1年生きていける・・・で爆笑してしましました。1年前・・・同じ国際フォーラムで高校時代のあこがれの先輩を見かけた事を思い出します。
返信する
新春初バレエ(祝) (yol)
2008-01-06 08:21:01
早速新春初バレエですね
そしてオジサン(失礼!)大感激の新春初出待ち

楽しんだ様子が垣間見えて(おばば携帯事件以外)何よりです。
バヤ&ドンQではまたご一緒できそうで、それも楽しみにしています。
これでコールプの妖しい光線に秒殺されてください、ききき。

ところで今年こそ一緒にオペラの泥沼にはまって行きたい、、、、なんて思う私ですが、ご存知のようにライヴ・ビューイング、これは本当に侮れないので是非一度見てみてください。

(強引にリンク貼っておきます
http://www.shochiku.co.jp/met/

さて、今年の私の初バレエは本日英国バーミンガムの「美女と野獣」です。
行ってまいります。
返信する
こちらこそ (F)
2008-01-06 08:59:35
ranranさん、おめでとうございます。

昨年中はたいへんお世話になりまして、心より御礼申し上げます。
ranranさんがつくってくださった、様々な出会いの機会に感謝です。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます

高校時代の先輩・・・面影が相当残っていたのでしょうか。
私は当時の憧れの女の子を、現在見分ける自信がありません(笑)
返信する
ギャ~!!!!!! (F)
2008-01-06 09:13:11
yolさん、今年もよろしくお願いいたします。

新年早々悲鳴で申し訳ありませんが、エリャ・ウィリス降板ですよ~
もうガックリ・・・彼女が観たくてこの日にしたのに。
私はもう初バレエを済ませましたが、yolさんは(と F 嫁も)新春初がキャスト変更でお気の毒です。
まぁしかし「美女と野獣」自体は期待しているので楽しみましょう!!
ウチは今日は3階で~す!!

新春から恒例のミーハーレポでお恥ずかしい限りです。
やはりあの価格であの頻度であの内容を見せてくれるマールイはバレエファンにとって貴重なのだと再認識しました。
コールプのバジルは本当に楽しみにしてます。
本人マトヴィと対抗意識を燃やしているようで、正統派の彼とはまったく違った史上初のバジル(どんなやねん)になるのではと期待しています。

ライヴ・ビューイング・・・映画館での上映なんですね。
たしかに入門としてはイイかも。
価格も0がひとつ少ないですしね(笑)
さすがに1月はキツイので、4作目以降3月にでも足を運んでみます。

返信する
Unknown (M)
2008-01-06 15:34:39
Fさん、

こんにちは。
今年もよろしくお願い致します。

エフセーエワ、本当に素敵なバレリーナになりましたよね。 体型がバレリーナらしくなった事でプリマとしての自分に自信もついたのだと思います。 もともとテクニックには定評があるし、的確な演技力もあるし、素がとっても愛らしいのですよね!

コシェレワのリラの精は私も大好きなので、今回見られなかったのがとても残念です。 最近の彼女のリラは暖かさに威厳のようなものも加わりとても魅力的! 大阪では今までとはキャストが逆のコシェレワ@オーロラ、ペレン@リラになりそうなので、その舞台も非常に気になります。
コシェレワが1年前の事を覚えていてくれて良かったですね! あんな寒い中、物凄い時間お待ちになったんですものね。
返信する
脱皮 (F)
2008-01-06 23:17:32
Mさん、こんばんわ。

オーロラで初めて観たエフセーエワはほんとにポチャポチャしてました。
それはそれで可愛かったんですがね
昨今の変貌ぶりは「誰? お姉さん?」っつーくらいに驚かされました。
今後マールイ生え抜きを背負って立つプリマになってくれることでしょう。

コシェレワ@オーロラ、ペレン@リラ・・・
うむむむむ、観たいですねぇ。
東京に行くことが可能な人間が贅沢言っちゃいけませんが、
大阪に観に行きたいです。
コシェレワちゃんのオーロラデビュー@日本も気になりますが、あのペレンがどういったリラを演じるのかも興味があります。

覚えていてくれたのはいいのですが「恐怖ゆえ」でなかったことを祈ります
返信する

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