フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

ボサノバ、あるいはポルトガル BOSSA-NOVA OU LE RORTUGAL

2006-02-16 01:24:29 | MUSIQUE、JAZZ

先日、モーツアルトとアファナシエフのピアノを仕入れて店を出たところでSのマスターにばったり会う。お誘いを受け、ボサノバを聞く。

聞いていると、この世界も広く深いことを思い知らされる。ポルトガル語の歌を聴いていると、なぜかその底に深い悲しみのようなものを感じてしまう。ポルトガルという国の辺境性、辺縁性なのか、大学を出てまもなく訪れたポルトガルの人里離れた寺院や寂寥感漂う海辺の印象がその言葉を聞いた時に重なるためなのか。前途に無限とも思える可能性を見ていた20代中ごろ、その青年の思い描いていた世界と余りにもかけ離れたものを前にした時の戸惑いなのか。

そんなこんなで、ポルトガルの言葉や音楽を聞くと人生 (人間) の哀愁を感じてしまう。南米は自分にとっては未開の地。どんな形でもこれから触れ合う機会を作ってみたい。

そう言えば、先日の会でイベリア半島の隣組、スペインからのお客さんと話すことができた。率直なところを聞いてみたが、どうもフランスとは相性が悪いようだ。ポルトガル、イタリアとはうまくやれるのだが、とのこと。それにしてもラテン系の人とは話が弾む。以前からの知り合いのように。

美術の話になった。私がダリの町の美術館を訪ねて以来、それ以前の印象が崩れ、彼は誠実で優れた芸術家だと思うようになったと言うと、スペインにはもっと偉大な芸術家、ベラスケス、ゴヤ、、がいる、と返してきた。ダリはあまり評価していないようであった。またマドリッドにはいい美術館があるのだが、お客さんが来た時しか見に行けないとぼやいていた。巴里でも同じようなことを聞いた。どこでも忙しい人にとっての芸術は同じなのかもしれない。

その彼はマドリッドからアメリカの大学に移ることになったという。彼に声をかけた人とは7-8年前バーゼルでお会いしているGTさん。世界は広いようで狭い。

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8 コメント

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思い出 (キツネ)
2006-02-15 00:57:29
今日も、ポルトガル、南米、ボサノバということばにつられて、穴から這い出してきました

ずいぶん前ですが、ブラジルにほんの3ヶ月ですが滞在したことがあります

挨拶と、数字だけ覚えて行きました

そのとき、名前も知らない歌手の

音楽テープを現地で買ってきてしばらく聴いていましたが

このごろ、テープが劣化していたのでお払い箱にしたばかりです



余談ですが、水族館に行こうとしたとき、TAXIの運転手さんが、私たちのポ語がわからなかったのでしょう、

「死んだ魚がいるか、生きた魚がいるか?」

と訊くので「生きた魚!」とこたえました

そのときの「生きた魚、死んだ魚」は

ほとんど仏語と同じでした

英語と独語しか知らない連れ合いは

さっぱりわからなかったようです

ちなみに、死んだ魚がいたのは「魚市場」でした

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あの日は有難うございました。 (いの)
2006-02-15 02:11:39
Paulさん、あの日は有難うございました。

何だか無理にお誘いしてしまったようで申し訳有りませんでした(笑)。あの日のボサノバは確か山本のり子さんだったと思いますが、彼女はもの静かながら大きな存在感を感じる人です。ベースのコモブチ・キイチロウも業界では引っ張りだこの実力者です。またぜひ遊びにいらして下さい。
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Unknown (さなえ)
2006-02-15 22:37:31
横から失礼します。この間からジャズの店Sとあるのが気になっていたのですが、いのさんのリンクを辿らしていただきました。うれしい。今度暇ができたら友人とおじゃまします。数年前小さなお店にフラメンコを見に行ったときに、ファドを聞きました。初めて聞いたのでそれがどれくらい本物なのか全く分かりませんが、鈍器のような響き具合でしたよ。
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キツネさんへ (paul-ailleurs)
2006-02-15 23:04:27
たびたび冬眠を覚ませてしまい、申し訳ありません。今日も興味深いお話ありがとうございます。ブラジルに3ヶ月ですか、面白そうですね。時間があれば私もやってみたいです。フランス語を知っていると少しだけ世界が広がるようで結構なことだと思います。また何かありましたら穴から抜け出てくるよう、お願いします。

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いのさんへ (paul-ailleurs)
2006-02-15 23:08:20
本当にばったりでしたので、びっくりしました。錚々たるメンバーだったようで、お誘いありがとうございます。ボサノバの世界、というかラテンアメリカの文化も何も知らないだけに惹かれるものがあります。なかなか時間が取れませんので、これも将来のためにとっておくことになりそうですが。

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さなえさんへ (paul-ailleurs)
2006-02-15 23:11:50
再訪ありがとうございます。Sは小さいながらいのさんのご努力のお陰で発展している最中と言ってもよいかもしれません。たまにしかお邪魔できないのですが、それなりに楽しんで帰ってきております。一度お試しになられてはいかがでしょうか。

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ぜひお立寄り下さい。 (いの)
2006-02-16 02:54:55
さなえさん、有難うございました。

Sはコンパクトな店ですが、比較的入りやすい店なのでどうか安心してお立寄り下さい(笑)。



Paulさん、お薦め有難うございました。お忙しそうですが、また気晴らしにぜひ覗いてみて下さい。そうそう、暖かい日は東急裏のスターバックスのウッドデッキで、サラミサンドなど食べるのもいいですよ。。。
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いのさんへ再び (paul-ailleurs)
2006-02-18 12:57:07
カフェのお勧めありがとうございます。オープンエアに身を置いて食べるのは好きですが、私の場合は必ずしも暖かい日に限りません。フランス語になりますが、以前にそんなことを書いています。写真にあるように、枯葉散る12月のカフェでコートを着て数時間過ごしました。勿論そんな人は他にいませんでしたが。

http://paulailleurs.blogspot.com/2005/12/un-jour-dhiver-lirant-en-plein-air.html
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