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ご逝去された偉大なピアニストの中村紘子さんの凄まじい演奏

2016年07月29日 | 音楽の素晴らしさ

偉大なピアニストの中村紘子が7月26日に亡くなられていたという悲しいニュースが発信され、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

中村紘子さんは、若いときより卓越した才能を発揮されたピアニストで、1960年にNHK交響楽団が初の世界ツアーを行った時に同行するソリストに、弱冠16歳の時に選抜されました。

そして、5年に一度しか開催されない、あの有名な ショパン国際ピアノコンクール の1965年の第7回大会で第4位(当時の歴代日本人の最高位)に入りました。


(ワルシャワのショパン像)

ちなみに、同大会の優勝者が、あの世界的に有名な女性ピアニストのマルタ・アルゲリッチさんでした。


実は私は、一度だけ、この中村紘子さんの演奏を生で聴いたことがあります。

遥か昔、私が大学生の時に、音楽好きの者には、このうえなく素晴らしい1日限定のアルバイトをした時に、中村紘子さんの演奏を聴いたのです。

指揮者のエフゲニー・スヴェトラーノフが率いるソビエト国立交響楽団の日本公演が1987年に行われ、5月24日に神奈川県民ホールで、演奏会が行われました。(詳しい日付までは、勿論、覚えていませんでしたが、ネットで調べて詳細が判明しました)

1991年にソ連が崩壊するので、4年前の1987年には、ソビエト国立交響楽団は存在していました。

私のアルバイト内容は何かというと、このオーケストラの楽器や楽譜立てなどのセッティングと後片付けをする仕事内容でした。

ソ連という、お国柄なのか、各楽器のケースは、相当に重たい金属製のケースだったため、それらの楽器ケースを移動するだけでも、相当の肉体労働でした。

しかし、このアルバイトの最大の魅力は、コンサートの本番は、何の仕事もないのです。

空いている客席に座って、音楽を聴くことが出来るのです。

当日の演奏曲目は3曲で

・グリンカ作曲のルスランとリュドミラ序曲

・チャイコフスキー作曲のピアノ協奏曲第1番

・ショスタコーヴィチ作曲の交響曲第5番

です。

このプログラムの2曲目のチャイコフスキーのコンチェルトのピアノを演奏したのが 中村紘子さん でした。

演奏が始まる前から、私が度肝を抜かしたのは、共演する オーケストラの編成 でした。

少し専門的な話になりますが、オーケストラの編成(人数構成)は、決まっている一定ではありません。

管楽器ならば、2管編成、3管編成、4管編成などと言って、例えばオーボエという楽器、オーボエが2台(2人の奏者)で演奏されるのが、2管編成、3台で演奏されるのが3管編成と言われて、楽器の数が増えるに従って大編成になります。

管楽器の数が増えれば、それに呼応して、弦楽器の編成(人数)も増えていきます。

10型とか16型とか呼ばれ、下の表のように、弦楽器の各楽器の人数が編成規模によって異なります。



例えば、当日の3曲目のショスタコーヴィチの交響曲などは、大編成で演奏される曲なので、16型で演奏されるのが一般的です。

それでは、コンチェルト(=協奏曲)は、一般的にどうかというと、バイオリンやフルートなどの楽器に比べれば、大音量を出せるピアノによる協奏曲の場合であっても、大編成のオーケストラ相手に演奏しては、ピアノの音が かき消されてしまう ので、 通常は、10型前後のオーケストラでピアノ協奏曲は演奏されるのです。

(ちなみに、大編成のオーケストラと共演できる、音量で弾くことの出来るピアニストとして、私が最も尊敬しているピアニストの川上敦子さんのFacebookのカバー写真には、14型のオーケストラと共演している写真が載っています)

話を戻しますが、中村紘子さんが、演奏したチャイコフスキーのコンチェルトのオーケストラの楽器編成も、企画外の大規模なもので、確信を持った記憶はないのですが、恐らくは14型、もしかしたならば16型だったかも? という大きな編成のオーケストラと共演しての演奏に臨もうとされていたのです。

スヴェトラーノフ指揮のソビエト国立交響楽団といえば、当時、世界で一番、大音量で演奏するオーケストラと言われていた楽団です。

そんなオーケストラの大編成と共演して、中村紘子さんは、大丈夫なのだろうか? と演奏が始まる直前、少し心配になったのですが、いざ、演奏が始まると、全く心配ない ‥‥ というよりも、むしろ、音量で、ソビエト国立交響楽団を圧倒するような大音量で、演奏をしていたのには、正直、度肝を抜かして驚きました。

器用に演奏することは日本人の得意とすることなのですが、(当時の)世界一の大音量を出して演奏するオーケストラに対して、音量で圧倒するピアノの演奏をした中村紘子さんには、とても驚き、そして感動したことを、今でも覚えています。



改めて、中村紘子さんのご冥福をお祈り申し上げます。

中村紘子さんの公式ホームページは下記のURLとなります。

http://www.nakamurahiroko.com/





( 続く )




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音楽の素晴らしさを私の拙い文章でどこま表現できるかわかりませんが、記していきたいと思います。



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最終話:2015年3月11日掲載 川上敦子さんから頂戴したお心




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