大塚実の取材日記

記事で書ききれなかったことなどを補足していこうと思ってます

HTV2号機・Y-0ブリーフィング(速報版)

2011年01月18日 16時51分27秒 | 宇宙
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月18日、20日に打ち上げる予定のH-IIBロケット2号機/HTV2号機に関して、Y-0ブリーフィングを行った。以下に取材メモ(資料を読み上げている部分は省略している)を添付する。

出席者は、中村H-IIBプロマネ(打ち上げ執行主任)、虎野HTVプロマネ(HTV射場主任)、川上射場技術開発室長(企画管理主任)の3名。

ーーーー
中村

ロケットの状況

(資料説明)


射場整備状況


コンフィギュレーション


スケジュール

順調

明日明後日
最後のカウントダウン


今後の予定

MIG/PIG
エンジンの点火器

アーミング
結線作業


天候

あいにく
曇り一時雨


Y-0スケジュール

予備時間は3時間取っている


カウントダウン


飛行計画

分離まで15分5秒

2段ロケットが1周して種子島に戻ったときに再燃焼
減速させて太平洋に落下させる
初めての実験を行う


制御落下実験

正常であれば地上から燃焼の許可を出すコマンド
2段が53秒間逆噴射

落下する場所は5角形
長辺が4,600km


実験の意義

打ち上げ高度が低い
短期間で落下してくる

このミッション固有の取り組みとして
制御落下実験をしようと計画している

機体が健全で
落下推定点が落下点に入ることが確認できた場合に実施

ロケットの判断ではなく
種子島局の可視域で健全性を確認して
許可コマンドを出す

アイドルモード燃焼
ターボポンプを使わずにガスで推進剤を押す
推力は小さいがこのような燃焼モードで行う


制約条件


特別点検

あかつきの失敗を踏まえて
独立的に点検を行うチームを編成
追加的な点検をした

チーム員
虎野さんとかHTVメンバーも入ってもらった

逆止弁の不具合
チャタリングによる閉塞

FTAをH-IIBの逆止弁にもあててもう1回評価

H-IIBの1段2段
151個の逆止弁を使っている

いずれも

ーー
虎野 HTV

スケジュール



射場状況



運用準備状況



HTV2の概要

HTV係留中にシャトルが来る可能性
最大6日間になるかもしれない


変更点


プログレスも来る

STS-133が来てドッキングして離脱
ややこしいことになる

シャトルが来るとカーゴベイにロボットアームが近づけなくなる
HTVが邪魔になる

HTVを天頂側に移さないとだめになる
リロケーション

シャトルが離脱したら下に戻す

温度の制約が出てくる
解析に時間を要したが
結果的に問題ない



ーーーーーーーーーーー
質疑応答

Q 鹿児島テレビ
天候は問題ないのか
意気込み、心境は

A 川上
気象については制約条件が定められている

A 中村
2回目
いよいよステーションの運用
国際約束をはたす重要なミッション

あかつきの失敗もあるので
我々としては
22年度としては最後の打ち上げだが
23年としては
さい先の良いスタートを切れるようにがんばりたい

A 虎野
さきほど説明を忘れたが
特別点検
HTVでも実施した

推進系のトラブルは徹底してやった

HTVは重量的にシビアじゃなかったので
2重冗長になっている

シリアル・パラレル

1フェールでもミッションは遂行できる
2フェールでも安全

外部の有識者にも見てもらった

HTVのハード・ソフトに改修が必要な部分は見つからなかった

2号機は成功して当たり前、100%と思われているかもしれないが
それがプレッシャーになっている

我々は常に地上からコマンドを打って運転をしている
運転ミスの可能性もある
ミスしないようにするのがなかなかしんどい

こんな長い間係留
緊張が2カ月以上続く
しんどいが元気を出してがんばりたい

Q 氷結層は大丈夫か

A 川上
予報は雨なので雲はある

氷結層が最大の注目すべき点

今日の厚みは結構ある

Q 共同
GO/NOGOの判断は

A 川上


Q 南日本新聞
打ち上げ費用はどのくらいか

A 中村
H-IIAと同じようにいずれ民間に移行
具体的には公表していない

Q 逆止弁
HTVにどのくらいあるのか

A 中村
HTVではシリアルに上流下流 閉じなくなっても大丈夫
それがパラレルになっている 開かなくなっても大丈夫

Q ?
HTVに対する期待度 国際貢献の
有人を見据えた期待度

A 虎野
2号機から運用機になる
今回を含めて少なくとも6機は上がる

大きな荷物の出し入れが可能
期待されている

初号機のあと NASAから賞賛
各国から大きな荷物を運べると期待されている

荷物の量だとATVとほぼ同じ
しかしATVのドアは小さい

将来的
内部ではHTVのことを宇宙船と呼んでいる
HTV-R 将来有人化したい
与圧部を帰還カプセル化して荷物を載せて

Q ?
最大60日
シャトルが来る可能性があるから?

A 虎野
ドッキングしている間に天頂側に移動
その後元に戻す
シャトルが遅れるようならとっとと離脱したい

Q シャトルが遅れたら短くなるのか

A 佐々木
2月中には離脱する方向

Q


A
パラメータの計算に抜けがあった
再計算したら0.数kmの誤差しかない

それで3つ

もう1つは現場の点検を念入りにした
燃焼ガスによって腐った部分が飛散しないように

それで4件

電気がどうのとかいうのはなかった



Q 打ち上げには海外からの視察は来るのか

A 虎野
NASAは来る

A 佐々木
欧州はATVがすぐあるので来れない

NASAからはインクラインが来る

Q ロケット
逆止弁 151個
なんでこんなに多いんだ

A 中村
一番多いのは1段エンジン 46個
それだけで92個

2段の5Bが

Q エンジンに逆止弁が多いのはなぜか

A ガスの圧力で回転させたり
開いたり止めたりする

いろんな系統に流してパージすることも

逆流したら困るエンジンシステムなので
そういうところに入れている

結果的に1段エンジンに46個

Q あかつきと同じなのか

A あかつきのは小さい
ここで言っているのは同じ会社のものということ

酸素タンクの加圧ライン
合計2個使っているが
サイズが全然違って大型
5~6cmもあるもの タイプが違う
日本の特注品

Q それ以外のバルブのメーカーは

A MHI名誘が担当

ー東京

Q 東京新聞
ドラゴン
早ければ年末にも補給を開始する
ハッチの開口部も大きいし暴露も搭載
HTVと比べてどうか

A 虎野
私が評価するのは変だが
良き競争相手

いろんな機材をたくさん持って行かないといけない

大型を運べるのがHTVだけというのが
ISSの存在を危うくしている

絶対ということはあり得ない
そういうときにHTVしかなかったら問題

ドラゴンがあるのは
全人類的にはいいこと

Q 2号機は電池をヘラした
リチウムで良かったか?

A こんなにいらないので
余裕をヘラした

Q 読売
60日

A その通り


Q 大塚
HTVにもあかつきと同メーカーの逆止弁はあったのか

A 虎野
なかった

ー筑波

Q NHK
打ち上げシーケンス
表と違う

A


Q NVS
前回のライブ中継
キーン音はなにか

A 中村
1つ可能性は
射場
水を噴射するタンクのガス

A 虎野
もう1つはガスタービンの音かもしれない

A 中村
窒素ガスの音と現時点でなっているそうだ

Q 読売
ロケットの逆止弁
大丈夫なのはなぜ

A 中村
1段の酸化剤
100%開いて使う設計にしているので
一度開くと中途半端に
振動するような使い方はしていないので
閉塞するようなことはない

Q 1回開いてしまえば開きっぱなしということか

A その通り

Q 赤旗
2段制御落下
デブリをなくす目的か

A 中村
HTVの軌道は高度300kmと低い
打ち上げて普通でも3日で落ちてくる
正常ならデブリになることはない

3日で落下するものなので
安全という観点だと
リスクはゼロではない

管理して無人の南太平洋に落下させれば
死傷率はゼロにできる
より安全にするための取り組み

Q 読売
死傷率 初号機はどのくらいだったのか

A 仮の値はあるが
具体的には公表は控えたい

これまでに上段や衛星
スプートニク以来50年打ち上げてきて
リスクとしては実体的には小さい

14年くらいまえにアメリカの女性に
ロケットエンジンの繊維が当たったくらい
生活上のリスクに比べても非常に小さい

Q その女性はけがは?

A 燃焼室のガラス繊維がひらひらして肩にあたっただけ
けがはなかった

ー筑波

Q NVS
燃料注入後の延期
インターバルは何日

A 中村
1段のタンクは1.7倍だが
H-IIAと同じに中2日
3日後には再打ち上げが可能

ー種子島

捕捉
NASAのほかタイからも視察

1/72 スペースクラフトシリーズ No.02 HTV (宇宙ステーション補給機)
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1/72 スペースクラフトシリーズ No.03 HTV-R (ISS物資回収機)
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宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)
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