F & F嫁の “FFree World”

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新国立劇場バレエ 「白鳥の湖」

2009年05月25日 | Ballet

F log




前記事 の通り、日曜午後にひとりで新国立バレエ「白鳥の湖」楽日に行ってきた。


F 嫁が仕事なので開場 1 時間前ひとり初台に降り立ち、カフェで優雅にお茶などしてからホールへ向かった。
チケットは 2 階サイドではあるがなかなかの良席。


開幕前の儀式としてミニ双眼鏡の左右をアジャストする。
右目と左目のフォーカスを独立して調整するのだが、その対象としていたオケの一員に別嬪さん発見!!
あえて楽器は伏す。
双眼鏡の調整をしながら F 嫁不在をいいことに「う~む眼福」とつぶやく







余談ついでに・・・


バレエファン以外から「いっつも白鳥で飽きないの??」と聞かれることがある。
答えは 「まったく飽きません」
確かに内外のバレエ公演で、いちばん多く上演されているのは文句なしに「白鳥の湖」であろう。
自他共に認める古典好きというのもあるが、どんなに陳腐な演出の白鳥でもなにがしかの発見はある。
そしてチャイコ先生の素晴らしい音楽だ。
バレエ音楽の CD を聴くことがある。聴けば一瞬にして映像が浮かんでくる。


先程バレエファン以外からと書いたが、実際はバレエファンからも「いい加減白鳥はないだろう」との声もある。
来日する海外のカンパニーはチケット収入を考えると「白鳥の湖」をメインに持って来ざるを得ないとも聞く。
ただこれだけの回数を上演され、淘汰され、洗練された演目もないと思う。
古典バレエファンとしては一生つき合いが続くのだろう。
望むところだ。








さて、新国立劇場バレエの芸術監督である牧阿佐美女史が 2006 年に改訂した通称牧版。
正直に言えばあまり好きな版ではない。
古典中の古典プティパ/イワーノフ版とセルげーエフ版のいいとこ取りか。


流行りのプロローグがあるのはよい。
ただし第 2 幕でオデットが王子にマイムでする身の上話が最近では省略されつつあるのが残念。
そして F 大好きの道化が登場するのもよい。
ボリショイのグリゴローヴィチ版で育った・・・もとい刷り込まれた F は道化がいないと寂しいのだ。


ただしよいと思えるのはそこまで。


第 1 幕終盤のジークフリードのヴァリエーションは正直いらない。
最初にこのヴァリを観たのはマトヴィだった。
やたら濃い演技で夕刻の室内でナル全開の演技をされると萎える。
徐々に照明が落ちてゆき、次々と人々が去って行くだけでジークフリードの孤独は充分に表現されよう。
どうもテンポがもたつくのだな、ここで。


そして女史イチオシの第 3 幕ルースカヤもなんだかなぁ。
先程も書いたがグリゴローヴィチ版で刷りこまれた身としては、なんでルースカヤだけ?との思いが。
グリゴローヴィチ版はハンガリー、ロシア、スペイン、イタリア、ポーランド各国の姫がお付きとともにお国の踊りを披露する・・・
というものすごく合理的な解釈。
国の代表を呼びつけておいて振られたとなると国際紛争が心配だが(笑)


ロシアの踊りであるルースカヤを女史言うところの 「主役級のダンサーによるソロ」 とするのは唐突である。
振付けもつまらないし、衣装ももっさりしていて動きを殺す。
この日のルースカヤは小野絢子さんだったが、新人らしからぬ端正な踊りが素晴らしかったものの後半退屈してしまった。
これは踊りのせいではなく、振付け、演出による寂しさだろう。
ボリショイの白鳥でロシアの姫がお付きを従えて踊ったルースカヤは楽しめたのだけれど。
異色ではあるがロットバルトがルースカヤの音楽で踊るベルリン国立バレエの昔の版も好きだったなぁ。


そしてエンディング。
牧版はハッピーエンド。オデットとジークフリードの愛の前にロットバルトは滅んで・・・
とはいうが、あっさりし過ぎで感情の高揚が感じられない。
あたり前だが音楽が素晴らしく盛りあがっているのに、それに乗って繰り広げられるはずのスペクタクルがない。


もっとも F の好みとしては圧倒的にバッドエンドだ。
誓いを破った彼に絶望し、永遠に呪いが解けないことに悲観して自ら命を絶つオデット。
自分の愚かさに苦悩したあげくオデットの後を追うジークフリード。
結ばれるとしてもあの世で・・・
「白鳥の湖」は悲劇であると信じる F にはどうしてもこちらの方がしっくりくる。
同じくハッピーエンドだったグリゴローヴィチ版も後に悲劇に改訂されたというし。
ふたりは身を投げるが別世界で結ばれる描写はなく、ロットバルトは健在で白鳥達の呪いも解けず、城に暗雲が・・・
というのはビター過ぎるだろうか


余談が過ぎたが芸監交代後、白鳥の版はどうなるのか気になるところ。










GX100








さてこの日、F の目当ては前述の通り、コール・ド・バレエの 大湊由美ちゃん なのだ。
文字通り白鳥の一羽として群舞で踊る他、第 4 幕では二羽の白鳥として短いながらソロがあるのだ。
これは大いなる出世と言ってよいだろう。
研修所同期の小野絢子さんはすでに主役デビューしているが、由美ちゃんには○○く○と○ら○に大きく育ってほしい(笑)


由美ちゃんの美点はなんといってもそのプロポーションである。
おそらく 170cm を越す長身。
バレリーナとして誰もが望む長い手足と首。そして小さな頭部。
身長の関係でコール・ド・バレエ最後列にいたとしてもとても目立つ。


白鳥のチュチュに身を包んだ由美ちゃんにうっとり
この日はひとり身(笑)なので何の遠慮もなく注目しまくる。
群舞が動いている間は注視し、止まるとやっと主役を観るといった偏った双眼鏡ワーク。
ま、どこに価値を置くかは観客次第だから許されよ。


由美ちゃんのアラベスクは素晴らしい。
伸ばした腕の先に独特の空間を持っている。
肉眼では日本人のダンサーに見えない。
ロシアのバレエ団のコール・ドにいても違和感ないのではないか。


今回ソロを踊る機会を得て配役表に名前が載ったが、遠くない将来筆頭に名前を見つけることが出来るのではと期待している。
オデット/オディールはぜひとも踊ってほしいね。
そういえば第 3 幕黒鳥の PDD で紗幕の後で悲しげに舞うオデットの幻影は由美ちゃんではなかったか??
紗幕でよく確認できなかったが、もしそうなら変則オデットデビューである


前途洋々の由美ちゃんだが、心配なのはただひとつ。相手役である。


誰もが認めるザハロワとウヴァーロフのペア。
ダンサーとしての実力もさることながら、高身長同士のバランスにも依るところが大きい。
由美ちゃんがザハロワと同じくらいの身長だとすれば相手役どうする??
新国には大型男性ダンサーいたっけ??
もう 20 歳ほど若く、もう 40 年ほど早くバレエを始めていれば F が立候補するのに残念である(爆)








さてあっという間に第 4 幕。
冒頭コール・ドがフォーメーションを作った中から由美ちゃんが登場。
二羽の白鳥、最初のヴァリエーションを踊る。


う~ん綺麗だ。
伸びやかに羽ばたく腕が美しい。まさに白鳥そのもの。


しかしあまりに短い。
1 分にも満たない時間ではあるが、これを観るために初台までやってきたのだ。
必死で映像を網膜と海馬に焼きつける。




その後大きな四羽を露払いにもう一羽の川村真樹さん登場。
F 嫁が大好きなダンサーである川村さん。
体格こそ由美ちゃんとは異なるものの、素晴らしい踊りだった。
双眼鏡で観ていて思う。
なるほど音をたっぷり使う F 嫁好みの踊りだ。
肩甲骨から感じるアームスが優雅で美しい。
思い出したが川村真樹さんは 背中で語る 師匠だった(笑)




ジークフリードが半泣きで湖に駆け込んで来てから、二羽の白鳥はシンクロして踊る個所がある。
由美ちゃんと川村さんが揃ってアラベスク・・・


あれ??
プロポーションでは圧倒しているはずの由美ちゃん。
同時に行ったアラベスクでは川村さんの方が印象的に見えたのは何故か??
それを確かめるチャンスは数回しかない。
首の角度かな? それとも伸ばした腕の降ろし方か?
川村さんの柔らかい手首は素晴らしいからなぁ。


もし記録用の映像があれば、由美ちゃん自身で確認してほしい。
キャリアも実績も段違いの川村さんから得るところは大きいのではないだろうか。
この時点では粗削りでもイイ。
繰り返すが大きく大きく育ってほしい。
そして新国立劇場バレエ団を代表するようなダンサーになってほしい。






舞台が終了しカーテンコールで勢揃いした白鳥たち。
大きな四羽とともに最前列の由美ちゃん。
上演中は運命に翻弄される悲劇の白鳥たちだから、悲しげな顔もしくは無表情だが、
楽日を無事に終えてホッとしたのだろう、こぼれる笑顔がカワイイ。


大きな拍手を浴びた白鳥たちだが、その後ロットバルトがカテコに登場すると悲劇が・・・
芳賀さ~ん、立ち位置が由美ちゃんに被ってるよ~(爆)


F の座席からだとロットバルトの芳賀望さんが由美ちゃんの前に立つ角度になってしまう。
ロットバルトに負けない呪いの声を抑え込み、お尻をずらしつつ双眼鏡で見るも頭の羽飾りがどうしても邪魔
カテコでの前後移動で少しはずれるかと思いきや、キッチリと立ち位置を守るダンサー同士、まったく被り具合は不変。
双眼鏡は諦めて拍手に専念することにした。








GX100







プロダンサーとしてのキャリアが始まったばかりの大湊由美ちゃん。
初めてソロで踊るのを観てますますファンになった。
努力し吸収せねばならぬことはたくさんあると思うが、一歩一歩階段を昇ってほしい。


この日は F ひとりということもあり、舞台の観た高揚感のまま楽屋口に行くことは遠慮した。
由美ちゃんが怖がるといけないからねぇ(笑)
その点、F 嫁がいてくれて夫婦者だとダンサーも安心だろう。
出待ちは次回のお楽しみということで・・・








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2 コメント

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はじめまして (MJ)
2009-06-21 21:47:21
はじめまして、MJと申します。

Yuhui Choeさんでgoogleしていたところ、偶然こちらのblogにたどり着きました。
そして、Yuhuiちゃんが1つ年下と知りました!!

男性でバレエを観ます、白鳥を観ます、という方をお見かけしたことがなく、同年代にも、同じ性別にもバレエファンがいないので、お一人様鑑賞が100%な私ですが、
男性の方も観に行かれるということで嬉しいです。
夢は彼氏と鑑賞なので・・・。

熊川さんの徹子部屋出演のblog記事も読みました。
秋はロミジュリなんですね。嬉しい情報でした。

それでは、この辺で失礼致します。
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ようこそ!! (F)
2009-06-21 23:46:23
MJさん、こんばんは。


コメントありがとうございます

バレエのカテゴリをご覧いただいたと思いますが、見ての通りのミーハー野郎でお恥ずかしいです。
この日はたまたまお一人様でしたが、普段はほとんど F 嫁とセットになっております(笑)

ユフィちゃんは大大大ファンでして、多くの方に素晴らしさを知ってもらいたい思いでいっぱいです。
MJさんもググられたということは気になりますか??
彼女はとっても素敵なダンサーです。
また近い将来、日本で観られると思いますので楽しみです。

ウチは K-Ballet のロミジュリは、中村祥子さん一本です。
これもものすごく楽しみです!!

最近でこそ男性は増えてきましたが、まだまだバレエ会場は女性が圧倒的ですね。
MJさんが彼氏さんと一緒に舞台鑑賞できるようお祈りしています
変な記事も多いですが、よろしかったらまた寄ってくださいね!!


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