ブダペスト滞在1日目の朝である。
朝食はホテルのビュッフェだ。
本日はまず、ドナウ川にかかるくさり橋を渡り、対岸の王宮の丘に向かう計画である。ホテルからくさり橋までは歩ける距離である。
ドナウ川を隔てて王宮の丘
くさり橋に着いた。
この橋は、ドナウ川西岸のブダと東岸のペストを結ぶために最初に設けられた橋で、1849年に完成した。「くさり」というが、実態は自転車のチェーンのように鉄板を重ねてつなぎ合わせたものを吊り橋のケーブルとして使っていた。
このくさり橋は、ハンガリーの英雄セーチェニ・イシュトヴァーン伯爵の提唱で造られ、この橋の正式名もセーチェニのくさり橋という。
くさり橋
ドナウ川東岸のブダからくさり橋を渡ると、西岸の丘の上に王宮が広がっている。
麓から丘の上までケーブルカーが動いている。われわれはケーブルカーを利用することにした。輸送能力は低いが、それほど待たずに乗れる。観光客の大部分は、ケーブルカー以外の手段(バス、徒歩)を利用して登るのであろう。
くさり橋から見た王宮 王宮へのケーブルカー
丘の上でケーブルカーを降り、まずは王宮へ向かう。
王宮のドナウ川に面した河からドナウ川を望む。くさり橋がすぐ下に見える。対岸の北方には、川に面した国会議事堂を望むことができる。
王宮から見たくさり橋 王宮から見た国会議事堂
王宮の正面はドナウ川に面している。この部分の建物は国立美術館になっているようだ。正面の銅像の主は、どうもオイゲン公のようだ。オイゲン公というと、ハプスブルク家の将軍でトルコを駆逐する功績があったあのオイゲン公だろうか。ということは、台座の側面に描かれた戦闘場面は、オイゲン公がイスラム軍を完膚無きまでに叩きのめした1697年のゼンタの戦いであろう。
王宮正面(国立美術館) 中央銅像台座の側面
今回、美術館は訪問しなかった。建物の通路から中庭に入る。まず壁面の群像が見える。ガイドブックによると、狩りをするマーチャーシュ王の泉とある。丘の西側の端には、右下写真のような遺構も残っている。
中庭 狩りをするマーチャーシュ王の泉 中世城壁の遺構?
王宮左翼(北側)の裏庭には下の写真の銅像が立っていたが、誰の銅像であるかわからないままである。
王宮の奥(王宮左翼の裏庭)
王宮の右翼側は中庭になっている。ライオンの中庭と呼ばれるようだ。
ライオンの中庭(王宮の右翼)
王宮の見学を終わり、王宮の丘を北に向かって歩いていく。
三位一体広場に着いた。広場の中央にマーチャーシュ教会、教会の前に三位一体の像が建っている。
教会の高い塔はマーチャーシュ王の命によって造られたようだが、この塔も足場で囲われていた。教会のカラフルな屋根は陶磁器で有名なジョルナイ製、とガイドブックにある。
三位一体の像は、中世ヨーロッパで猛威をふるったペストの終焉を記念して、18世紀に建てられたそうである。
三位一体の像 マーチャーシュ教会
マーチャーシュ教会
マーチャーシュ教会の後方の広場中央に、聖イシュトヴァーンの騎馬像が見られる。イシュトヴァーンは、ハンガリーをキリスト教国とすべく、洗礼を受け、ローマ法王により1001年に戴冠を受け、キリスト教を国教とした初代のハンガリー王である。死後聖人になった。
聖イシュトヴァーンの騎馬像
左上写真、聖イシュトヴァーン騎馬像の後方の建物は、石垣に面した砦であり、中がカフェになっている。そこで昼食にした。ハムサンド1人前とティー2人前を頼み、二人でちょうど良かった。
そのカフェから、ドナウ川に面している“漁夫の砦”を見ることができる。また、ドナウ川のこちかがわはブダの街並み、対岸は国会議事堂である。
漁夫の砦 マーチャーシュ教会近くの城壁から見たドナウ川
昼食のあと、三位一体広場北西の位置にあるみやげもの屋(St. Valentin Folklor)を訪れた(左下写真)。娘たちへの土産に刺繍のブラウスを購入した。
王宮の丘 みやげもの屋 王宮の丘の下を通るトンネル
歩いて疲れがたまっているし、これからドナウ川対岸の観光に行かなければならない。そこで、路線バスを利用しようとした。しかしそのためには切符を購入しなければならない。バスの車内では買えないのだ。王宮の丘をあちこち走り回ったが、結局この丘の上では切符を購入できないことがわかった。
仕方がない。歩いて丘を下ることにした。
丘を下り、くさり橋を渡って対岸へ戻る。右上の写真は、くさり橋からの道路が王宮の丘の下を通り抜けるためのトンネルの入り口である。王宮となるとトンネルですら美術品になっている。
戻る 続く