Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

HANABI

2012年02月23日 | 1990年代 邦
HANABI
1998年 日本

監督・脚本:北野武
出演:ビートたけし 、岸本加世子、大杉漣、寺島進、白竜

ポンポンとよく打ち上がった、花火というか、人が・・・。
世界は赤く染まり、爆音の後、静まり返って、息をのむ。
音が聞こえたときにはもう遅いんだ。

張り込みをしていた同僚の刑事が撃たれたと聞いた西は、
犯人を追い詰め、銃を連射する。
もう息の絶えている死体に、何度も、何度も撃つ。
圧倒的なバイオレンス。
警察を辞めた後も、西の世界は変わらず、自ら犯罪に手を染めていく。
けっきょく紙一重なんだなと思う。
善悪の観念なんてえ、ものは。
だけど、その次のシーンでは
不治の病にかかった妻との、どこまでもやさしい、やりとりを見せる。
そのコントラストが鮮やかで、叙情的ともとれる、暴力映画。

ところどころ挿入される絵画は、たけし本人の作品だそう。
1mmも狂いがないように、目指す世界観を自らの手で構築していく徹底ぶりはすごいな。
それを考えると、主人公が中古車をパトカーのカラーリングに塗りかえるシーンが
(最初は自分でぜんぶ塗んのかよ、大変だなって思ったけど)妙にリアリティー。