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日曜討論「成長戦略・予算編成 菅政権は何を目指すのか」一部テキスト化 Part.1

2010-07-29 17:39:45 | 政治

http://www.nhk.or.jp/touron/

25日放送、NHK「日曜討論」をテキスト化しました。

出演:内閣府副大臣・大塚耕平、政府税制調査会専門家委員会委員長・神野直彦、経済評論家・内橋克人、慶應義塾大学教授・土居丈朗、ニッセイ基礎研究所主任研究員・伊藤さゆり


・日本経済 成長の道筋は

(大塚)

新政権として初めて経済財政白書が発表されたんですけど、需要不足、デフレ、財政悪化と3つの問題を指摘しております。

需要不足をどう解決していくかということなんですが、需要不足ということは、需要が少なすぎるか、供給が多すぎるかということで、今までは需要不足を埋めるために公共事業などに予算を付けてきたんですが、これだけでは埋められない。また、供給が多すぎるとしたら、需要に見合った供給でないことが問題なのかどうかということにこれからメスを入れていかないといけない。需要に見合った供給構造に変えていくということが成長戦略になります。

一つの例を申し上げますと、製造業が中国にシフトして設備の過剰を持っているとすると、この供給能力を落とすと失業者が出ますので、そういった人をどういった産業で吸収するか。医療、介護、教育、農業など雇用吸収能力の大きい産業を発展させる政策を行なっていく事が必要だと思っております。

(土居)

自民党も民主党もこぞってここが大事と思っている産業がありますが、政府がここだ!と言って投資をしても、直ちにどんどん成長するということ無いということを気をつけなければならないと思います。

(司会)

神野さん、産業構造を変えなければいけないということが現在進行形になっているようなんですが、それを進めていくことはどうなんですか?

(神野)

20世紀になって経済成長をして、成長戦略が成功したと言われているわけですが、他方で貧困と格差が溢れ出ました。従って、経済成長をしても貧困と格差が溢れ出ている社会は経済発展しているとは言いません。単なる経済成長だけでなく、格差と貧困を是正する為の経済成長を両立させる必要があります。これは産業構造を大きく変えていかなければ実現出来ないと思っています。私達が本当に必要な産業構造にしなければいけないと思います。

(伊藤)

先ほどご指摘されたポイントは私も重要だと思いますし、産業の構造転換という中で介護や農業等は大切ではあるんですが、一方で日本の高度成長を支えてきた製造業やハイテク産業の成長の促進も大事です。先進国共通の課題がグローバル化の中での競争になっており、日本の場合は特に高齢化への対応が必要であり、そういう中でいかに不平等を是正していくかということが必要で、この3点が揃わなければいけないんだろうと思います。

私はヨーロッパ経済を中心に見ておりますけれども、民主党の政策はやや内向きで、もっとアジアの成長を生かすような戦略を期待したいと思っております。

(大塚)

医療費の対GDP比率を見ると、日本は8%ぐらいで、アメリカは18%あるんです。この原因は、残念ながら日本は医療専業を発展させないような様々な制度や仕組みがあるためで、それを改革していくことが非常に重要です。製造業を強くしていく事と新しい産業を育てることは表裏一体なんです。

(内橋)

需要不足ということは、家計の購買力というものが高まってこないということですね。高まってこないようになっている。大手企業の利益は増えたんですけども、家計の所得はマイナスになっています。成長しても国民が豊かになれない構造、こういう不均衡な経済のあり方があります。

これまでは自律的に経済が回復していましたが、今は自らの力で経済を回復していくという市場が国内に無いんです。これを何とか変えていく必要があります。