和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

糠漬け生活始まる

2010年04月25日 | 菓子作り、料理作り
 この時期、筍が何処からともなく贈られてくる。恐らく多くの家庭でも同じように台所に誰かからの頂き物の筍が積み上げられている事と思います。嬉しくもありもう勘弁してくださいというのも本音です。
 自分は筍を美味しいと感じた事が余りなく、自分の舌が悪いのか筍そのものが悪いのか、それとも調理の仕方が悪いのか分かりませんが、筍そのものを考えるにそこらにある竹林から採ったものが良いのか、きちんと管理された竹林で採れる筍が良いのかということに尽きるのではと思います。
 観光農園で働いていた事もあり竹林の管理などもしましたが、あれは意外と骨の折れる作業です。余り褒められた観光農園ではなかったにしても、よく言われるように傘が差せる程度に間引き、油粕を礼肥に置いてマサ土を竹林全面に入れるのですから大変です。そうして出来た筍がどんな味だったのかすっかり忘れてしまいましたが、筍掘りはそこいらの人には絶対負けません。

 贈られた筍に必ず炒り糠も同梱されていて、いつの間にか数キロ分になっていたので、糠床にしてみることにしました。(生糠の方が乳酸菌が付着して良いらしいけど虫の心配があります)
 塩水と混ぜた感じはまんま自家醗酵肥料作りと同じで、あちらが嫌気性醗酵だけなのに対して、糠床は好気性と嫌気性の間の絶妙なバランスの上に成り立っているらしい。

  
                       こちらが自家発酵肥料

  
そしてこちらが糠床、同じですね。いや、見た目がというだけで、口に入るものの衛生管理は徹底してますよ

 酵母と乳酸菌の醗酵の良いとこ取りが糠漬けの醍醐味らしく、素直にこれは凄い事だと思います。適度な「切り替えし」は酵母の好気性醗酵を促し、かつ嫌気性の乳酸醗酵で腐敗を抑えつつ両者がビタミンやミネラルを高め、味や香りも良くするという。乳酸醗酵のみの漬物より高度で絶妙ともいえます。

 醗酵肥料づくりではいわゆる「ぼかし肥」は好気性醗酵が主で、これはとても面倒かつ意外と難しいものです。必ず燃えすぎて成分が飛んでしまい、いわゆる焼けの部分が出来てしまいます。未醗酵でアンモニア臭がするぼかし肥は虫が必ず湧くもので扱いに困ってしまうものです。だから簡単な嫌気性醗酵に向かってしまうわけですが、それでもたまに青かびが蔓延していたりします。しかしこれがペニシリンの元だと考えると悪いものとも思えません。
 発酵肥料が出来上がると何とも良い香りがするもので、丁度醤油のもろみの香りに似ています。その中にスウッと鼻に抜ける香りがあり、これを自分は勝手に放線菌の香りと認識しています。これを強くしたい時はカニガラを加えればよく、と言うかカニガラを混ぜてみたところ香りが劇的に変化したので、何故かを考えると恐らく放線菌の活動が活性化したと考えるのが妥当だろうという推論です。例えれば床下の匂いの様な鼻に抜ける香りで放線菌が上手く働いていると科学的根拠なく考えている訳です。
 
 実際は、肥料作りに失敗して少々虫が湧いたところで問題はないのも事実で、生糠などに蛆が湧いても太陽熱消毒時に土中に鋤き込む、何てこともやったりしています。このことを少し考えてみると、生糠を蛆が食べると言うことは単純に糠がたんぱく質に変化し、更にキチン質も補う事ができるというある種究極の有機資源利用と言えるかも知れません。蛆は宇宙開発における循環的資源利用でも有望視されており、蠢く姿は流石に正視も躊躇う光景ではありますが土にとっては絶対プラスになるはずです。但し、太陽熱くらいではアブ蛆は死なないのが難点でしょうか。

 糠漬けの話をしていたら何故か蛆虫の話になったでござる。ということで話を戻して、と言いたいところですがまだ捨て漬けしているだけですので本漬けはもう少し先の話になりそうです。 

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