ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

決議通知

2006-07-08 17:24:02 | 法務
 株主総会が終了すると決議通知書が送付されてきます。決議通知書は、株主総会の結果をお知らせする紙です。決議通知書は法定書類ではなく、法律上は株主に送付する必要のない書類なのですが、株主総会後に配当金支払通知書を送る必要があることもあり、慣例上ほとんどの上場会社が作成、送付しています。

 決議通知や配当金支払通知書は、多くの上場会社では何万部、会社によっては何十万部も送付することが必要となるので、事前に印刷、封入しておいて株主総会終了後速やかに発送しています。

 ところで、昨今の株主総会で会社提案(特に定款変更)が否決されるという事態が発生しています。今年も任天堂他で会社提案の定款変更議案が否決されてしまいました。このような場合、決議通知書をどうするか非常に難しい選択が迫られるのですが、任天堂は事前に印刷してあった、「定款変更議案は可決された」という内容の決議通知書をそのまま送付しました(こちら)。私でも同じ判断をしたと思います。多くの株主の方にとって、決議通知の内容よりも、配当金が送付されてくるかどうかの方がはるかに重要な関心事だからです。新聞記事は、

「シャンシャン総会」に慣れた日本企業の硬直的な対応を浮き彫りにした格好だ。
と批判的に取り扱っていますが、実態にそぐわない批判だと思います。株主総会の決議の賛否がだいたい見えてくるのは総会開催日の直前ですから、事前に2パターン印刷していたとしてもそれから封入していたのでは間に合いません。1日でも配当金支払通知書の送付が遅れると現場は大混乱に陥ります。ですから、任天堂の対応はやむをえないものだと考えています。

 もし、事前に賛否の票読みが難しいと分かっていたのであれば、どうすればよかったのでしょうか。私なら、決議通知は印刷せず、配当金支払通知書を封入して発送するという選択をしていたと思います。

 ちなみに、来年からは定款の規定によっては、委員会設置会社以外の会社でも、株主総会の決議によらず取締役会で剰余金の配当を決定できる会社がでてきます。このような会社では、おそらく招集通知に配当金支払通知書を同封することになるでしょうから、多くの会社で決議通知書の送付をやめることになるのではないでしょうか。

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2 コメント

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配当金支払通知書 (のむのむ)
2006-07-10 02:01:08
今回の決算後約10社より、配当金支払い通知書が送ってきて、少しばかりの小遣いをせしめた。と喜んでおります。

ところで、ほとんどの会社が総会の後に、支払い通知書を送付してきたのですが、某電機大手の1社だけが召集通知とともに配当金支払い通知書を送ってきました。以前には某大手携帯通信会社でもありました。

これは、配当に関する議案が否決されないという自信の表れなのですか?もし、否決されたらどうなるのですか。ご教授お願いします。
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配当金の決定 (ぴて)
2006-07-10 22:04:45
今までの商法の規定によると、委員会等設置会社という形態の会社では、配当の決定(利益処分)は取締役会決議事項であり、株主総会の決議は不要です。したがって、委員会等設置会社では、株主総会の決議の前に招集通知に配当金支払通知書が同封されてくることがあります。



5月から施行された会社法では、監査役設置会社(これが大多数の会社です。)でも一定の条件の下、取締役会決議で配当を決定することが可能となります。したがって、来年は配当金を招集通知に同封してくる会社も増えると思います。
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