雑記帳

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5月2日-サグラダ・ファミリア

2007-05-27 09:35:01 | 旅行
サグラダ・ファミリア教会は、ガウディによって設計され、1882年に建設開始、現在も建設が進行している教会である。普通の教会の常識で言うと、南が正面、北が後陣、東と西は側面である。しかしわれわれは、東側面の誕生のファサード(ガウディ生前に完成)と、西側面の受難のファサード(1952年から建設開始)がサグラダ・ファミリアの正面のようにイメージしている。
ホテルから歩いてサグラダ・ファミリアに到着した。西から近づいたので、受難のファサードを見ながら近づく。ファサード全景を写真に撮るのを忘れた。

この記事で、教会の全体が見渡せるのは下の写真7だけだ。写真7は南から撮ったもので、右が東側の誕生のファサード、左が西側の受難のファサードである。写真の正面に見える部分が南の正面、奥が後陣である。

入場券を買って受難のファサードから中に入る。塔に上がるエレベータが見つかったが、待ち行列が長い。もう一つエレベータがあるようなので、教会の中に設けられた通路を進む。教会の中央部は工事中である。通路は、西側の受難のファサードから、南側の正面を通り、東側の誕生のファサードに抜ける通路のみであり、まさに工事現場の安全通路だ。
教会内部の天井を支える柱が立っている(写真1)。細い柱だ。後陣に当たる部分は工事用のタワーが天井まで達している(写真2)。
   
  写真1            写真2            写真3
誕生のファサードに着くと、正面付近の写真(写真3)を撮った後、まずは歩いて上がる階段を探した。しかし見つからない。案内の人に聞いてみると、現在はエレベータでしか上がれないとのことだ。仕方がないので誕生のファサード側にあるエレベータの待ち行列に並ぶ。
    
  写真4            写真5            写真6
東西の各ファサードにはそれぞれ4本の高い塔が建っている。一番高い塔は120m程度の高さのようだ。エレベータは60mの高さまで運んでくれる。エレベータを下りた地点から反対側の受難のファサードを見たのが写真4だ。真上を見上げると塔がそそり立っている(写真5)。
塔からの下りは螺旋階段を歩いて降りる。螺旋階段の真下を見下ろすと、遥か下方まで見渡せる(写真6)。まるでアンモナイトだ。

教会の地下には博物館がある。この教会の骨格模型、オリジナル石膏モデルの破片、建設の過程を示す写真展示などがある。
ひな形模型を眺め、サグラダ・ファミリアの完成形を思い描こうとするが、なかなか判然としない。

順路の最後はショップだ。
ここで、この教会の最終完成形、構造などについて書かれた書物を探す。展示されているほとんどの書物は、外形的なデザインに着目したものだった。1冊だけ構造について記載された本を見つけ、購入した。

さて、帰国してから、購入した本を読んで謎を解こうとした。

現在のサグラダ・ファミリアは、東西の誕生のファサードと受難のファサードが完成形である。それぞれ主に4つの高い塔からなっており、一番高い塔の高さは120mである。下の写真7は上から見た現在の状況である。
ところがこの教会の建設計画では、もっと凄いことになっているのである。左下の図で、茶色い部分が現在できあがっている部分、空色の部分が今後の建設計画である。教会の中央、東西の両ファサードの間に、高さ170mの大ドームが建設されるというのである。さらにこの大ドームは、地面から塔が立ち上がるのではなく、ドームの下は教会の内部空間(空洞)なのである。どのようにしてこの大ドームを支えるのであろうか。
ところが図面から読み取るところ、大ドームの重量の大部分は4本の石の柱で支えられている。上の写真1に示すような石の柱だ。
私が持っている常識から推し量ると、このような細い4本の石の柱で、高さ170mの大ドームの重量を保持できるはずがない。
  
  図                 写真7

私は、この教会の構造として鉄筋コンクリートは採用されていないと想像していた。
石でつくる構造は、圧縮には強いが引張に弱い。石柱などは、だるま落としを高く積み上げたようなものだ。簡単に崩れてしまう。これに対し、鉄筋コンクリートとすると、引張にも強くなる。
鉄筋コンクリートの鉄筋は鉄であるから、本質的には酸化して錆びていくはずである。しかし鉄筋コンクリート中の鉄筋は錆びない。理由は、鉄筋のまわりのコンクリートがアルカリ性だからである。単純化して、ここではCa(OH)2がアルカリ性を示すとしよう。
一方、空気中の炭酸ガスがコンクリートの中に浸透し、コンクリート中のCa(OH)2は徐々に炭酸化してCaCO3に変化する。表面から炭酸化が進む。炭酸化した部分は、もはやアルカリ性ではない。
表面からスタートした炭酸化が内部まで進み、鉄筋部分まで達すると、その時点から鉄筋は錆び始める。鉄は錆びると膨張し、周囲のコンクリートを破壊する。これが鉄筋コンクリートの寿命である。大体100年程度だ。

サグラダ・ファミリアは着工からすでに100年以上が経過し、完成はまだまだ先である。完成しても1000年以上の寿命を想定しているはずである。そうであれば鉄筋コンクリートを採用するはずがない、というのが私の想定であった。

ところが、サグラダ・ファミリアは鉄筋コンクリートを採用しているらしいのである。本にもそう書いてある。また、実際に工事中の部分で鉄筋が露出しているところをこの目で見た。例えば下の写真8や上の写真4。

 写真8

サグラダ・ファミリアの謎は深まるばかりである。
(1) 高さ170mの大ドームを、あんな細い4本の柱で支えられるはずがない。石柱であれば当然、中に鉄筋が入っていても無理であろう。
(2) 鉄筋コンクリート構造物は寿命100年であり、1000年以上持たせようとする構造に使えるはずがない。しかし使っているらしい。

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