インドはいろんな意味で日本と対照的な国なのだ。両国の間に対照的でないところを見つけることが楽な作業かもしれない。
正反対なことの一つは、言語環境。主に単一言語環境の日本に対して、公用語だけで22にも上るインド。だから、前々々々回書いたけど、言葉が理解できるCMが理解不能な言語に吹き替えされたら慌てっぷりも良いところだ。同じ話しが映画にもつながる。
まず、インドで制作される映画のことを インド人は 「インド映画」 と呼ぶことはあまりない。代わりに、映画が作られる言語を使って 「ヒンディー語映画」、 「タミル語映画」 のように呼ぶ。
次に、ヒンディー語 (インドの第一公用語) 以外の映画は、その言語の地方のみで公開され、鑑賞される。よっぽどなことがない限り、ある言語で作られた映画は他の言葉に吹き替えされることもなければ、字幕が付くこともない。
となると、多くのインド人が鑑賞するのは、ヒンディー語の映画と (ヒンディー語圏以外では) 各自の母語の映画なのだ。(ところで、僕も母語はヒンディー語ではない)。だから、たいていのインド人が、理解できない言語の映画には興味がない。かつてなぜか日本ではやった 「ムトゥ 踊るマハラジャ」 のことは、タミル語が理解できるインド人の他に誰も知りゃしない (もちろん日本人を除いて) 。
その一方、日本では、インドで制作される映画の全てが当然ながら 「インド映画」 になる。ある意味、インド料理における 「カレー」 と同じ立場だ。
どっちみち元の言語が理解できない日本人からすれば、インドの何語の映画であろうとかまわないわけだ。だからこそ、インドの映画をインド人とはまったく違う切り口で楽しむことができる。そのことが、僕みたいなインド人にいつも新鮮な視点を与えてくれる。
最近もそんな新鮮な経験をすることがあった。
まずこの歌と踊りをご覧いただきたい
「Ashok」 というテルグ語映画の一曲だ。(なぜだか一応ヒンディー語にも吹き替えされている映画のようだが、僕は知らなかった)。それに、僕はテルグ語がまったくわからないため、歌詞は理解できないし、曲名の 「Gola Gola」 の意味も分からない。(ただ、曲の直前のシーンからすると、歌と踊りは夢の中での話しだ。それはインドの映画で良く使われるパターンであって、現実世界でそんなに歌って踊る暇がないから白昼夢状態を利用することが最適ってわけ)
とにかく、踊りが軽やかなので観ていて楽しいと思われる
この曲が最近日本でちょっと話題になっているとかいないとか。以前から知っている人もたくさんいるようだが、改めて注目されるきっかけとなったのは年末の 「バカデミー大賞」 というフジテレビの番組で紹介されたこと。そして、日本のいくつかの曲にこの踊りがぴったり合うとして1位に輝いてしまったこと。
最初はこれ 「365歩のマーチ」 とのシンクロをどうぞ!
完璧だ。
次はこれ 「セラミックムガール」 とのシンクロをどうぞ!
踊っている女優の口が 「セラミック」 の動きをしているように見えませんでしたか?(1回目は1:05頃)
こういうものを誰がどういう熱意(?)で作ったんだろう? ただ、僕が日本と関わっていなきゃ一生知ることのない曲だったかもしれない。「Gola Gola」 なんて意味不明だけど、今度 「365歩のマーチ」 や 「セラミックムガール」 を聴くことがあればこの踊りを思い出すに違いない。
そんな和印融合が、僕にとってはなんとも不思議な感覚なわけだ。すごいの何の!
本当は軽い気持ちで動画だけを乗せるつもりが、調子に乗って長々と書きすぎた、かな? でも、ここまで読んでいただいたってことは退屈ではなかった、かな? それなら良いっか。そう思うことにしよう
私は今東京でインド人に日本語を、日本人にヒンディー語を教えています。
こちらのブログをずっと楽しく拝見させていただいています。
興味深い記事を、いつもありがとうございます。
ヒンディー語を勉強している生徒のために、私のホームページ上のブログにこちらのリンクを貼らせていただきたいのですが、ご検討いただけますでしょうか。
どうぞ宜しくお願いいたします。
和美
はじめまして!
逆に、こんないいかげんなブログのリンクを貼って大丈夫ですか?
僕はまったく問題ありません。 (嬉しさを堪えながらのかっこつけ?)
久々に大笑いしてしまったわ~!
探せばもっと色々面白いのありそうだよね。
下記ブログの右側にリンクを貼らせていただきました。
http://indojapanclass.blogspot.com/
ザ・インドさんは本当に文才がありますよね。
いろいろ勉強させていただきます!
どうぞ宜しくお願いします!
sonu soodさん目当てで以前にこの映画を見てましたがそんな曲にフィットするとはおどろきでしたね~
僕もお腹が痛くなるほど笑ってしまいましたね。これを作ろうと思った人、その気力に脱帽!
和美さん、
わざわざリンクを貼っていただいてありがとうございます。妙な責任感がわいてきました(「妙な」ってなんだろう?)。それでも、今までとおり気楽に書きますので気楽にご一読くださいね。
漁師Nさん、
本当に漁師をやってらっしゃるんですか。そして、Sonu Soodを知っていますか?(というより、彼目当てにAshokを観たことがあるんですね。すごい!)
実は、僕は今日までSonu Soodを知りませんでした。今知りました。ありがとうございます!
ソヌさんは昔のAmitabh Bachchanさんに似てるのでかっこいいなと。昨年ヒットしたDABANGGにもでてましたね・・・
アルンダティというホラー映画ですごーいバケモノ役もこなしていらっしゃいましたよ。
Sonu Soodさんってそんなに活躍している俳優だったんですね。知らない僕がだめです。
そして、こんなにもたくさん知っている漁師Nさんがすごいです。
言語が分からなくても観たいほどインドの映画がお好きなんですね。
言い換えると、言語が分からなくて損しないほどインドのマサラ映画が単純ということでしょうか。