周期性四肢運動障害とむずむず脚の話

睡眠障害の一つ、周期性四肢運動障害とむずむず脚症候群患者の体験談を中心に、、、

鉄とPLMD、RLS

2006-08-28 12:12:12 | 調査報告
周期性四肢運動障害(PLMD、PLMS)やレストレスレッグ(むずむず足)症候群(RLS)の原因として、脳内の鉄イオンの不足が関係しているのではないかという、医学的研究を基にした説が、ここ数年で注目されるようになってきている。
 このブログでも、日常の症状の鬱憤晴らし的カテゴリー「むずヒク日誌」で、鉄・てつと書いている。

 この件について、主にインターネットで集めた情報を少し整理して掲載してみたい。

 どのような話が言われているのか?現在までに明らかになっている事実は何か?ということは、客観的な参考文献を引用すべきであると思う。そこで、アメリカのRLS財団のMedical Bulletin 2005年版の、「Introduction and History:(RLSの)紹介と歴史」の該当する部分を翻訳してみる。なお、医学用語には不案内であるため、訳し間違いがあるかもしれない。ここでは、大意を汲み取っていただければ・・と思う。
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(前略)陽電子放射断層撮影(PET)による研究は、RLSの症状に対してドーパミンが積極的に関与しているという可能性を可視的画像として明らかにした。また、ミュンヘンのマックス・プランク研究所の研究グループや、NIH(米国National Institute of Helth)のマーク・ハレット研究所の研究グループによる生理学的電気現象の画像化などの研究によって、PLMSやRLSの症状の原因となる、脳や脊髄の特定の部分を発見する努力を行っている。
 ジョンズ・ホプキンス大学のアーレーとアレンは、MRI(磁気共鳴画像診断装置)と脳脊髄液の研究によって、RLS患者の中脳部での鉄欠乏を報告する論文を発表(訳注2001年Neurology誌掲載)した。
 ペンシルバニア州立大学のビアードとコナーらは、解剖検査によってRLS患者の脳内の鉄と鉄量に関与するタンパク質の欠乏があることを発見した(訳注2003年Neurology誌掲載)。
 これらの事実は、脳内の鉄分の欠乏が、ドーパミンに関する生成・代謝の機能障害を引き起こしているかもしれないということを示唆している。
☆☆☆引用 以上★★★

 しつこいようだが、もう一度繰り返しておこう。上の翻訳は、私がした。私の専攻分野は電子工学であって、英語文献もたまに読み書きもするが、医学用語や医事論文の特有の言い回しは不案内なので、大意を汲んでいただく程度で、お願いしたい。また、誤りはご指摘いただければ、訂正する。

 鉄分が、RLSと関連しているということらしい。
 国立保健医療科学院のサイトで見つけた参考文献などによれば、
曰く 鉄は、ドーパミン、セロトニン、その他の代謝・生成に密接に関与している。鉄不足は、これらの神経伝達物質の生成・代謝に直接的な悪影響を及ぼす。また、ドーパミンなどの作用する神経のインパルス伝達部にも関与しているという。

 脳内での鉄分(鉄イオン)の不足⇒ドーパミン生成・代謝回路の機能障害⇒PLMDやRLSの症状発現

このような流れが起きているとすれば、対処療法薬として、L-ドーパなどのドーパミン前駆誘導体や、ドーパミン受容体作用薬(ブラミベキソール)などの、元々はパーキンソン病の治療薬として開発された、ドーパミン作用を補う薬が、効果を示すというのもうなずける。

 「脳・鉄・ドーパミン」これをキーワードとして、検索していくと色々な情報が引っかかってくる。

 その中で、特に興味のあったものが、Neurologyというタイトルのブログの記事である。専門家が、神経内科学に関する専門論文について概要を掲載している。
 イタリアでの疫学的調査で、血中の可溶性トランスフェリン受容体濃度に患者・非患者で有意差があるという。

********少し引用させていただく********
「レストレスレッグズ(むずむず足)症候群の危険因子」

RLSは鉄代謝異常が原因のひとつとして疑われているが,血清鉄,トランスフェリン,フェリチン濃度に関しては罹患者と非罹患者で有意差はなかった.しかし,可溶性トランスフェリン受容体については1.48 vs 1.34 mg/L(p<0.001)と罹患者で有意に高値であった.以上より,この横断研究では危険因子として女性であること,可溶性トランスフェリン受容体値が高値であることが分かった.RLSでは前述の通り,脳内鉄欠乏が原因として疑われている.例えばMRIで黒質,赤核の鉄濃度の減少が示されたり,黒質神経メラニン細胞における鉄代謝異常が報告されたり,髄液フェリチン濃度の減少とトランスフェリン濃度の上昇が報告されている.本研究の血清可溶性トランスフェリン受容体値高値もRLSにおける鉄代謝障害の支持する傍証となるのかもしれない.

 トランスフェリンなどの用語については、チョットだけ調べてみた。これが判らないと本質が判らないから。
①トランスフェリン:鉄輸送タンパク質
 血中で鉄と結合して、鉄分を運ぶ。これと結合することで、鉄イオンの毒性も打ち消されるという。
 血清中にある鉄は、全てトランスフェリンと結合し、また、トランスフェリンと結合した鉄を血清鉄と言う。
②フェリチン:鉄貯蔵タンパク質
 鉄分を細胞内で貯蔵するタンパク質。
③可溶性トランスフェリン受容体
 血中でトランスフェリンと結合した鉄は、細胞表面上のトランスフェリン受容体と結合して、細胞に取り込まれ、過剰な鉄は、組織内にフェリチンとして貯蔵される。ヘモグロビン合成に、多量の鉄を必要とする骨髄中赤芽球では、多量のトランスフェリン受容体が出現する。赤血球への分化過程で生じた、トランスフェリン受容体は、血流中に、遊離した「可溶性トランスフェリン受容体」として放出される。可溶性トランスフェリン受容体の濃度は、骨髄での造血能を反映し、また細胞内の鉄濃度により、トランスフェリン受容体の発現量は調節されるため、ヘモグロビン値と可溶性トランスフェリン受容体の値から、貧血などの原因判別などに用いることが可能と言われる。

 そうすると、鉄分の補充というのが効果的なのではないか?素人的にはそう考えてしまう。
 鉄欠乏性貧血や、透析などの影響で、PLMD、PLS症状のある場合には、効果がありそうである。現に、治療の一つとして、鉄剤処方というのもある。
 が、、、脳内の鉄イオン不足というのが、単に鉄分の摂取不足というのではなく、脳内への鉄分の輸送に問題がある場合が、PLMD、PLSの本質ではないかという見方もあるらしい。

 今、情報源(出典)を見つけられなくなっているが、

 PLMD、RLS患者では、鉄分を補充しても、脳脊髄液の、トランスフェリンの濃度が上がりにくいという研究データがあるそうだ。

 だが、5年前に周期性四肢運動障害と確定診断を受けたときには、いくら調べても、「原因は不明」としか出てこなかった。この5年間に、医学の素人が、インターネットで検索しただけでも、この程度の情報が得られるほど、着実に研究成果は上がっている。
 希望を持って、行こう。

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1 コメント

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鉄分ですか・・・ (ケケゾー)
2006-08-31 06:33:52
plmdさん、私のブログへの書き込みありがとうございました。更新率が低いですが、ちょくちょく見にきてやって下さい。



鉄分ですか・・・、知らなかったです。そんなデータが出てるんですね。医学は日々進歩していますね。

昔、結核になると治療方法がなく不治の病として隔離されてた時代がありましたが、今は1~3年間抗菌剤を服薬すれば完治する時代になりましたし、 PLMDもRLSもそのうち完全解明され完全なる治療法が確立されると信じてます。



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