神々の黄昏 ―Gotterdammerung―

日常の出来事や、ちょっとした物事の考察を書いていくブログ

『ショーシャンクの空に』を観た

2006-12-13 | 読み物
塀の中に見る人生の現実。


【ストーリー】
妻とその愛人を射殺したかどでショーシャンク刑務所送りとなった銀行家アンディ。
初めは戸惑っていたが、やがて彼は自ら持つ不思議な魅力ですさんだ受刑者達の心を掴んでゆく。
そして20年の歳月が流れた時、彼は冤罪を晴らす重要な証拠をつかむのだが…。


【感想】
素晴らしい映画だった。
一見、主人公アンディの天才的頭脳に惚れ惚れさせられ、また友達思いの人柄に感動させられる。
しかし、この物語の本質は、刑務所の中でさえ現れる、人生のシビアな現実だ。

まず、「才能」と「行動」が結果を大きく左右することが描かれていた。
刑務所とは、囚人の誰もががんじがらめにされ、平等な暮らしを強制される場所。
そんな自由なき小社会の中においても、アンディの学識と金融業で養った才能は生き、大胆にも看守に進言することで自分を有利な立場に置くことができた。

アンディは一方で、自分が刑務所に入れられるハメになったのは「運が悪かったからだ」と語っていた。
そんな単純な、と俺は思った。
だが冷静に考えると、確かに彼が言う通りなのだ。
有罪になったのが「運」なら、服役後の命運を決定付けたのも「運」だ。
もし、刑務所長のノートンが一切の"例外"も認めない厳格な男だったら、アンディの結末は180度変わっていたことだろう。

アンディは常に言っていた。
「俺には希望がある」。
しかし人生は、希望だけ持ったところで何も起こらない。
そりゃそうだ。
乞食だって億万長者になる願いを持つことくらいいくらでもできるのだ。
希望をかなえるための原動力はあくまでも才能と行動、そして運であることを、彼は示してくれた。

最後に俳優陣について。
とにかく主演のティム・ロビンスが名演だった。
今まで彼に対し、役柄のせいかどこかパッとしない印象をうけていた俺だが、この作品のロビンスは役柄との相性、役作りともに完璧であった。
サポートしたモーガン・フリーマンも最高。
温かみある表情の中にほのかな翳りを漂わす演技は、さすが老俳優の風格だった。


(ストーリー引用元:allcinema ONLINE)